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非ホジキンリンパ腫サバイバーにおける、治療開始時点の心血管リスク因子と、治療開始後に起こる心不全の関連

Preexisting Cardiovascular Risk and Subsequent Heart Failure Among Non-Hodgkin Lymphoma Survivors.

J Clin Oncol. 2017

PMID 28922087

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】アントラサイクリンを使用した化学療法は非ホジキンリンパ腫(NHL)サバイバーの心不全と関連している。著者らは、化学療法前からあった心血管リスク因子の、NHLサバイバーの心不全リスクへの寄与を理解することを目的とした。

【方法】著者らは、2000年から2010年までの間にアグレッシブNHLと診断された成人患者群と、性別と年齢を調整した対照群を設定した。診断9か月後から2012年まで心不全を評価した。NHLサバイバーと対照群の間で心不全のリスクに差があるかどうかを評価するために、Cox回帰分析を行った。サバイバー群においてのみ、化学療法前からあった心血管リスク因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病)と心血管疾患を確認した。化学療法前の心血管の状態とその後起こった心不全との関連をモデル化するために多変量Cox回帰分析を行った。

【結果】2,508人のNHLサバイバー群と7,399人の対照群が評価対象となり、サバイバー群では対照群と比較して心不全のリスクが42%高かった(hazard ratio [HR] 1.42; 95% CI, 1.07-1.88)。サバイバー群(診断時年齢中央値 62歳、男性 56%)において、115人がフォローアップ中に心不全と診断された(フォローアップ期間中央値 2.5年)。NHLと診断される前の時点で、39%が1つ以上の心血管リスクを持っていた。また、サバイバーの92%がアントラサイクリンを含んだレジメンで治療されていた。

多変量解析では、治療前に診断されていた心疾患が心不全のリスク増加と関連しており(HR 2.71; 95% CI, 1.15-6.36)、一方で血管疾患は心不全と関連していなかった(P > 0.05)。心血管リスク因子のあるサバイバーはリスク因子のないサバイバーと比較して心不全のリスクが高かった(1個 vs 0個: HR 1.63, 95% CI, 1.07-2.47。2個以上 vs 0個: HR 2.86, 95% CI, 1.56-5.23; joint P < 0.01)。

【結論】NHLサバイバーを対象とした大規模な(population-based)コホート研究において、化学療法開始前の心血管状態は心不全リスク増加と関連していた。心不全を回避するためには、治療開始前の心血管の状態を考慮に入れなければならない。