メモ帳

自分用のメモです。

リンパ腫に対する、gemcitabineを含んだ化学療法の報告

タイトル通り。雑多な内容です。そのうち整理します(多分)

Gemcitabine-based combination regimen in patients with peripheral T-cell lymphoma.
(Med Oncol 2013;30:351)
末梢性T細胞リンパ腫26例を対象としたgemcitabineを含むレジメンの治療成績.
組織型の内訳は
・extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type 14例
・peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified 9例
・anaplastic large cell lymphoma, ALK negative 3例
また、17例が未治療で、21例が進行期症例であった。
治療レジメンは
・DIMG (dexamethasone, ifosfamide, methotrexate, gemcitabine) 6例
・GDP (gemcitabine, dexamethasone, cisplatin) 20例
観察期間の中央値は25か月(7-60)で、全奏功率は88.5%。内訳はCRが46.2%、PRが42.3%。また、SDは3.8%、PDは7.7%であった。
1年後、2年後の無増悪生存率は58.7%、45.9%、全生存率は80.6%、63.7%。有害事象(grade 3/4)については、GDP療法を受けた症例で好中球減少が35.0%、血小板減少が15.0%にみられ、DIMG療法を受けた症例では好中球減少が 100%、血小板減少が66.7%でみられた。

Rituximab, gemcitabine, cisplatin, and dexamethasone in patients with refractory or relapsed aggressive B-cell lymphoma.
(Med Oncol 2012;29:2409-2416)
再発・難治aggressive B細胞リンパ腫を対象としたR-GDP療法の臨床試験.
治療レジメンは
・rituximab 375 mg/m^2 (iv) day1
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 (iv) day1, 8
・dexamethasone 40mg (iv) day1-4
・cisplatin 25mg/m^2 (iv) day1-3
※1サイクル21日
主要評価項目は全生存率と無増悪生存率,副次評価項目は奏功率と毒性.対象患者は自家造血幹細胞移植併用大量化学療法,あるいは最大6サイクルまでのGDP療法を受けることが認められた.
2005年から2010年までに治療を受けた50例(DLBCL 30例,FL grade 3b 20例)が対象となった.
観察期間の中央値は42か月(12-70)で,2サイクル終了時点での全奏功率は72%,このうちCR/CRuが56%だった.また,2年全生存率は70.0%,無再発生存率は48.0%だった.grade 3/4の好中球減少,血小板減少が34%,40%でみられた.
21例(42%)が自家造血幹細胞移植を受けた.IPIスコア高値と治療抵抗性が全生存率,無再発生存率の悪さと関連していた.

Salvage chemotherapy and autologous stem cell transplant in primary refractory diffuse large B-cell lymphoma: outcomes and prognostic factors.
(Leuk Lymphoma 2012;53:836-841)
1999年〜2007年に治療された治療抵抗性DLBCL(治療中または治療終了後3か月以内に増悪)の111例についての後方視的解析.最初の治 療はCHOP療法が66%,R-CHOP療法が33%で,14%がIFRTを受けていた.初回救援療法の奏功率は23%で治療レジメン別の内訳はDHAP が15%,ESHAPが36%,GDPが45%だった.25%(28例)が自家造血幹細胞移植を受けた.観察期間の中央値は5.9か月(1-94)で,最 初の治療失敗からの無再発生存期間,全生存期間の中央値はそれぞれ3か月,10か月だった.CHOP群,R-CHOP群の間で予後に差はみられなかった. 第2世代のplatinum-containing regimen (ESHAP, GDP)はDHAPよりも優れている可能性がある.

Efficacy of GDP regimen (gemcitabine, dexamethasone, and cisplatin) on relapsed or refractory aggressive non-Hodgkin's Lymphoma: a report of 24 cases.[Article in Chinese]
(Ai Zheng 2008;27:1222-1225)
再発・難治aggressive非ホジキンリンパ腫に対するGDP療法の治療成績.
治療レジメンは
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 day1, 8
・dexamethasone 20-40 mg day1-3
・cisplatin 25 mg/m^2 day1-3
※1サイクル3週間
24例が合計76サイクルの治療を受けた.治療効果はCRが5例(20.8%),PRが9例,SDが8例,PDが2例だった.全奏功率は58.3% で,B細胞リンパ腫では57.1%,T細胞リンパ腫では60.0%だった(P = 0.889).観察期間の中央値は1.2年で,1年全生存率は41.7%,内訳はB細胞リンパ腫で42.9%,T細胞リンパ腫で40.0%だった(P = 0.986).
grade 3/4の好中球減少が37.5%,血小板減少が25%,貧血が16.7%でそれぞれみられた.非血液毒性は軽度だった.また,治療関連死は無かった.2例が十分な造血幹細胞移植を採取した後に自家移植を受けた.

Similar response rates and superior early progression-free survival with gemcitabine, dexamethasone, and cisplatin salvage therapy compared with carmustine, etoposide, cytarabine, and melphalan salvage therapy prior to autologous stem cell transplantation for recurrent or refractory Hodgkin lymphoma.
(Cancer 2006;106:353-360)
再発・難治ホジキンリンパ腫を対象としたGDP療法とmini-BEAM療法の比較.自家造血幹細胞移植を受けた症例の後方視的解析.
・GDP療法……gemcitabine, dexamethasone, cisplatin
・mini-BEAM……cramustine, etoposide, cytarabine, melphalan
対象症例68例のうち34例がGDP療法,34例がmini-BEAM療法を受けていた.
mini-BEAMで治療された患者は入院で3〜4週毎に治療を受け,GDP療法を受けた患者は外来で3週毎に治療を受けた.治療が奏功した患者は 幹細胞を採取し,自家造血幹細胞移植を受けた(大量etoposide + 大量melphalan).また,再発時点で径5cmを超えるサイズの病変があった患者は移植後にIFRTを受けた.
GDP療法の奏功率は62%(95% CI, 45%-78%),mini-BEAMは68%(95% CI, 52%-83%)で有意な差はみられなかった(P = 0.61).
目標のCD34陽性細胞数(>5 x 10^6 cells/kg)が採取できた割合は,GDP群で97%,mini-BEAM群で57%だった(P = 0.0003).1回のアフェレーシスで採取が完了した患者数はGDP群の方がmini-BEAM群よりも多く(73% vs 36%; P = 0.004),骨髄からの採取が必要だった患者はGDP群の方が少なかった.
観察期間の中央値は移植後1.8年で,1.5年時点での無増悪生存率はGDP群の方がmini-BEAM群よりも有意に高かった(74% vs 35%; P = 0.005).また,1.5年時点での全生存率はGDP群が91%,mini-BEAM群が82%だった(P = 0.23).

Gemcitabine, dexamethasone, and cisplatin in patients with recurrent or refractory aggressive histology B-cell non-Hodgkin lymphoma: a Phase II study by the National Cancer Institute of Canada Clinical Trials Group (NCIC-CTG).
(Cancer 2004;101:1835-1842)
再発・難治aggressive B細胞リンパ腫を対象としたGDP療法の第2相臨床試験.
REAL分類でのびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫とそのvariantが対象.治療レジメンは
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 (iv) day1, 8
・dexamethasone 40 mg (po) day1-4
・cisplatin 75 mg/m^2 (iv) day1
※1サイクル21日.治療は外来で実施.
主要評価項目は2サイクル終了後の治療効果.患者はその後造血幹細胞移植を受けるか,または最大6サイクルまで同内容の治療を受けることができた.
評価可能症例数は51例で,年齢の中央値は57歳(18-84),殆どの症例がびまん性大細胞型リンパ腫だった.2サイクル終了後の全奏功率は 49%(95% CI, 37%-63%)で,8例(16%)がCR,17例(33%)がPRだった.全サイクル終了後の全奏功率は53%で,CRが11例,PRが16例だった.
grade 3/4の好中球減少が33%/39%でそれぞれみられ,grade 3/4の血小板減少が24%/4%でそれぞれみられた.また,7例(14%)で発熱性好中球減少症がみられた.
66歳未満の35例のうち22例(63%)が造血幹細胞移植を受けた.

Gemcitabine, dexamethasone and cisplatin is an active and non-toxic chemotherapy regimen in relapsed or refractory Hodgkin's disease: a phase II study by the National Cancer Institute of Canada Clinical Trials Group.
(Ann Oncol 2003;14:1762-1767)
再発・難治ホジキンリンパ腫患者を対象とした,GDP療法の第2相臨床試験.
症例数は23例で,患者年齢の中央値は36歳(19-57).
治療レジメンは
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 (iv) day1, 8
・dexamethasone 40 mg (po) day1-4
・cisplatin 75 mg/m^2 (iv) day1
※1サイクル21日.治療は外来で実施.
治療効果は2サイクル終了後に判定した.
奏功率は69.5%(95% CI, 52%-87%)で,奏功症例の内訳はCRが4例,12例がPRだった.残る7例はいずれもSDで,PD症例はみられなかった.全症例が無事造血幹細胞を 採取出来,自家造血幹細胞移植を受けた.採取されたCD34陽性細胞数の中央値は10.6 x 10^6 cells/kgだった.GDP療法の毒性は軽度で,grade 3の好中球減少が8.6%,血小板減少が13%でみられた.

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Rituximab Plus Gemcitabine and Oxaliplatin As Salvage Therapy in Patients with Relapsed/Refractory Mantle-Cell Lymphoma
(ASH 2012 Annual Meeting Abstract #1627)
再発・難治マントル細胞リンパ腫に対するR-GemOx療法の有効性と毒性を評価するためのパイロットスタディ.治療レジメンは
・rituximab 375 mg/m^2 day1
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 day2
・oxaliplatin 100 mg/m^2 day2
※1サイクル14日,合計8サイクル行った.
対象は28例で,71%が男性で年齢中央値は68歳(41-84)だった.前治療レジメン数の中央値は1回(1-4)で,15例(53%)は CR/CRuに達した後,10例(36%)はPRに達した後にそれぞれ再発し,3例(11%)は前治療に抵抗性だった.85%の患者で骨髄浸潤がみられ た.
R-GemOx実施サイクル数の中央値は8サイクルだった(2-8).
主な有害事象は血液毒性で,grade3/4の好中球減少が9例(4.7%),血小板減少が5例(2.6%)でみられた.主な非血液毒性はgrade1/2の肝障害(21%),grade1/2の感覚障害(43%),grade2の腎障害(4%)だった.
治療終了後,21例(75%)がCR/CRuを達成し,1例(3.5%)がPR,1例(3.5%)がSD,5例(17.8%)がPDだった.また,9例が引き続き造血幹細胞移植を受けた(同種移植6例,自家移植3例).
観察期間の中央値は23か月で,4例が増悪無く生存し,7例が再発し,17例が死亡した(13例は原病増悪,2例は急性GVHD,2例は移植後感染症のため死亡した).PFSとOSの中央値はそれぞれ18か月,30か月だった.

Gemcitabine and Oxaliplatinum (GemOx): An Effective Regimen in Patients with Refractory and Relapsing Hodgkin Lymphoma
(ASH 2012 Annual Meeting Abstract #4845)
再発・難治ホジキンリンパ腫に対するGemOx療法の後方視的解析.治療レジメンは
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 day1
・oxaliplatin 100 mg/m^2 day1
※1サイクル15日または21日
[結果]2003年から2012年までに治療を受けた29例(再発17例,難治12例)が対象となった.年齢の中央値は24歳(14-76)で,半 数がIPS (international prognosis score) > 2であった.前治療レジメン数の平均は2.79で,79%が2レジメン以上の前治療歴があり,48%は自家造血幹細胞移植を受けた後に再発していた.
観察期間の中央値は41か月で,全奏功率は76%だった(CR 31%).再発例やPR症例は治療抵抗例よりも奏功率が高かった(ORR 85% with CR 45% vs PR 55%, P = 0.037).無増悪生存率と全生存率と関連していた因子は年齢(<45歳),GemOxに対する反応,造血幹細胞移植による地固めであった(P = 0.001).診断時のB症状も全生存率に影響していた.神経毒性が全患者の9%にみられ,いずれもgrade1/2だった.血液毒性は頻度が高 く,grade3/4の好中球減少が23%,grade3/4の血小板減少が33%でみられた.grade2以下の悪心・嘔吐が全例でみられた.最後の フォローアップ時点で13例(45%)が増悪無く生存していたが,16例(54%)が死亡していた.12例(41%)は原病増悪により死亡し,3例 (10%)は引き続き行われた同種移植の合併症(GVHD,血小板減少性紫斑病と出血)により死亡した.また1例は肺炎により死亡した.自家または同種造 血幹細胞移植による地固め治療を受けた症例は受けなかった症例よりも無増悪生存率が高かった(100% vs 14%, P = 0.009).GemOxとG-CSFによる造血幹細胞移植は自家移植を予定した患者全例で無事に実施できた.
[結論]1)GemOxレジメンは再発・難治ホジキンリンパ腫に効果があり,毒性は管理可能な範囲内であった. 2)再発例,化学療法感受性症例の方が治療抵抗性症例よりも治療成績が良かった. 3)造血幹細胞動員に失敗した例はみられなかった. 4)治療が奏功した場合には地固め療法が必要である.

Gemcitabine, Dexamethasone, Cisplatin (GDP) Compared to Dexamethasone, Cytarabine, Cisplatin (DHAP) Chemotherapy Prior to Autologous Stem Cell Transplantation for Relapsed and Refractory Aggressive Lymphomas: Final Results of the Randomized Phase III NCIC CTG Study LY12
(ASH 2012 Annual Meeting Abstract #745)
[背景]再発・難治aggressive非ホジキンリンパ腫(NHL)において,自家造血幹細胞移植前に行う最適な救援化学療法は定まっていない. 著者らは今回の第3相試験に先立ち実施した,GDP療法がDHAP療法と同等に効果的でより毒性が少なく,結果としてより高いQoLが得られ,また医療資 源をより節約できるという仮説を調べるための第2相試験(Crump et al, Cancer 2004)で外来治療としてのGDP療法の安全性と有効性を確かめた.
[方法]対象となった再発・難治aggressive NHL患者は再発時点でのIPIスコア(0, 1 vs 2 vs ≧3),免疫表現型(B-cell vs T-cell),初期治療後の疾患の状況(治療奏功期間<1年 vs >1年 vs 奏功無しまたはPD),前治療にrituximabを使用したかどうか,の項目によって層別化された.
また,対象患者は21日毎のGDP療法(下記)群または標準的DHAP療法群に無作為に割り付けられ,2〜3サイクルの治療を受けた.
・gemcitabine 1,000 mg/m^2 day1, 8
・dexamethasone 40 mg day1-4
・cisplatin 75mg/m^2 day1
CR,PRの症例(施設の判断によってはSD症例も)は末梢血幹細胞採取を行った後で自家造血幹細胞移植を受けた.尚,本プロトコールは2005年 11月に修正され,CD20陽性リンパ腫についてはGDP群,DHAP群のいずれにおいてもrituximabが追加された.主要評価項目は2サイクル終 了後の奏功率(CR+CRu+PR)と移植完遂率とした.尚,治療効果判定にFDG-PETは使用しなかった.その他の評価項目としては,毒性,無イベン ト生存率(EFS),全生存率(OS),QoL,経済的解析を設定した.自家移植後にCD20+症例を無作為にrituximabによる地固め群と無治療 観察群に割り付けた結果を後日報告する予定である.
[結果]2003年8月から2011年11月までにカナダ,イタリア,オーストラリア,米国の52施設から合計619例が本試験に登録された (GDP群 310例,DHAP群 309例).患者の年齢中央値は55歳で,28.4%が60歳を超えていた.組織型はDLBCL 71%,PTCL 4%,ALCL 4%,transform症例 14%だった.IPIリスク因子は0,1個が38%,2個が29%,3個以上が33%で,LDH上昇例が59%,また67%の症例はrituximabに よる治療歴があった.31%は初回治療に抵抗性だった.治療開始時点での患者背景は両群間でバランスがとれていた.intention to treat解析で,全奏功率はGDP群45.2%,DHAP群44.0%でGDP群のDHAP群に対する非劣性が認められた(P = 0.005).554例中362例(65.3%)のB細胞性NHL患者はrituximabを併用して治療された.rituximab曝露歴の有 無,rituximab併用の有無で奏功率に差はみられなかった.移植率はGDP群で51.8%,DHAP群で49.3%だった(P = 0.49).両群においてそれぞれ6例ずつが十分量の幹細胞を採取できなかった.
観察期間の中央値は53か月で,4年EFSはGDP群25.6% vs DHAP群26.1%(HR 0.99, P = 0.95),4年OSはGDP群39.0% vs DHAP群39.1%(HR 1.03, P = 0.78)だった.grade3/4の毒性はGDP群の方が有意に少なく(47% vs 61%, P = 0.0003),主なものとしては発熱性好中球減少症(9% vs 23%, P < 0.0001),2サイクル以内の血小板輸血(18% vs 32%, P < 0.0001),入院が必要な有害事象(18% vs 30%, P = 0.0005)があった.両群で1例ずつが治療中の感染症により死亡した(0.3%).治療開始時点と比較して単変量解析で奏功率と関連する因子は認めら れなかった.一方多変量解析ではECOG PS,病期,病変数がOSに関連し,年齢と病期がEFSに関連していた.
[結論]aggrressive NHLの自家移植に先立つ救援療法としてのGDP療法の奏功率はDHAP療法に対して非劣性で,移植率完遂率,EFS,OSは同等だった.GDP療法は有 意に毒性が少ないため外来で実施可能で,QoLがより高く入院の必要性を減らした.今回の試験は実地臨床における新しい標準治療として,あるいは救援化学 療法をさらに改良するために将来行われる臨床試験でGDP療法を実施することを支持する.