メモ帳

血液内科関連の論文について,主にアブストラクトの日本語訳を載せています.基本は自分用メモですので,ご利用の際はその点ご了承ください.

中枢神経原発リンパ腫に対する地固め療法としての全脳照射と自家幹細胞移植の成績

Whole-brain radiotherapy or autologous stem-cell transplantation as consolidation strategies after high-dose methotrexate-based chemoimmunotherapy in patients with primary CNS lymphoma: results of the second randomisation of the International Extranodal Lymphoma Study Group-32 phase 2 trial

Lancet Haematology 2017;4:e510-e523

PMID: 29054815, DOI: dx.doi.org/10.1016/S2352-3026(17)30174-6

背景

International Extranodal Lymphoma Study Group-32 (IELSG32) 試験は国際共同第2相試験であり,新たに中枢神経(CNS)原発リンパ腫と診断された患者の治療における2つの鍵となるクリニカルクエスチョンを扱った試験である。1つ目無作為化の結果は,メトトレキサート,シタラビン,チオテパ,リツキシマブの併用レジメン(MATRixレジメン)が他の併用療法と比べて,導入療法としての治療成績が優れていることが示された。今回著者らは,全脳照射(WBRT)の代わりに(大量メトトレキサート投与をベースとした免疫化学療法を行った後の)地固め療法として実施した自家幹細胞移植併用骨髄破壊的化学療法の有効性を報告する。

方法

新たにCNS原発リンパ腫と診断されたHIV陰性,ECOG-PS 0〜3の患者(18〜70歳)を無作為に3群(group A, B, C)に割り付けた。

group A: メトトレキサート(3.5 g/m2,day1),シタラビン(2 g/m2,1日2回,day 2,3)

group B: group Aのレジメンに加えて,リツキシマブ(375 mg/m2,day -5, 0)

group C: group Bのレジメンに加えてチオテパ(30 mg/m2,day4)

各群とも3週サイクルで4コースの治療を受けた。

導入療法で効果があったか病勢に変化がみられなかった患者で,かつ適切に末梢血造血幹細胞採取ができ,持続的な医原性の副作用がみられなかった患者は2回目の無作為割付で2群に割り付けられた(group D, E)

group D: 全脳照射(WBRT。4〜10 MeV。1週間に5回照射。1回の照射線量は180 cGy。導入療法の最後のコースから4週間以内に開始)

group E: carmustineとチオテパで前処置を行う自家幹細胞移植(carmustine 400 mg/m2 day-6,チオテパ 5 mg/kg 12時間毎,day-5, -4)

どちらの無作為化も,置換ブロック法が用いられ,各階層でコンピュータが生成した無作為化リストが使用された。割付後のマスキングは行われなかった。

主要評価項目は導入療法群毎と,導入療法の奏功毎の2年無増悪生存率とした。解析はmodified intention-to-treatにより行われた。

結果

2010年2月19日から2014年8月27日までの間に5カ国53施設の227人が候補となった。227人の参加者のうち,219人が評価可能だった。2回目の無作為割付の対象となった122人のうち,118人がWBRTまたはASCTに割り付けられた(各群 59人)。WBRTとASCTはいずれも有効で,両群とも事前に定められた有効性の閾値(各群最初の52人のうち,2年後無増悪生存者が40人以上)を達成した。WBRTとASCTの間に2年無増悪生存率の有意な差はみられず,group D(WBRT)群が80%(95% CI 70-90),group E(ASCT)が69%(59-79),ハザード比は1.50 (95% CI 0.83-2.71; p=0.17)だった。どちらの地固め療法も,有害事象は許容可能だった。grade 4の非血液毒性は多くなかった一方,血液毒性は予想された通りASCTの方がWBRTより多かった。毒性による死は2例あり,いずれも感染症によるものでASCT群だった。

解釈

WBRTとASCTはいずれも,新たに診断された70歳以下のCNS原発リンパ腫患者において,大量メトトレキサートを含んだ化学免疫療法を行った後の地固め療法として実施可能でかつ有効だった。治療法を決定する際には,WBRT後の認知機能障害のリスクと影響について考慮されるべきである。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov