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panobinostat、ボルテゾミブ、デキサメタゾン併用療法の第3相臨床試験(PANORAMA 1 trial)の最終解析結果

Overall survival of patients with relapsed multiple myeloma treated with panobinostat or placebo plus bortezomib and dexamethasone (the PANORAMA 1 trial): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial.

(Lancet Haematol. 2016, PMID 27751707)

www.ncbi.nlm.nih.gov

背景 第3相試験PANORAMA 1 trialにおいて、panobinostatをボルテゾミブとデキサメタゾンに併用することで、ボルテゾミブ、デキサメタゾンとプラセボで治療した場合と比較して無増悪生存率が有意に上昇することが示された。今回、著者らはこの試験の最終的な全生存率解析結果を報告する。

方法 PANORAMA 1は1〜3種類の前治療歴がある再発または難治性の骨髄腫患者を対象とした第3相試験である。患者は1:1の割合で、panobinostatまたはプラセボのいずれかと、ボルテゾミブ(1.3mg/m2 静注)とデキサメタゾン(20mg 内服)を併用した治療に無作為に割り付けられ、2つのphaseの治療を受けた。phase 1 (3週サイクルx8回)においては、panobinostatまたはプラセボをday1,3,5,8,10,12、ボルテゾミブをday1,4,8,11、デキサメタゾンをday1,2,4,5,8,9,11,12に投与するレジメンで治療された。phase 2 (2週投薬、1週休薬のペースで6週間サイクルの治療を4サイクル)では、panobinostatまたはプラセボを週に3回、ボルテゾミブを週に1回、デキサメタゾンをボルテゾミブ投与日と投与翌日に投与された。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存率を重要な副次評価項目とした。

結果 2010年1月21日から2012年2月29日までの間に768人が本試験に登録され、panobinostat群(n=387)またはプラセボ群(n=381)に無作為に割り付けられた。データ登録打ち切り時点(2015年6月29日)において、415人が死亡していた。全生存期間の中央値はpanobinostat群で40.3ヶ月(95%信頼区間 35.0〜44.8)、プラセボ群で35.8ヶ月(29.0〜40.6)だった(hazard ratio [HR] 0.94, 95%信頼区間 0.78〜1.14; p=0.54)。ボルテゾミブとIMiDsを含んだ2種類以上のレジメンでの前治療歴のある患者においては、全生存期間中央値はpanobinostat群(n=73)で25.5ヶ月(19.6〜34.3)、プラセボ群(n=74)で19.5ヶ月(14.1〜32.5)だった(HR 1.01、95%信頼区間 0.68〜1.50)。

考察 ボルテゾミブとデキサメタゾンにpanobinostatまたはプラセボを併用することによる全生存期間への寄与は大きくなかった。しかし、さらなる臨床試験での検証が必要ではあるが、治療レジメンを最適化することで治療の持続期間を延長し、患者の予後を改善させる可能性が示唆された。