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CNS-IPI:R-CHOPで治療されたDLBCL患者のCNS再発・浸潤リスクモデル

CNS International Prognostic Index: A Risk Model for CNS Relapse in Patients With Diffuse Large B-Cell Lymphoma Treated With R-CHOP.

J Clin Oncol. 2016 Sep 10;34(26):3150-6

PMID: 27382100, DOI: 10.1200/JCO.2015.65.6520

 

目的

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象とした中枢神経(CNS)再発のリスクスコアを開発し,検証する。

患者と方法

German High-Grade Non-Hodgkin Lymphoma Study GroupとMabThera International Trialの臨床試験に参加し,リツキシマブとCHOP(またはCHOPに類似したレジメン)で治療されたアグレッシブB細胞リンパ腫(DLBCLが80%)の患者,合計2,164人(年齢18〜80歳)を対象とし,CNS再発またはCNSへのリンパ腫進展について解析した。出来上がったリスクモデルは,British Columbia Cancer Agency Lymphoid Cancer databaseから抽出した1,597人のDLBCL患者のデータセットを用いて検証した。

結果

リスクモデルはInternational Prognostic Index (IPI)のリスク因子に加えて腎臓または副腎への浸潤の有無からできている(CNS-IPI)。3つのリスクグループに分けられ,低リスク群(解析患者の46%が該当),中等度リスク群(41%),高リスク群(12%)の2年CNS病変発生率はそれぞれ0.6%(95%信頼区間0-1.2),3.4%(2.2-4.4),10.2%(6.3-14.1)だった。British Columbia Cancer Agencyのデータセットを用いた検証の結果,類似した結果が得られ,具体的には低リスク群,中等度リスク群,高リスク群で0.8%(0.0-1.6),3.9%(2.3-5.5),12.0%(7.9-16.1)だった。

 

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(画像は文献より引用。Fig. 3)

結論

CNS-IPIは強力で高い再現性を示し,R-CHOPで治療されたDLBCL患者のCNS再発またはCNSへの進展リスクの推定に使用することができる。DLBCL患者の90%近くは低または中等度リスク群に分類され,CNS再発リスクは5%未満であった。これらの患者は,診断的介入や治療的介入を省略しても良いかもしれない。対照的に,高リスク群の患者はCNS再発のリスクが10%を超えており,CNSを対象とした探索や予防的介入を考慮すべきである。

 

まとめ:CNS-IPI

  1. 年齢 (≧61歳)
  2. 血清LDH (>正常上限)
  3. Perfoemance status (ECOG) (≧2)
  4. 病期 (3期または4期)
  5. 節外病変数 (≧2)
  6. 腎臓または副腎に浸潤がある

該当項目0〜1個:低リスク群 (2年CNS再発・浸潤率 0.6〜0.8%)

該当項目2〜3個:中リスク群 (3.4〜3.9%)

該当項目4〜6個:高リスク群 (10.2〜12.0%)

 

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