メモ帳

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造血幹細胞移植患者を対象とした、letermovirによるCMV感染症予防の第3相試験

Letermovir Prophylaxis for Cytomegalovirus in Hematopoietic-Cell Transplantation
(N Engl J Med 2017; 377:2433-2444)

背景
サイトメガロウイルス cytomegalovirus(CMV)感染は、依然として同種造血幹細胞移植後によくみられる合併症である。letermovirはCMV-terminase complexを阻害する抗ウイルス薬である。

方法
今回の二重盲検化第3相試験で、著者らは18歳以上でCMV抗体陽性の移植レシピエントをletermovir群とプラセボ群に2:1の比で無作為に割り付けた。薬剤は経口または経静脈的に移植後14週間投与され、患者は移植施設とCMV再活性化リスクで層別された上で2群に割り付けられた。letermovirは480 mg/日(シクロスポリンを投与されている患者は240 mg/日)投与された。有意なCMV感染症(顕性感染症、あるいは先制攻撃的治療に至るようなCMVウイルス血症)を発症した患者は試験レジメンを打ち切られ、抗CMV治療を受けた。
主要評価項目は、無作為化の時点でCMV DNAが検出されなかった患者のうち、移植後24週間以内に臨床的に有意なCMV感染症を合併した患者の割合とした。試験から脱落した患者や、24週時点で評価項目に関するデータが得られなかった患者は主要評価項目のイベントが発生したものとして扱った。患者は移植後48週間追跡した。

結果
2014年6月から2016年3月までの間に、合計565人が無作為化され、中央値で移植9日後からletermovirまたはプラセボを投与された。無作為化の時点でCMV DNAが検出されなかった495人の中で、臨床的に有意なCMV感染症を合併した、または移植後24週後までに合併したと取り扱われた患者の数はletermovir群の方がプラセボ群よりも有意に少なかった(122/325[37.5%] vs 103/170[60.6%]、P<0.001)。
有害事象の頻度と重症度は、2群で明らかな差はみられなかった。嘔吐がletermovir群の18.5%、プラセボ群の13.5%でみられ、浮腫が14.5%、9.4%、心房細動または心房粗動が4.6%、1.0%みられた。骨髄毒性と腎毒性はletermovir群とプラセボ群で有意な差がなかった。移植後48週時点での死亡率はletermovir群で20.9%、プラセボ群で25.5%だった。

結論
letermovirの予防投与は、プラセボと比較して臨床的に有意なCMV感染症のリスクを有意に低下させた。letermovirの有害事象は、gradeの低いものが多かった。

 

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