メモ帳

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骨髄腫患者における血流感染の疫学

Epidemiology of bloodstream infections in patients with myeloma receiving current era therapy

Eur J Haematol. 2017;98:149-153.

PMID: 27717026, DOI: 10.1111/ejh.12813

www.ncbi.nlm.nih.gov

目的

血流感染(BSI)は多発性骨髄腫(MM)治療における重篤な合併症である。この研究の目的は、最近のIMiDsやプロテアソーム阻害剤、自家造血幹細胞移植(ASCT)を含むMM治療レジメンにおけるBSIの疫学を明らかにすることである。

方法

2008年から2012年までにMMと診断された症例の臨床的、微生物学的記録を、患者背景骨髄腫の特徴、BSIの特徴(病型、重症度、予後)を把握するために標準化された方法で調べた。BSIの臨床的予測因子を決定するためにConditional risk set modellingを用いた。

結果

調査した199例のうち、71例(35.6%)でBSIがみられた(98の感染エピソード)。頻度がピークに達したのはMMと診断されてから4〜6ヶ月目で、頻度は100人-年あたり65.1エピソードだった。また、診断後64〜66ヶ月目にも遅いピークがみられた。原因菌としては、導入療法中にはグラム陽性菌が最も多く(54.5%)、病勢増悪期にはグラム陰性菌が最も多かった(57.7%)。全体では、大腸菌が最も高頻度に検出された。肺炎球菌は6.1%を占め、診断からの中央値は7.5ヶ月だった。ICU入室率と死亡率が最も高かったのは病勢増悪期におけるBSIだった(ICU入室率 23.1%、死亡率 11.5%)。最近のASCTはBSIリスク増加と関連していた(HR 3.09, P=0.05)。

結論

病勢増悪期の治療は感染のリスクが高いということが、グラム陰性菌や肺炎球菌によるBSIの割合が高いことにより裏付けられた。この時期の重症化や死亡を減らすための予防戦略(予防投与、ワクチン接種)の評価が必要である。