メモ帳

自分用のメモです。

精巣DLBCL: リツキシマブ時代における予後と中枢神経再発リスク

Diffuse large B-cell lymphoma with testicular involvement: outcome and risk of CNS relapse in the rituximab era

Br J Haematol. 2017;176:210-221

PMID: 27739058, DOI: 10.1111/bjh.14392

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リツキシマブを併用することでびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の予後は改善したが、精巣に病変が及んだケースにおけるリツキシマブのインパクトについては情報が限られている。精巣に病変があり、治癒を目指した治療を受けたDLBCL患者をBritish Columbia Cancer Agency Lymphoid Cancer Databaseから抽出した。

1982年から2015年までの間に合計134人が診断を受けており、このうち61人がCHOP類似化学療法、73人がR-CHOPで治療されていた。R-CHOP群の方がInternational Prognostic Index (IPI)が有意に高かった(P=0.005)。多変量解析で、リツキシマブの無増悪生存率(HR 0.42, P<0.001)、全生存率(HR 0.39, P<0.001)、累積増悪率(HR 0.46, P=0.014)に関する保護効果(protective effect)はIPIと独立していた。しかし、中枢神経(CNS)浸潤予防とCNS-IPIを含めた競合リスク多変量解析では、リツキシマブはCNS再発のリスク減少に関連していなかった。

リツキシマブの併用は精巣DLBCLの再発リスクを減少させるが、これはおそらく全身病変の根絶率を改善することによる。しかし、CNS再発リスクは依然として高く、効果的な予防戦略を評価する研究が必要である。

造血幹細胞移植経験者と非経験癌サバイバーにおける合併症発生率と死亡率の違い

Morbidity and Mortality Differences Between Hematopoietic Cell Transplantation Survivors and Other Cancer Survivors

PMID: 27870568, DOI: 10.1200/JCO.2016.68.8457

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目的

造血幹細胞移植(HCT)を受けた患者と、マッチさせた(HCTを受けておらず、HCTの有無が一番の違いと考えられる)癌患者を対象に、健康に関する重大なアウトカムのリスクを比較しする。

方法

ワシントン州に在住し、1992年から2009年までの間にHCTを受けて2年間生存した患者(n=1,792; 52%が同種移植、90%が造血器腫瘍)と、人口統計的特徴や腫瘍の診断が一致する(HCTを受けておらず2年生存した)癌患者、一般人口をマッチさせた。HCTを受けていない(non-HCT)癌患者は州の癌登録(n=5,455)、一般人口は運転免許証ファイル(n=16,340)を用いた。3つのコホートにおける全ての晩期アウトカムは州の病院退院・死亡を用いて確認した。続発した癌については、州の癌登録を用いて確認した。

結果

観察期間の中央値は7.1年で、HCT患者はnon-HCT患者よりも有意に入院率が高く(1,000人-年あたり280エピソード vs 173エピソード, P<0.001)、全死亡率も有意に高かった(hazard ratio 1.1; 95% CI, 1.01-1.3)。HCT患者は感染症による入院と死亡が多く(10年累積発生率 31% vs 22%, HR 1.4; 95% CI 1.3-1.6)、呼吸器合併症も多かった(27% vs 20%; HR 1.4; 95% CI 1.2-1.5)。消化器、皮膚、筋骨格系の合併症もHCT患者の方がnon-HCT患者よりも多かった。循環器系の合併症と続発癌のリスクに差はみられなかった。主要臓器障害の10年累積発症率はHCT群、non-HCT群ともに一般人口と比べて有意に高かった。

結論

HCTの治療歴は、癌サバイバーの中でも晩期合併症発生率、死亡率と関連していた。特に、HCTサバイバーのケアをする医師は、呼吸器合併症と感染症のリスクが高いことを認識しておくべきである。

アンドロゲンを用いた維持療法は、高齢AML患者の予後を改善する。

Addition of Androgens Improves Survival in Elderly Patients With Acute Myeloid Leukemia: A GOELAMS Study

J Clin Oncol. 2017;35:387-393

PMID: 28129526, DOI: 10.1200/JCO.2016.67.6213

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目的

急性骨髄性白血病(AML)の高齢患者は予後が悪く、新たな維持療法が開発されれば治療成績が改善する可能性がある。再生不良性貧血の治療に用いられるアンドロゲンがAML細胞の増殖を阻害し、分化を促すという報告がある。著者らは、60歳以上の患者の維持療法にアンドロゲンを加えるベネフィットを調べた多施設参加無作為化オープンラベル第3相臨床試験を報告した。

患者と方法

de novoまたは(化学療法や放射線治療による)二次性白血病の患者330人がこの試験に登録された。導入療法はイダルビシン(8mg/m^2 on day1-5)、シタラビン(100mg/m^2 on day1-7)、lomustine(200mg/m^2 on day1)で行った。完全寛解または部分寛解が得られた患者は、イダルビシン(8mg/m^2 on day1)、シタラビン(100mg/m^2 on day1-5)のレジメンとメトトレキサート、メルカプトプリンのレジメンを交互に合計6コース行う再寛解導入療法を受けた。その上で、患者はnorethandroloneを体重に応じて10mg/dayまたは20mg/day、2年間投与される群と投与されない群のいずれかに無作為に割り付けられた。

主要評価項目はintention to treatでの無増悪生存率、副次評価項目は無イベント生存率、全生存率、安全性とした。この臨床試験はwww.ClinicalTrials.govに登録されている(NCT00700544)

結果

norethandroloneを投与されるarm Aと、投与されないarm Bにそれぞれ165人ずつ割り付けられた。247人(76%)で完全寛解または部分寛解が得られた。Schoenfeld time-dependent modelによると、norethandroloneは導入療法後1年後に寛解を維持いる患者の生存率を有意に改善した。arm Aとarm Bにおける5年無増悪生存率はそれぞれ31.2%と16.2%で、無イベント生存率は21.5%と12.9%、全生存率は26.3%と17.2%だった。norethandroloneは全ての予後因子と独立に治療成績を改善していた。ベースラインの白血球数が30,000/μLを超える患者においてのみnorethandroloneのベネフィットが得られなかった。

結論

本研究はnorethandroloneを用いた維持療法が高齢AML患者の生存率を有意に改善し、毒性を増加させないことを示した。

高齢骨髄腫患者における、導入療法の有無による自家幹細胞移植の治療成績

Autotransplant with and without induction chemotherapy in older multiple myeloma patients: long-term outcome of a randomized trial.

Haematologica. 2016;101:1398-1406.

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高齢の多発性骨髄腫に対する自家移植は議論の余地がある。年齢に応じて調整した大量メルファランの役割と、導入化学療法の効果は依然として明らかではない。60〜70歳の合計434例を、4サイクルの標準的なアントラサイクリンベースの化学療法または導入療法なしの2群に無作為に割り付けた。全ての症例に、メルファラン140 mg/m^2投与後の自家移植(MEL140) 2回が予定された。

無増悪生存を主要評価項目とした。適格症例420例のうち、85例が1回目の移植を受け、69%が2回の移植を完了した。治療期間の中央値は導入療法群が7.7ヶ月、導入療法なし群が4.6ヶ月と短かった。intention-to-treat解析で、導入療法群(207例)の無増悪生存期間の中央値は21.4ヶ月で、導入療法なし群(213例)では20.0ヶ月だった(hazard ratio 1.04, 95%信頼区間 0.84-1.28; P=0.36)。per-protocol解析では、無増悪生存期間中央値はそれぞれ23.7ヶ月と23.0ヶ月だった(P=0.28)。65歳以上の症例(55%)で予後は劣っていなかった。低リスク核型(del17p13、t(4;14)、1q21増幅のいずれもみられない)の症例は全生存率が良好で、1回目の寛解期間が長かった。MEL140では重篤な粘膜炎の頻度が低く(10%)、治療関連死も少なかった(1%)。

hazard ratioに基づくと、幹細胞動員のための化学療法と2回のMEL140を行った群では96%で無増悪生存を達成し、自家移植可能と判断される高齢骨髄腫患者における独立した治療コンポーネントとしての価値を示した。 

治療強度が若年DLBCL患者の予後に与える影響

Chemotherapeutic intensity and survival differences in young patients with diffuse large B-cell lymphoma: a Swedish Lymphoma Registry study.

Br J Haematol. 2016, PMID 27790699

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若年のびまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)患者は、R-CHOP、R-CHOEP(R-CHOP+エトポシド)、R-HDA/M(大量シタラビンとメトトレキサートを加えた、アントラサイクリンベースのレジメン)など様々な方法で治療される。著者らは、全国的なデータベースであるSwedish Lymphoma Registryを用いて、スウェーデン国内で2007年から2012年までの間に診断されたDLBCL(60歳以下、中枢神経浸潤なし)の751症例の治療成績を、治療内容と医療圏により評価した。全生存率は多変量Cox解析で推計した。

年齢調整IPI (aaIPI) ≥ 2の患者では、5年全生存率はR-CHOP群で70%、R-CHOEP群で76%、R-HDA/M群で85%であり(P=0.002)、aaIPI = 3の患者ではそれぞれ40%、55%、92%だった(P=0.014)。スウェーデンの6つの医療圏の間では、aaIPI ≥ 2の患者の治療について大きな違いがあり、"中等度の治療"(R-CHOP以上)を行う地域が3つ、"強力な治療"(R-CHOEP以上の治療とR-HDA/M)を行う地域が3つあった。aaIPI ≥ 2の患者では、強力な治療を行う地域で治療された方が、全生存率が良好で(P=0.00005)、aaIPI = 3の患者ではその傾向が特に強かった(5年全生存率 62% vs 30%。P<0.00005)。aaIPI < 2の患者では、医療圏による治療の差はなかった。

若年の高リスク患者では、R-CHOPよりも強力な治療を行った方が生存率が良好であると思われた。

妊娠中のリンパ腫管理に関するレビューとアンケート調査

Continuing dilemmas in the management of lymphoma during pregnancy: review of a 10-point case-based questionnaire.

Int J Clin Oncol. 2016, PMID 27743147

背景 妊娠中のリンパ腫は稀であるため、管理についてのガイドラインは後ろ向き研究とケースレポートから得られたエビデンスに基づいている。今回、著者らは主要な難しいテーマについてレビューを行い、イスラエル国内の血液腫瘍医に妊娠中のリンパ腫管理について質問した。

方法 PubMedデータベースを用いて、1990年から2014年までに発表された論文を検索した。論文は主要なジレンマをカバーする質問を案出した専門家委員会によってレビューされた。また、60の質問が送付された。

結果 単純MRIが病期評価の画像検査として好まれていた。化学免疫療法は、妊娠第1期を超えればメトトレキサートを除いて比較的安全と考えられていた。ステロイドとビンブラスチンは、ホジキンリンパ腫治療において妊娠第2期までの適当な「橋渡しの治療」と考えられていた。妊娠中の化学免疫療法の用量は依然として議論の余地があったが、半数以上は実際の体重に従った用量を推奨していた。至適な分娩のタイミングは36週以降と考えられていた。完全奏功を達成したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者の次の妊娠については、69%が2年待つことを勧めたが、濾胞性リンパ腫については半数以上が6〜12ヶ月待つことを勧めた。

考察 妊娠第2期以降の化学療法についての安全性については同意が得られているが、至適な用量、中枢神経の治療、分娩の時期と次回以降の妊娠については依然として議論の余地があり、この領域におけるさらなる共同研究が必要なことを示している。

初発の中枢神経原発リンパ腫を対象とした、自家幹細胞移植併用大量化学療法の第2相臨床試験

High-dose chemotherapy with autologous haemopoietic stem cell transplantation for newly diagnosed primary CNS lymphoma: a prospective, single-arm, phase 2 trial.

Lancet Haematol. 2016;3:e388-397

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背景 大量メトトレキサート(MTX)をベースとした化学療法は中枢神経原発リンパ腫(PCNSL)の標準的な治療であるが、殆どの患者が再発する。自家幹細胞移植を併用した大量化学療法(HCT-ASCT)は血液脳関門を克服して中枢神経の微小残存病変を排除できると期待されている。著者らは、新規に診断されたPCNSL患者を対象としたHCT-ASCTの安全性と有効性を評価することを計画した。

方法 今回の前方視的、単アーム第2相臨床試験において、著者らはドイツの15施設で新規にPCNSLと診断された免疫不全のない18歳〜65歳の患者で、かつperformance statueに制限がない患者を登録した。対象患者はリツキシマブ375 mg/m^2を4回(初回の大量MTXの7日前、その後は10日毎)と、大量MTX(8000 mg/m^2)を4回(10日毎)に投与され、その後リツキシマブ 375 mg/m^2(day1)、シタラビン 3 g/m^2(day2,3)、チオテパ 40 mg/m^2(day3)を組み合わせた治療を2サイクル受けた。

最後の化学療法から3週間後に、導入療法後の治療反応性にかかわらずHCT-ASCTが開始された(リツキシマブ 375 mg/m^2 day1, carmustine 400 mg/m^2 day2, チオテパ 2x5 mg/kg day3-4, 幹細胞輸注 day7)。

著者らは、放射線治療をHCT-ASCT後に完全奏功に達しなかった患者だけに制限した。主要評価項目は、本研究の治療を1日でも受けた患者を対象とした、HCT-ASCT後30日時点での完全奏功率とした。

結果 2007年1月18日から2011年5月23日までに、81人が登録され、このうち2人が除外されて79例が解析対象となった。全患者が導入療法を開始し、73人がHCT-ASCTを受けた。61人(77.2%、95%信頼区間 66.1〜86.6)が完全奏功を達成した。導入療法中みられたgrade 3の毒性で最も多かったのは貧血(37例、47%)で、grade 4の毒性で最も多かったのは血小板減少(50例、63%)だった。HCT-ASCT中に最も多かったgrade 3の毒性は発熱(50例/73例、68%)で、最も多かったgrade 4の毒性は白血球減少(68例/73例、93%)だった。治療関連死亡は4例記録された(3例が導入療法中、1例がHCT-ASCTの4週後)。

結論 チオテパとcarmustineを用いたHCT-ASCTは若年の未治療PCNSL患者において効果的であるが、さらなる比較試験が必要である。

中枢神経原発リンパ腫の補助的治療としてのガンマナイフの有効性:前方視的観察研究

Primary Central Nervous System Lymphoma (PCNSL): Analysis of Treatment by Gamma Knife Radiosurgery and Chemotherapy in a Prospective, Observational Study.

Cureus. 2016;8:e697.

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背景 中枢神経原発リンパ腫(PCNSL)は脳、中枢神経の腫瘍の3%に満たない稀な癌である。侵される組織には脳実質、軟膜、眼、脊髄が含まれる。新たに診断されたPCNSLでは大量メトトレキサート(MTX)が標準的な治療法である。しかし、ガンマナイフによる放射線外科療法(GKRS)は補助的な治療法として有効かもしれない。今回の前方視的観察コホート研究の目的は、PCNSLの治療においてGKRSを併用した場合のMTXの有効性の評価である。

方法 本研究は前方視的な観察コホート研究であり、組織学的PCNSLと確定した患者の治療におけるMTX(8g/m2)単独での治療とMTX、GKRSを併用した治療を評価した。厳格な適格、除外基準を採用した。主要評価項目は生存率とした。副次評価項目は腫瘍の治療に対する反応性、画像検査上の腫瘍の縮小とした。

結果 2007年1月から2012年1月までの、128例を評価した。73例が化学療法単独(control)で、55例(variable)が化学療法とGKRSの併用で治療された。

観察期間は24〜49か月(中央値36.9か月)だった。患者背景や組織学的な診断に、両群間で差はみられなかった。ガンマナイフで治療された患者の線量は11〜16Gy(中央値11Gy)だった。最初の診断からの生存期間中央値は化学療法単独群で26.8か月、化学療法とGKRS併用群で47.6か月だった(P=0.0034)。GKRS後3〜6週後(中央値6.3週)にMRIで評価すると、すべての病変が感染奏功の状態だった。

結論 GKRSは侵襲が少なく、安全であり、速やかな効果を示し、患者の予後を改善させた。この非侵襲的な治療は、PCNSL患者の治療選択肢として考慮されるべきである。今回の研究では、大量メトトレキサート療法の補助的治療としてのGKRSは統計学的に有意な腫瘍制御効果を示しており、全生存期間を延長し、合併症は少なかった。

 

 

 

中枢神経リンパ腫に対する、チオテパ、ブスルファン、シクロフォスファミドによる前処置後の自家幹細胞移植:毒性の評価

A Comprehensive Assessment of Toxicities in Patients with CNS Lymphoma Undergoing Autologous Stem Cell Transplantation Using Thiotepa, Busulfan and Cyclophosphamide Conditioning.

Biol Blood Marrow Transplant. 2016, PMID 27713090

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チオテパ、ブスルファン、シクロフォスファミドによる前処置(TBC)を行う自家幹細胞移植併用大量化学療法(HDT-ASCT)は、中枢神経原発リンパ腫(PCNSL)、二次性中枢神経リンパ腫(SCNSL)における導入療法後の有効な治療戦略として注目されている。しかし、この治療は近年においてもかなりの毒性や移植関連死亡と関連している。

2006年から2015年までに、化学療法に感受性のある成人のPCNSL、SCNSL患者43人がTBCを前処置としたASCTを受けた。このうち28人は、薬物動態学に基づいた用量のブスルファンを投与された。臨床的に関連のあるgrade≥3の非血液毒性数の中央値は5つであった。ASCT前の患者背景とgrade≥3の非血液毒性数が6個以上、との間に関連は認めなかった。ブスルファンの初回投与時にAUCが上昇した患者で毒性の増強はみられなかった。逆説的に、ASCT前に3種類以上のレジメンで治療をされていた患者では初回投与時のブスルファンのAUCが低かった。観察期間中央値は20ヶ月で、ASCT後1年の無増悪生存率と全生存率はそれぞれ83%、87%だった。

中枢神経リンパ腫に対するTBC前処置後ASCTの良好な無増悪生存と全生存が再確認された一方で、この治療戦略は毒性に関する大きな課題を伴っている。

HLA半合致ドナーと合致血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植:GVHD頻度、生存率等の比較

Similar incidence of severe acute GVHD and less severe chronic GVHD in PBSCT from unmanipulated, haploidentical donors compared with that from matched sibling donors for patients with haematological malignancies.

Br J Haematol. 2016, PMID 27714774

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同時期に骨髄破壊的前処置を行ってHLA半合致ドナー(HID)から末梢血幹細胞移植(PBSCT)を受けた患者とHLA合致血縁ドナー(MSD)からPBSCTを受けた患者を対象に、GVHDの特徴を比較した。

HID群は原病が進行している患者が多かった。両群ともに同じGVHD予防を受けており、HID群では抗胸腺グロブリン(ATG)も使用した。HID群ではMSD群と比較して、grade 2-4の急性GVHDの累積発症率が高く(35.1% vs 13.9%、P=0.003)、grade 3-4の累積頻度に差はなく(14.5% vs 9.8%、P=0.595)、全身型GVHDの3年累積発症率は低く(5.8% vs 21.2%、P=0.049)、重症慢性GVHDも低かった(5.8% vs 21.2%、P=0.049)。両群間で傷害臓器数に差はみられなかった。HID群ではMSD群と比較して3年無再発死亡率が高く(24.0% vs 10.2%、P=0.014)、3年累積再発率も高く(39.0% vs 22.6%、P=0.032)、3年無増悪生存率は低かった(45.7% vs 78.9%、P=0.000)。HID群の患者はKarnofsky scoreが90を超えている割合がMSD群よりも高かった(P=0.016)。

結論として、HLA半合致ドナーからのPBSCTプロトコールにおいて、ATGが鍵となる役割を果たしており、生存者のQOL改善をもたらしている。