メモ帳

自分用のメモです。

妊娠中にリンパ腫を合併した90例の後ろ向き解析

Lymphoma occurring during pregnancy: antenatal therapy, complications, and maternal survival in a multicenter analysis.
(JCO 2013;31:4132-4139)

[目的] リンパ腫は妊娠中にみられる悪性腫瘍の中で4番目に多い。しかし、現在臨床現場で行われている診療は、その多くが小規模なケースシリーズや症例報告に基づいて行われている。
[患者・方法] 妊娠中にリンパ腫を合併した患者について後ろ向き解析を行い、治療法、合併症、予後について評価した。尚、本研究は多施設共同研究である。
[結果] 解析対象となった患者は90人(ホジキンリンパ腫40人、非ホジキンリンパ腫50人)で、年齢中央値は30歳(18-44)、診断確定時の妊娠週数は24 週だった。非ホジキンリンパ腫の52%が進行期であったのに対して、ホジキンリンパ腫では25%が進行期だった(P=0.01)。6人が妊娠を中絶した。 妊娠を継続した84人のうち、28人(33%)は出産後に治療を受けた。治療を延期した患者の診断時妊娠週数中央値は30週であり、出産前に治療を開始し た患者(中央値21週)よりも有意に診断時期が遅かった(p<0.001)。また、出産前に治療を開始した患者の89%は多剤併用化学療法を受け た。preterm complicationで最も多かったのは分娩誘発だった(33%)。出産時週数の中央値は37週で、56%が満期産だった。出産前に治療を開始した群 と出産後に開始した群との間で、母体合併症、周産期イベント、出生時体重に差はみられなかった。3年無増悪生存率と3年全生存率は非ホジキンリンパ腫で 53%と82%、ホジキンリンパ腫で85%と97%だった。非ホジキンリンパ腫の単変量解析では、放射線治療を受けた群で無増悪生存率が低く、LDH高値 とECOG PS不良が全生存率の低さと関連していた。ホジキンリンパ腫については、未経産とB症状が無増悪生存率の低さと関連していた。
[結論] 妊娠初期(13週)を過ぎてから標準的な化学療法を行うことで、化学療法に伴う合併症がほとんどみられず、また非妊娠例と同等の母体生存率が得られた。