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移植適応のない未治療多発性骨髄腫を対象とした、レナリドミド+低用量デキサメタゾンの第3相試験

Final analysis of survival outcomes in the phase 3 FIRST trial of up-front treatment for multiple myeloma
(Blood 2018;131:301-310)

今回のFIRST試験の最終解析では、新規に診断された多発性骨髄腫(NDMM)患者で移植の適応が無く、レナリドミドと低用量デキサメタゾン(Rd)で骨髄腫が進行するまで治療された患者(Rd continuous)、Rdで72週間治療された患者(18サイクル; Rd18)、メルファラン、プレドニゾン、サリドマイドで治療された患者(MPT; 72週間)を対象に、生存成績を検討した。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とした。全生存期間(OS)は重要な副次評価項目である(最終解析は追跡期間60ヶ月以上と予め規定されていた)。

患者は無作為にRd continuous (n = 525)、Rd18 (n = 541)、MPT (n = 547)に割り付けられた。観察期間の中央値は67ヶ月で、PFSはRd continuousの方がMPTよりも有意に長かった(ハザード比[HR] 0.69; 95%信頼区間[CI] 0.59〜0.79; p < 0.00001)。また、Rd18と比較しても同様にPFSが長かった。OSの中央値はRd continuousの方がMPTよりも10ヶ月長く(59.1ヶ月 vs 49.1ヶ月; HR 0.78; 95% CI 0.67〜0.92; p = 0.0023)、Rd18との間には有意な差がなかった(62.3ヶ月)。完全奏功またはvery good partial responseを達成した患者において、Rd continousはRd18と比較して次の治療までの期間が中央値で30ヶ月以上長かった(69.5ヶ月 vs 39.9ヶ月)。セカンドラインの治療を受けた患者の半数以上がボルテゾミブベースの治療を受けた。セカンドライン治療の結果は、Rd continuousまたはRd18の後にボルテゾミブを投与された患者の方がMPTよりも良好だった。二次発癌を含めて、新たな安全上の懸念事項はみられなかった。

Rd continuousによる治療はMPTと比較して生存成績を有意に改善し、この結果は移植適応の無いNDMM患者においてRd continuousが標準治療となることを支持している。

 

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既成のウイルス特異的T細胞を用いた、同種造血幹細胞移植後にBKV、HHV-6、CMV、AdV、EBV感染症を合併したレシピエントの治療

Off-the-Shelf Virus-Specific T Cells to Treat BK Virus, Human Herpesvirus 6, Cytomegalovirus, Epstein-Barr Virus, and Adenovirus Infections After Allogeneic Hematopoietic Stem-Cell Transplantation

(J Clin Oncol 2017;35:3547-3557)

 

目的
同種造血幹細胞移植(HSCT)で治療された患者の治癒率が向上するのに伴って、重篤なウイルス感染症による治療関連死亡を減らす努力が必要である。条件を満たした第三者のドナーから作られたウイルス特異的なT細胞(VSTs)を輸注することで、HSCTのレシピエントに、すぐに使える既製品としての広域な抗ウイルス防御をもたらすことができるかもしれない。

 

方法
著者らは、頻度の高い5種類のウイルスに特異的なVSTsのバンクを作成した(Epstein-Barr Virus [EBV]、adenovirus [AdV]、cytomegalovirus [CMV]、BK virus [BKV]、human herpesvirus 6 [HHV-6])。今回の第2相試験において、のべ45の感染を合併した患者38人にVSTsが投与された。

 

結果
1回の輸注で、完全奏功または部分奏功の累積率は92%(95% CI 78.1%〜98.3%)だった。ウイルスの種類別では、BKV(n = 16)が100%、CMV(n = 17)が94%、AdV(n = 7)が71%、EBV(n = 2)が100%、HHV-6 (n = 3)が67%だった。臨床的なベネフィットは感染症を1つ合併していた患者31人、複数の感染症を合併していた7人で得られた。BKV関連の出血性膀胱炎を治療された14人のうち13人で、6週間後までに多量の血尿が完全に消失した。輸注は安全で、grade 1のGVHDが2人でみられた。epitope profilingによるVSTの追跡調査で、最長12週間にわたって第三者由来の機能的なVSTsが残っていることが示された。

 

結論
事前に作成したVSTsの使用は耐用性良好で安全であり、HSCT後の重症かつ薬剤抵抗性の感染症に対して有効で、2種類のウイルス(BKVとHHV-6)による感染にも有効だった。これらの感染症は、これまで既製品のターゲットとなっていなかった。さらに、VSTsが複数の特異性を持つことは抗ウイルス作用の範囲を広げ、結果として複数の感染症を合併した患者の治療を行いやすくなる。

未治療の慢性期慢性骨髄性白血病患者に対する、ボスチニブとイマチニブの第3相試験

Bosutinib Versus Imatinib for Newly Diagnosed Chronic Myeloid Leukemia: Results From the Randomized BFORE Trial
(J Clin Oncol 2018;36:231-237)

目的
ボスチニブはSRC/ABLキナーゼの両者を強力に阻害する薬剤であり、前治療に抵抗性または耐えられない、成人のフィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病 chronic myeloid leukemia (CML)に適応がある。著者らは、慢性期CMLのファーストライン治療としてのボスチニブとイマチニブの有効性と安全性を比較評価した。

方法
この試験は現在も実施中の多国間第3相臨床試験で、新たに慢性期CMLと診断された536人の患者を1:1の比でイマチニブ群(400 mg、1日1回。n = 268)とボスチニブ群(400 mg、1日1回。n = 268)に無作為に割り付けた。プロトコール毎に、典型的な転写産物(e13a2またはe14a2)によりフィラデルフィア染色体が確認された患者を対照として有効性を評価した。フィラデルフィア染色体陰性/BCR-ABL1陽性、フィラデルフィア染色体不明/非定型BCR-ABL1転写タイプはこの対象から除外した。

結果
主要評価項目である12ヶ月時点での分子遺伝学的大奏功major molecular response (MMR)達成率はボスチニブ群がイマチニブ群よりも有意に高く(47.2% vs 36.9%; P = 0.02)、12ヶ月時点での細胞遺伝学的完全奏功complete cytogenetic response (CCyR)達成率も同様だった(77.2% vs 66.4%; P = 0.0075)。累積頻度もボスチニブ群の方が良好で、治療の効果が出るのも早かった(MMR: ハザード比 1.34; P = 0.0137; CCyR: ハザード比 1.38; P < 0.001)。ボスチニブ群の4人(1.6%)とイマチニブ群の6人(2.5%)で移行期または急性期への進行がみられた。ボスチニブ群の22.0%とイマチニブ群の26.8%で治療が中止され、原因として最も多かったのは薬剤関連毒性だった(12.7% vs 8.7%)。grade 3以上の下痢(7.8% vs 0.8%)、ALTの上昇(19.0% vs 1.5%)、ASTの上昇(9.7% vs 1.9%)がボスチニブ群でより多く認められた。心血管毒性は多くなかった。

結論
ボスチニブで治療された患者はイマチニブを投与された患者と比べてMMRとCCyRの達成率が有意に高く、治療への反応が早かった。ボスチニブの方が消化器イベントとトランスアミナーゼ上昇が多く、これは既知の安全性プロファイルと一致していた。今回の結果から、ボスチニブが慢性期CMLのファーストライン治療として有効な可能性が示された。

 

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オビヌツズマブを用いた、濾胞性リンパ腫に対するファーストライン治療

Obinutuzumab for the First-Line Treatment of Follicular Lymphoma.

(N Engl J Med 2017; 377:1331-1344)

 

背景
リツキシマブをベースとした免疫化学療法は、濾胞性リンパ腫の治療成績を改善した。オビヌツズマブは糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体である。著者らは、未治療の進行期濾胞性リンパ腫患者を対象に、リツキシマブをベースとした化学療法とオビヌツズマブをベースとした化学療法を比較した。

 

方法
患者はオビヌツズマブベースまたはリツキシマブベースの導入化学療法に無作為に割り付けられた。治療効果があった患者には、導入療法で投与されたものと同じ種類の抗体による維持療法が最長2年間行われた。主要評価項目は、責任医師により評価された無増悪生存率とした。

 

結果
合計1,202人の濾胞性リンパ腫患者が無作為割付された(各群601人ずつ)。観察期間の中央値は34.5ヶ月(range 0〜54.5)で、予定された中間解析でオビヌツズマブ群の方がリツキシマブ群よりも有意にリンパ腫増悪、再発、死亡のリスクが低いことが示された(推定3年無増悪生存率 80.0 % vs 73.3%。ハザード比 0.66; 95%信頼区間[CI] 0.51〜0.85; p=0.001)。独立にレビューされた無増悪生存率とtime-to-event end pointでも同様の結果が示された。奏功率は2群間で差がなかった(オビヌツズマブ群 88.5%、リツキシマブ群 86.9%)。grade 3〜5の有害事象はオビヌツズマブ群の方がリツキシマブ群よりも多く(74.6% vs 67.8%)、重篤な有害事象についても同様だった(46.1% vs 39.9%)。死亡に至った有害事象の割合は、2群間で有意な差がなかった(4.0% vs 3.4%)。最も多かった有害事象は投与関連反応で、責任医師によって大半はオビヌツズマブまたはリツキシマブによるものと判断された。(オビヌツズマブ 353/595[59.3%]; 95% CI 55.3〜63.2。リツキシマブ 292/597[48.9%]; 95% CI 44.9〜52.9; p<0.001)。悪心と好中球減少も多くみられた。オビヌツズマブ群の35人(5.8%)、リツキシマブ群の46人(7.7%)が死亡した。

 

結論
オビヌツズマブベースの免疫化学療法と維持療法は、リツキシマブベースの治療よりも無増悪生存期間が長かった。高gradeの有害事象はオビヌツズマブベースの化学療法において多くみられた。

 

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造血幹細胞移植患者を対象とした、letermovirによるCMV感染症予防の第3相試験

Letermovir Prophylaxis for Cytomegalovirus in Hematopoietic-Cell Transplantation
(N Engl J Med 2017; 377:2433-2444)

背景
サイトメガロウイルス cytomegalovirus(CMV)感染は、依然として同種造血幹細胞移植後によくみられる合併症である。letermovirはCMV-terminase complexを阻害する抗ウイルス薬である。

方法
今回の二重盲検化第3相試験で、著者らは18歳以上でCMV抗体陽性の移植レシピエントをletermovir群とプラセボ群に2:1の比で無作為に割り付けた。薬剤は経口または経静脈的に移植後14週間投与され、患者は移植施設とCMV再活性化リスクで層別された上で2群に割り付けられた。letermovirは480 mg/日(シクロスポリンを投与されている患者は240 mg/日)投与された。有意なCMV感染症(顕性感染症、あるいは先制攻撃的治療に至るようなCMVウイルス血症)を発症した患者は試験レジメンを打ち切られ、抗CMV治療を受けた。
主要評価項目は、無作為化の時点でCMV DNAが検出されなかった患者のうち、移植後24週間以内に臨床的に有意なCMV感染症を合併した患者の割合とした。試験から脱落した患者や、24週時点で評価項目に関するデータが得られなかった患者は主要評価項目のイベントが発生したものとして扱った。患者は移植後48週間追跡した。

結果
2014年6月から2016年3月までの間に、合計565人が無作為化され、中央値で移植9日後からletermovirまたはプラセボを投与された。無作為化の時点でCMV DNAが検出されなかった495人の中で、臨床的に有意なCMV感染症を合併した、または移植後24週後までに合併したと取り扱われた患者の数はletermovir群の方がプラセボ群よりも有意に少なかった(122/325[37.5%] vs 103/170[60.6%]、P<0.001)。
有害事象の頻度と重症度は、2群で明らかな差はみられなかった。嘔吐がletermovir群の18.5%、プラセボ群の13.5%でみられ、浮腫が14.5%、9.4%、心房細動または心房粗動が4.6%、1.0%みられた。骨髄毒性と腎毒性はletermovir群とプラセボ群で有意な差がなかった。移植後48週時点での死亡率はletermovir群で20.9%、プラセボ群で25.5%だった。

結論
letermovirの予防投与は、プラセボと比較して臨床的に有意なCMV感染症のリスクを有意に低下させた。letermovirの有害事象は、gradeの低いものが多かった。

 

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MGUS患者の長期追跡結果

Long-Term Follow-up of Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance

(N Engl J Med 2018; 378:241-249)

背景
Monoclonal gammopathy of undetermined significance (MGUS)は、50歳以上の人の約3%でみられる。

方法
著者らは、1960年から1994年までの間にMayo ClinicでMGUSと診断されたsoutheastern Minnesotaに住む1,384人の患者について検討した。観察期間の中央値は34.1年(range 0.0〜43.6)だった。主要評価項目は、多発性骨髄腫やその他の形質細胞異常、リンパ球系異常への進行とした。

結果
14,130人年の観察期間中、147人(11%)でMGUSが進行し、この割合は対照集団と比較して6.5倍(95%信頼区間[CI] 5.5〜7.7)高かった。他の原因による死亡を除外した進行率は10年で10%、20年で18%、30年で28%、35年で36%だった。IgM MGUSの患者においては、血清中のfree light-chain比(κ鎖とλ鎖の比)の異常と血清中のM蛋白高値(≥1.5 g/dL)の2つのリスク因子が進行と関連しており、進行率はリスク因子が2つあると20年で55、1つでは41%、どちらのリスク因子もない患者では19%だった。
non-IgM MGUSでは、リスク因子2が2つある患者では進行率は20年で30%、1つでは20%、1つもない患者では7%だった。MGUS患者の生存率は、年齢と性別をマッチさせたMinnesota住民からなる対照集団と比較して、生存期間が短かった(中央値 8.1年 vs 12.4年、p < 0.001)。

結論
IgM MGUSとnon-IgM MGUSの間で、疾患進行リスクに有意な差がみられた。MGUS患者では、年齢と性別をマッチさせた対照集団と比較して全生存期間が短かった。

 

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再発、またはリヒター症候群に至った慢性リンパ性白血病患者を対象とした、ペムブロリズマブの第2相試験

Pembrolizumab in patients with CLL and Richter transformation or with relapsed CLL.
(Blood. 2017 Jun 29;129(26):3419-3427.)

イブルチニブ(ibrutinib)で治療している慢性リンパ性白血病(CLL)患者の中で、早期に進行する患者はリヒター転換(Richter transformation; RT)を起こすことがしばしばあり、その場合の予後は約4ヶ月と短い。前臨床試験で、programmed death 1 (PD-1)経路がCLLにおける免疫監視機構の阻害に重要な役割を果たしていることが示唆された。今回の第2相試験は、ヒト化PD-1阻害抗体であるペムブロリズマブpembrolizumabを3週間毎に200 mg投与し、再発または形質転換したCLLにおける有効性と安全性を試すためにデザインされた。
登録された患者は25人で、このうち16人が再発CLL、9人がRT(びまん性大細胞型リンパ腫)、60%がイブルチニブによる治療歴があった。
RT患者9人のうち4人(44%)で治療の効果がみられたが、CLL患者では効果がみられた患者はいなかった(0%)。治療効果はがみられた患者は全て、イブルチニブでの治療後に進行したRT患者だった。観察期間の中央値は11ヶ月で、RTコホートの全生存期間中央値は10.7ヶ月だったが、イブルチニブで治療した後に進行した患者では全生存期間は中央値に到達しなかった。治療に関連したgrade 3以上の有害事象は15例(60%)で報告され、いずれも対処可能だった。治療前の腫瘍を解析すると、効果が確認された患者の腫瘍では微小環境におけるPD-L1の発現が増強しており、PD-1の発現が増強している傾向もみられた。
結論として、ペムブロリズマブはRTを来したCLL患者に選択的な効果を示した。この研究の結果はRTを来したCLL患者におけるPD-1阻害のベネフィットを示した初めてのものであり、さらに有効性が認められていけばRTの治療が変わっていく可能性がある。

 

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再発・難治骨髄腫に対するペムブロリズマブ、ポマリドミド、低用量デキサメタゾン併用療法

Pembrolizumab, pomalidomide, and low-dose dexamethasone for relapsed/refractory multiple myeloma.

(Blood. 2017 Sep 7;130(10):1189-1197.)

 

Programmed death 1 (PD-1)受容体とそのリガンド(PD-L1)は多発性骨髄腫(MM)における免疫からの回避を助長している。著者らは、PD-1抗体であるpembrolizumabがポマリドミドによる抗骨髄腫細胞性免疫を増強し、その結果臨床的な効果が改善するという仮説を立てた。今回の単施設第2相試験では、再発・難治性の骨髄腫(RRMM)患者48人に28日サイクルでpembrolizumab (200 mg 静注、2週間ごと)、ポマリドミド(4 mg/日、21日間)、デキサメタゾン(40 mg、週に1回)を投与した。
患者の治療歴は、レジメンの種類の中央値が3(range 2〜5)、年齢の中央値は64歳(35〜83)で、IMiDsとプロテアソーム阻害剤の両方の治療歴があり、73%(35/48)はその両方に抵抗性だった。また、70%(31/48)が自家移植を受けており、62%(30/48)が高リスクの染色体異常を有していた。grade 3または4の有害事象が40%(19/48)に起こり、内訳は、血液毒性が40%(19/48)、高血糖が25%(12/48)、肺炎が15%(7/48)だった。自己免疫による有害事象は肺臓炎が13%(6/48)、甲状腺機能低下が10%(5/48)で、ほとんどがgrade2以下だった。
治療が奏功したのは60%(29/48)で、sCR/CRは8%(4/48)、VGPRが19%(9/48)、PRが33%(16/48)だった。治療効果の持続期間中央値は14.7ヶ月だった。観察期間の中央値は15.6ヶ月で、無増悪生存期間(PFS)の中央値は17.4ヶ月、全生存期間は中央値に到達しなかった。
治療前の骨髄サンプルの解析から、治療に反応した患者ではPD-L1の発現量が多い傾向がみられ、PD-1の発現に関わらずTリンパ球の浸潤が多いほどPFSが長い傾向がみられた。pembrolizumab、ポマリドミド、低容量デキサメタゾンはRRMM患者において許容可能な安全性と持続的な奏功を示した。

 

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再発・難治性の縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫における、ペムブロリズマブの安全性と忍容性

Safety and tolerability of pembrolizumab in patients with relapsed/refractory primary mediastinal large B-cell lymphoma.

(Blood. 2017 Jul 20;130(3):267-270.)


再発・難治性の縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(relapsed/refractory primary mediastinal large B-cell lymphoma; rrPMBCL)の治療の選択肢は限られており、一般に予後は悪い(全奏功率[ORR] 0〜25%、2年全生存率 15%)。PMBCLは高頻度にPD-1リガンドを過剰発現しており、PD-1阻害薬に感受性を示す可能性がある。
著者らは抗PD-1抗体である複数のコホートによる1b相試験であるKEYNOTE-013の一部として、ペムブロリズマブの安全性と抗腫瘍活性を評価した。
データ集計を打ち切った時点で、18人(年齢中央値30歳、過去の治療レジメン数の中央値 3) が試験に登録されて治療を受け、このうち17人が有効性の解析に含まれた。11人(61%)が薬剤に関連した有害事象を経験していた(ほとんどがgrade 1または2)が、有害事象を理由に治療を終了した患者はいなかった。ORRは41%(7/17)で、6人がstable diseaseだった。画像検査で評価可能だった患者16人のうち13人(81%)で標的病変の減少を認めた。観察期間の中央値は11.3ヶ月で、治療効果の持続期間は中央値に到達しなかった。2人の患者は治療期間が最長の2年間に達し、寛解を維持している。患者全体として、全生存期間は中央値に到達せず、治療に反応があった患者はデータ集計を打ち切った時点で全員が生存していた。
これまでに治療を重ねてきたrrPMBCL患者においてこのような結果が出たことから、ペムブロリズマブによるPD-1阻害は管理可能な安全性と有望な抗腫瘍活性を持っていることが示された。

 

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60歳以上のホジキンリンパ腫患者に対するfrontline治療としてのブレンツキシマブ・ベドチンとダカルバジンまたはベンダムスチンの併用療法

Frontline brentuximab vedotin in combination with dacarbazine or bendamustine in patients aged ≥60 years with HL

(Blood. 2017 Dec 28;130(26):2829-2837.)

 

60歳以上の未治療ホジキンリンパ腫患者には治療の選択肢がほとんどなく、治療関連毒性と合併症のために生存率は良くない。
この第2相非無作為化、オープンラベル試験では、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin; BV)単剤での治療と、BV + ダカルバジン(DTIC)、BV + ベンダムスチンの併用療法を評価した。
classical HLがあり、減量したfrontline化学療法の適応が無い患者を対象とした。22人が1.8 mg/kgのBVと375 mg/m2のDTICを最大12サイクル投与され、20人が1.8 mg/kgのBVと90または70 mg/m2のベンダムスチンを最大6サイクル投与された(投与量は毒性に応じて減量)。引き続くBV単剤投与も許容された。約30人がBVとベンダムスチンを投与されたが、重篤な有害事象の頻度(65%)と試験中の2人の脂肪によりベンダムスチン群は中止され、登録も中止された。
ほとんどの患者はstage 3または4で、約半数は3つ以上の合併症があり、QOLを損なうような1つ以上の問題を抱えていた。
BV + DTIC群では、奏効率(ORR)は100%で、完全寛解(CR)率は62%だった。今日に至るまでの無増悪生存率(PFS)の中央値は17.9ヶ月だった。
BV + ベンダムスチン群では、ORRは100%でCR率は88%だった。PFS、全生存率ともに中央値には到達しなかった。
忍容性と奏功の持続性から、BV + DTICは高齢のHL患者におけるfrontline治療の選択肢となる可能性がある。BV + ベンダムスチンは、効果はあるものの、このような患者には耐えられない。

 

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