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中枢神経原発リンパ腫の補助的治療としてのガンマナイフの有効性:前方視的観察研究

Primary Central Nervous System Lymphoma (PCNSL): Analysis of Treatment by Gamma Knife Radiosurgery and Chemotherapy in a Prospective, Observational Study.

Cureus. 2016;8:e697.

www.ncbi.nlm.nih.gov

背景 中枢神経原発リンパ腫(PCNSL)は脳、中枢神経の腫瘍の3%に満たない稀な癌である。侵される組織には脳実質、軟膜、眼、脊髄が含まれる。新たに診断されたPCNSLでは大量メトトレキサート(MTX)が標準的な治療法である。しかし、ガンマナイフによる放射線外科療法(GKRS)は補助的な治療法として有効かもしれない。今回の前方視的観察コホート研究の目的は、PCNSLの治療においてGKRSを併用した場合のMTXの有効性の評価である。

方法 本研究は前方視的な観察コホート研究であり、組織学的PCNSLと確定した患者の治療におけるMTX(8g/m2)単独での治療とMTX、GKRSを併用した治療を評価した。厳格な適格、除外基準を採用した。主要評価項目は生存率とした。副次評価項目は腫瘍の治療に対する反応性、画像検査上の腫瘍の縮小とした。

結果 2007年1月から2012年1月までの、128例を評価した。73例が化学療法単独(control)で、55例(variable)が化学療法とGKRSの併用で治療された。

観察期間は24〜49か月(中央値36.9か月)だった。患者背景や組織学的な診断に、両群間で差はみられなかった。ガンマナイフで治療された患者の線量は11〜16Gy(中央値11Gy)だった。最初の診断からの生存期間中央値は化学療法単独群で26.8か月、化学療法とGKRS併用群で47.6か月だった(P=0.0034)。GKRS後3〜6週後(中央値6.3週)にMRIで評価すると、すべての病変が感染奏功の状態だった。

結論 GKRSは侵襲が少なく、安全であり、速やかな効果を示し、患者の予後を改善させた。この非侵襲的な治療は、PCNSL患者の治療選択肢として考慮されるべきである。今回の研究では、大量メトトレキサート療法の補助的治療としてのGKRSは統計学的に有意な腫瘍制御効果を示しており、全生存期間を延長し、合併症は少なかった。