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自家造血幹細胞移植後に再発・増悪した骨髄腫患者を対象とした、再度の自家移植と経口cyclophosphamideの比較試験

High-dose chemotherapy plus autologous stem-cell transplantation as consolidation therapy in patients with relapsed multiple myeloma after previous autologous stem-cell transplantation (NCRI Myeloma X Relapse [Intensive trial]): a randomised, open-label, phase 3 trial

(Lancet Oncology 2014;15:874-885)

 

[背景] 再発した多発性骨髄腫には標準的な治療がなく、自家造血幹細胞移植(ASCT)の役割は十分に明らかにはされていない。著者らは、ASCTを受けたことがある再発骨髄腫患者を対象として、ASCT併用大量melphalanとcyclophosphamideの比較を行うことを目的とした。

[方法] この多施設参加オープンラベル第3相試験においては、18歳以上の骨髄腫患者で、前回のASCTから18ヶ月以上経過してからの最初の原病増悪または再発のために治療が必要な患者を英国の51施設から集めた。無作為化を行う前に、適格患者はbortezomib、doxorubicin、dexamethasoneからなる導入療法(PAD)を受け、さらに適応があれば末梢血造血幹細胞を採取された。十分量の幹細胞を採取された適格症例は、自動化された無作為化用電話回線を用いて、大量melphalan (200 mg/m^2)併用ASCT群と経口cyclophosphamide (400 mg/m^2/週、12週間)群に1:1で無作為に割り付けられた。無作為化は最初の寛解あるいはプラトーの持続期間の長さ、PADによる再導入療法への反応により層別化された。主要評価項目はtime to progression (TTP)とし、intention to treat解析を行った。

[結果] 2008年4月16日から2012年11月19日までの間に、297例が登録され、このうち293例がPADによる再導入療法を受けた。2008年8月26日から2012年11月26日までの間に、十分量の末梢血幹細胞を採取できた174例が救援ASCT群(n = 89)またはcyclophosphamide(CY)群(n = 85)に無作為に割り付けられた。観察期間の中央値は31ヶ月(IQR 19-42)で、TTP中央値はASCT群の方がCY群よりも有意に長かった(19ヶ月 vs 11ヶ月、hazard ratio 0.36 [95%CI 0.25-0.53]、p < 0.0001)。高頻度(> 10%)に報告されたgrade 3-4の有害事象は、好中球減少(PAD 43%[125/293]、ASCT 76% [63/86] vs CY 13% [11/84])、血小板減少(PAD 51% (150/293)、ASCT 72% (60/86) vs CY 5% [4/84])、末梢神経障害(PAD 12% [35/293]、ASCT 0 vs CY 0)だった。

[解釈] 今回の研究では、強力な治療の適応がある再発骨髄腫患者において、大量melphalan併用ASCTがcyclophosphamideと比較して効果を改善するというエビデンスがもたらされ、これは同じような患者の治療方針に関する臨床判断の助けとなるかもしれない。