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同種造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス活性化は、急性骨髄性白血病再発リスクの低下と関連している。

Cytomegalovirus Reactivation after Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation is Associated with a Reduced Risk of Relapse in Patients with Acute Myeloid Leukemia Who Survived to Day 100 after Transplantation: The Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation Transplantation-related Complication Working Group.

(Biol Blood Marrow Transplant. 2015 Nov;21(11):2008-16.)

 

サイトメガロウイルス cytomegalovirus (CMV)感染症は同種造血幹細胞移植 allogeneic hematopoietic cell transplantation (allo-HSCT)後に合併する主要な感染症の一つである。近年、CMVの再活性化が急性骨髄性白血病 acute myeloid leukemia (AML)患者における再発リスクの低下と関連していると報告された。今回の研究の目的は、大規模な患者コホートを対象に、早期のCMV再活性化がallo-HSCT後の疾患再発の頻度に与える影響を評価することである。
著者らは、日本造血細胞移植学会の移植登録一元管理プログラムに登録されたデータベースを後方視的に調査した。2000年から2009年までの間にHLAが一致した血縁または非血縁ドナーから初めてのallo-HSCTを受けた患者で、かつ移植後100日まで再発なく生存した患者を対象とした。疾患の内訳は、AMLが1836人、急性リンパ性白血病 acute lymphoblastic leukemia (ALL)が911人、慢性骨髄性白血病 chronic myeloid leukemia (CML)が223人、骨髄異形成症候群 myelodysplastic syndrome (MDS)が569人だった。臍帯血移植を受けた患者は含まれていない。
生着時点からpp65アンチゲネミアを用いてモニターし、先制攻撃的治療preemptive therapyの開始をCMV再活性化と定義した。再発、非再発、全死亡に関するリスク因子の評価にはコックス比例ハザードモデルを用いた。CMV再活性化と急性または慢性GVHDは時間依存性の共変量として評価した。
CMV再活性化はAML患者において再発率低下と関連していた(20.3% vs 26.4%, P = 0.027)が、ALL、CML、MDS患者では関連がみられなかった。AML患者1836人の中で、CMV再活性化は795人(43.3%)でみられ、allo-HSCTから再活性化までの日数の中央値は42日だった。また、436人(23.7%)でAMLが再発し、再発までの日数の中央値は221日だった。grade II〜IVの急性GVHDは630人(34.3%)でみられた。その他のリスク因子も考慮した多変量解析で、3つの因子がAML再発リスクの低下と有意に関連しており、1つの因子が再発リスクの増加と関連していた。CMV再活性化(ハザード比[HR] 0.77; 95%信頼区間[CI] 0.59〜0.99)、非血縁ドナーからの移植(0.59; 0.42〜0.84)、慢性GVHD(0.77; 0.60〜0.99)が再発リスクの低下と関連しており、より進行した病状が再発リスクの増加と関連していた(HR 1.99; 95% CI 1.56〜2.52)。しかし、CMV再活性化は非再発死亡(HR 1.60; 95% CI 1.18〜2.17)、全死亡(1.37; 1.11〜1.69)の増加と関連していた。
原疾患の再発に対するCMV再活性化の有益な効果はAML患者で観察されたが、他の血液腫瘍患者では確認されなかった。しかし、この有益性は非再発死亡の増加により打ち消された。機序については不明であるが、CMV再活性化に対する免疫の活性化がこの関連において重要な役割を果たしている。それゆえに、ワクチンやT細胞の輸注など、免疫を増強するような治療が、非再発死亡率を最小化しつつCMV再活性化の効果を利用するのに役立つかもしれない。

 

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