メモ帳

自分用のメモです。

イキサゾミブは高リスクの再発・難治性骨髄腫患者の無増悪生存率を改善する

Ixazomib significantly prolongs progression-free survival in high-risk relapsed/refractory myeloma patients.
Blood. 2017 Dec 14;130(24):2610-2618.


いくつかの細胞遺伝学的異常は骨髄腫の予後に悪影響を及ぼすことが知られている。第3相試験であるTOURMALINE-MM1試験はイキサゾミブ ixazomib、レナリドミド lenalidomide、デキサメタゾン dexamethasoneの併用療法(IRd)をプラセボ、レナリドミド、デキサメタゾンの併用療法(placebo-Rd)と比較し、IRdが無増悪生存率(PFS)を有意に改善することを示した。今回の事前に計画されていた解析では、fluorescence in situ hybridization (FISH)を用いて評価した細胞遺伝学的リスクに従ってIRdとplacebo-Rdの有効性と安全性を比較評価した。del(17p)、t(4;14)、t(14;16)を高リスクの細胞遺伝学的異常と定義し、1q21の増幅についても評価した。
無作為化された722人の患者のうち、552人で細胞遺伝学的検査結果を確認できた; 137人(25%)に高リスクの細胞遺伝学的異常がみられ、172人(32%)では1q21の増幅のみがみられた。IRdは高リスク、標準リスクのいずれの細胞遺伝学的異常グループにおいてもplacebo-RdよりもPFSを改善させていた。高リスク患者では、ハザード比(HR)は0.543 (95%信頼区間[CI] 0.321〜0.918; p = 0.021)、PFSの中央値は21.4ヶ月 vs 9.7ヶ月、標準リスク患者ではHRは0.640 (95% CI 0.462〜0.888; p = 0.007)、PFSの中央値は20.6ヶ月 vs 15.6ヶ月だった。
このPFSの改善はそれぞれの高リスク細胞遺伝学的異常についても認められ、del(17p)ではHR 0.596; 95% CI 0.286〜1.243だった。IRd群のPFSは1q21の増幅がみられる患者でもplacebo-Rdより長く(HR 0.781; 95% CI 0.492〜1.240)、高リスク細胞遺伝学的異常と1q21増幅のいずれか一つ以上を有する、”拡張した高リスク”群においても同様だった(HR 0.664; 95% CI 0.474〜0.928)。
IRdはplacebo-Rdと比較して、高リスクあるいは標準リスクの細胞遺伝学的異常を有する再発・難治性の骨髄腫患者においてベネフィットを示した。また、高リスク細胞遺伝学的異常に伴うPFSの悪さを改善した。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov