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メトホルミンはMGUSから骨髄腫への移行リスクを軽減するかもしれない

Association between metformin use and progression of monoclonal gammopathy of undetermined significance to multiple myeloma in US veterans with diabetes mellitus: a population-based retrospective cohort study

(Lancet Haematol 2015;2:e30-36)

背景 多発性骨髄腫は米国において最も多い血液悪性腫瘍の一つであり、一定の割合でmonoclonal gammopathy of undetermined significance (MGUS)から移行する。著者らはメトホルミン使用とMGUSから骨髄腫への移行の関連について評価した。

方法 米国退役軍人保健局データベースに登録され1999年10月1日から2009年12月31日までの間にMGUSと診断された症例を対象として、後ろ向きコホート研究を実施した。MGUSと診断される前に少なくとも1つ以上糖尿病のICD-9コードがつけられ1つ以上の糖尿病治療を受けた症例(年齢>18歳)を対象とした。著者らは症例レベルで臨床データを調べ、診断を確認し、ベースラインのM蛋白量とMGUSの種類についてのデータを抽出した。糖尿病があり、糖尿病の診断から骨髄腫への進展、死亡、追跡打ち切りまでの間に4年間メトホルミンを投与された症例をメトホルミン投与症例と定義した。主要評価項目はMGUSの診断から骨髄腫へ移行するまでの期間とした。カプランマイヤー曲線とCoxモデルを用いてメトホルミン投与とMGUS増悪の関連について解析した。

結果 3287例のデータが得られ、最終的な解析コホートには2003例(61%)が登録された。追跡期間の中央値は69ヶ月(IQR 49-96)で、463例(23%)がメトホルミン使用症例、1540例(77%)がメトホルミン非使用症例だった。メトホルミン使用症例のうち13例(3%)、非使用症例のうち74例(5%)がそれぞれ骨髄腫に移行した。調整後、メトホルミン使用は骨髄腫への移行のリスク軽減と関連していた(hazard ratio 0.47, 95% CI 0.25-0.87)。

解釈 MGUSと診断された糖尿病患者について、メトホルミンの4年以上の使用はMGUSから骨髄腫への移行リスクを減じた。この関連が偶然なのか、この結果を糖尿病のない人に外挿できるのかを明確にするため、前向き試験が必要である。