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骨髄腫において自家造血幹細胞移植後にstringent CR (sCR)を達成することの重要性

Importance of Achieving Stringent Complete Response After Autologous Stem-Cell Transplantation in Multiple Myeloma
(JCO 2013, PMID 24248686)
[補足]ここで出てくるCR周辺の判定基準について
  • sCR (stringent CR): CRの基準を満たし、FLC (free light chain)比が正常で、免疫組織化学検査または免疫蛍光検査で骨髄中のモノクローナルな形質細胞が消失した場合
  • CR (complete response): 免疫固定法で血清/尿中M蛋白が消失し、軟部組織の形質細胞が消失し、骨髄中の形質細胞が5%以下の場合
  • nCR (near CR): 血清/尿中M蛋白が電気泳動法では検出されないが免疫固定法では検出され、骨髄中の形質細胞が5%以下の場合
[目的] 骨髄腫において、自家造血幹細胞移植後にsCRを達成することのインパクトを調べる。
[患者・方法] 診断後から12か月以内に自家造血幹細胞移植を受けた骨髄腫患者445人について、最大の効果を判定した。本研究では様々な程度のCRを達成した患者に焦点を当てた。
[結果] 109人(25%)が移植後にsCRを達成した。診断から移植までの期間の中央値は6か月(1.5-12)、観察期間中央値(推定)は移植後77か月だっ た。sCRを達成した患者の移植後全生存期間中央値は未到達で、一方CR達成患者(37人)では81か月、nCR達成患者(91人)では60か月だった。 5年生存率はsCR群で80%、CR群で53%、nCR群で47%だった。sCR群では移植後の無増悪期間中央値が50か月で、CR群(20か月)、 nCR群(19か月)よりも有意に長かった。多変量解析では、proliferation rate、移植前の核型、PSに加えて移植後のsCR達成も独立した予後因子だった(HR 0.44; 95% CI, 0.25-0.80; vs CR; P=0.008)。移植から2年後のランドマーク解析においても、sCR群はCR群と比較して有意に全生存期間が長かった(未到達vs70か月; P=0.007)。
[結論] 自家造血幹細胞移植後にsCRを達成した患者群では、CR以下の効果だった群よりも長期予後の改善がみられた。sCRとCRでは治療成績に著明な差がみられるため、骨髄腫の治療効果を報告する試験では両者を区別するべきである。