メモ帳

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短縮導入療法で寛解した高齢の慢性リンパ性白血病患者に対する、リツキシマブ維持療法と経過観察の比較試験

Rituximab maintenance versus observation following abbreviated induction with chemoimmunotherapy in elderly patients with previously untreated chronic lymphocytic leukaemia (CLL 2007 SA): an open-label, randomised phase 3 study
Lancet Haematology 2018;5:e82-e94

背景
慢性リンパ性白血病の患者は、そのほとんどがリツキシマブを併用した化学療法を受けた後に再発する。著者らは、フルダラビン、シクロフォスファミド、リツキシマブ(FCR)による短縮した導入療法を行い寛解を達成した高齢患者を対象に、リツキシマブの維持療法と無治療経過観察の有効性と安全性を比較評価した。

方法
今回の試験は無作為化、オープンラベル、多施設参加第3相試験で、フランスの89施設が参加し、未治療で条件を満たす65歳以上の慢性リンパ性白血病患者(del(17p)を除く)を対象とした。ECOG performance status (PS)が0または1で、腎機能と肝機能に問題のない患者を適格とした。

減量無しのFCRを1ヶ月毎に4サイクル、加えて1サイクル目と2サイクル目のday14にリツキシマブを投与という導入療法を完遂し、治療に反応した患者を無作為化の対象とした。具体的なレジメン:フルダラビン内服(40 mg/m^2/日)とシクロフォスファミド内服(250 mg/m^2/日)を各サイクル最初の3日間。リツキシマブ 375 mg/m^2をcycle 1のday0、500 mgをcycle 1のday14、cycle 2のday 1、14、cycle 3とcycle 4のday1にそれぞれ投与。FCRの毒性からの回復と、自発的な試験継続の意思を必須とした。
患者をリツキシマブ(500 mg/m^2)を8週ごとに最長2年間にわたって投与する群と経過観察群に1:1の比で無作為に割り付けた。無作為化はIGHVの変異、del(11q)の有無、導入療法への反応で層別した上で実施した。主要評価項目は無増悪生存期間とし、リツキシマブ維持療法が経過観察と比較して優れているかどうかを評価することを目的とした。最終解析はintention-to-treat populationで実施した。安全性はリツキシマブ群では1回以上試験薬を投与された全ての患者、経過観察群では全ての患者を対象に実施した。

結果
2007年12月14日から2014年2月18日までの間に、542人の患者が登録され、このうち525人でFCR導入療法が開始された。2008年6月10日から2014年8月14日までの間に、409人(78%)が無作為にリツキシマブ群(202人)と経過観察群(207人)に割り付けられた。リツキシマブ群の4人(2%)は割り付けられた治療を受けなかった(原病増悪[1人]、有害事象[3人])。観察期間の中央値は47.7ヶ月(IQR 30.4〜65.8)で、リツキシマブ群の無増悪生存期間の中央値は59.3ヶ月(95% CI 49.6ヶ月〜未到達)で経過観察群よりも有意に長かった(経過観察群の中央値 47.7ヶ月[IQR 30.4〜65.8]; ハザード比 0.55; 95% CI 0.40〜0.75; p = 0.0002)。試験期間中の好中球減少とgrade3〜4の感染症は、リツキシマブ群で有意に多かった(好中球減少 105/198 [53%] vs 74/207 [36%]、grade 3〜4の感染症 38/198 [19%] vs 21/207 [10%])。grade 3〜4の感染症で最も多かったのは下気道感染症だった(24例 [12%] vs 8例 [4%])。基底細胞癌を除いた二次発癌の頻度は両群で差がみられなかった(29例 [15%] vs 23例 [11%])。リツキシマブ群の23例(11%)、経過観察群の16例(8%)で有害事象と関連した死亡がみられた。

考察
条件を満たした高齢患者において、2年間のリツキシマブ維持療法は無増悪生存期間を延長し、安全性は許容可能な範囲内であった。免疫療法による維持療法は,
標的療法の時代においても慢性リンパ性白血病のフロントライン治療における適切な選択肢の一つである。

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