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骨髄腫患者における同種幹細胞移植の治療成績

Allogeneic transplantation of multiple myeloma patients may allow long-term survival in carefully selected patients with acceptable toxicity and preserved quality of life.

PMID: 30237266, PMCID: PMC6355495, DOI: 10.3324/haematol.2018.200881

骨髄腫と診断された患者の生存率と治療奏功率は大きく改善したが,依然として治癒が難しく予後が悪い疾患であり,特に高リスク群では顕著である。同種幹細胞移植は治癒する可能性のある選択肢であるが,少なからぬ治療関連毒性があるために意見が分かれている。

著者らは,2000年から2016年までの間にFreiburg University Medical Centerで強度減弱前処置による同種移植を受けた109人の骨髄腫患者を解析した。ほとんどの患者は高リスク群で多くの前治療歴があったが,全奏功率は70%と高く,全生存期間と無増悪生存期間の中央値はそれぞれ39.2ヶ月*1と14.2ヶ月だった。観察期間の中央値は71.5ヶ月だった。過去に行った治療に反応した患者の方が,骨髄腫が悪化した患者よりも生存期間が長かった(全生存期間中央値 65ヶ月vs 11.5ヶ月, p=0.003, 無増悪生存期間中央値 18.4ヶ月 vs 5.1ヶ月, p=0.001)。さらに,ファーストラインの治療として移植を受けた患者は,再発・治療抵抗性の患者と比べて生存期間が有意に長かった(全生存期間中央値 未到達 vs 21.6ヶ月, p<0.001; 無増悪生存期間中央値 47.7ヶ月 vs 9.6ヶ月, p<0.001)。非再発死亡率は10年間の累積で12.4ヶ月と低かった。grade II〜IVの急性GVHDが25%でみられ,中等度〜重度の慢性GVHDは24%でみられた。revised Myeloma Comorbidity Indexを用いて移植前後にQoLを評価したところ,変化はみられなかった。

著者らのデータから,骨髄腫患者の高リスク群を慎重に選べば,新しい免疫療法という文脈での同種移植は,毒性が許容可能でかつQoLが維持され,長期生存を可能にし,治癒すら可能にするかもしれないことが示唆される。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

*1:アブストラクトの原文は39.2%となっていますが,誤りと思われます