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未治療の慢性期慢性骨髄性白血病患者に対する、ボスチニブとイマチニブの第3相試験

Bosutinib Versus Imatinib for Newly Diagnosed Chronic Myeloid Leukemia: Results From the Randomized BFORE Trial
(J Clin Oncol 2018;36:231-237)

目的
ボスチニブはSRC/ABLキナーゼの両者を強力に阻害する薬剤であり、前治療に抵抗性または耐えられない、成人のフィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病 chronic myeloid leukemia (CML)に適応がある。著者らは、慢性期CMLのファーストライン治療としてのボスチニブとイマチニブの有効性と安全性を比較評価した。

方法
この試験は現在も実施中の多国間第3相臨床試験で、新たに慢性期CMLと診断された536人の患者を1:1の比でイマチニブ群(400 mg、1日1回。n = 268)とボスチニブ群(400 mg、1日1回。n = 268)に無作為に割り付けた。プロトコール毎に、典型的な転写産物(e13a2またはe14a2)によりフィラデルフィア染色体が確認された患者を対照として有効性を評価した。フィラデルフィア染色体陰性/BCR-ABL1陽性、フィラデルフィア染色体不明/非定型BCR-ABL1転写タイプはこの対象から除外した。

結果
主要評価項目である12ヶ月時点での分子遺伝学的大奏功major molecular response (MMR)達成率はボスチニブ群がイマチニブ群よりも有意に高く(47.2% vs 36.9%; P = 0.02)、12ヶ月時点での細胞遺伝学的完全奏功complete cytogenetic response (CCyR)達成率も同様だった(77.2% vs 66.4%; P = 0.0075)。累積頻度もボスチニブ群の方が良好で、治療の効果が出るのも早かった(MMR: ハザード比 1.34; P = 0.0137; CCyR: ハザード比 1.38; P < 0.001)。ボスチニブ群の4人(1.6%)とイマチニブ群の6人(2.5%)で移行期または急性期への進行がみられた。ボスチニブ群の22.0%とイマチニブ群の26.8%で治療が中止され、原因として最も多かったのは薬剤関連毒性だった(12.7% vs 8.7%)。grade 3以上の下痢(7.8% vs 0.8%)、ALTの上昇(19.0% vs 1.5%)、ASTの上昇(9.7% vs 1.9%)がボスチニブ群でより多く認められた。心血管毒性は多くなかった。

結論
ボスチニブで治療された患者はイマチニブを投与された患者と比べてMMRとCCyRの達成率が有意に高く、治療への反応が早かった。ボスチニブの方が消化器イベントとトランスアミナーゼ上昇が多く、これは既知の安全性プロファイルと一致していた。今回の結果から、ボスチニブが慢性期CMLのファーストライン治療として有効な可能性が示された。

 

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