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既成のウイルス特異的T細胞を用いた、同種造血幹細胞移植後にBKV、HHV-6、CMV、AdV、EBV感染症を合併したレシピエントの治療

Off-the-Shelf Virus-Specific T Cells to Treat BK Virus, Human Herpesvirus 6, Cytomegalovirus, Epstein-Barr Virus, and Adenovirus Infections After Allogeneic Hematopoietic Stem-Cell Transplantation

(J Clin Oncol 2017;35:3547-3557)

 

目的
同種造血幹細胞移植(HSCT)で治療された患者の治癒率が向上するのに伴って、重篤なウイルス感染症による治療関連死亡を減らす努力が必要である。条件を満たした第三者のドナーから作られたウイルス特異的なT細胞(VSTs)を輸注することで、HSCTのレシピエントに、すぐに使える既製品としての広域な抗ウイルス防御をもたらすことができるかもしれない。

 

方法
著者らは、頻度の高い5種類のウイルスに特異的なVSTsのバンクを作成した(Epstein-Barr Virus [EBV]、adenovirus [AdV]、cytomegalovirus [CMV]、BK virus [BKV]、human herpesvirus 6 [HHV-6])。今回の第2相試験において、のべ45の感染を合併した患者38人にVSTsが投与された。

 

結果
1回の輸注で、完全奏功または部分奏功の累積率は92%(95% CI 78.1%〜98.3%)だった。ウイルスの種類別では、BKV(n = 16)が100%、CMV(n = 17)が94%、AdV(n = 7)が71%、EBV(n = 2)が100%、HHV-6 (n = 3)が67%だった。臨床的なベネフィットは感染症を1つ合併していた患者31人、複数の感染症を合併していた7人で得られた。BKV関連の出血性膀胱炎を治療された14人のうち13人で、6週間後までに多量の血尿が完全に消失した。輸注は安全で、grade 1のGVHDが2人でみられた。epitope profilingによるVSTの追跡調査で、最長12週間にわたって第三者由来の機能的なVSTsが残っていることが示された。

 

結論
事前に作成したVSTsの使用は耐用性良好で安全であり、HSCT後の重症かつ薬剤抵抗性の感染症に対して有効で、2種類のウイルス(BKVとHHV-6)による感染にも有効だった。これらの感染症は、これまで既製品のターゲットとなっていなかった。さらに、VSTsが複数の特異性を持つことは抗ウイルス作用の範囲を広げ、結果として複数の感染症を合併した患者の治療を行いやすくなる。