メモ帳

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ホジキンリンパ腫長期生存者における糖尿病発症リスク

Risk of Diabetes Mellitus in Long-Term Survivors of Hodgkin Lymphoma

(JCO 2014;32:3257-3263)

[目的] 近年、腹腔内に放射線治療を受けた小児癌患者で糖尿病のリスクが増加することが観察されている。ホジキンリンパ腫(HL)についても、横隔膜下に放射線治療を受けた患者が多いことから、著者らはHL治療と糖尿病リスクの関連について評価した。

[患者・方法] 本研究のコホートは51歳未満でHLと診断され1965年から1995年までに治療され、5年以上生存した2,264人から成っている。治療とフォローアップの情報は診療録と一般医から集められた。膵臓への放射線量を推定するため、線量測定を行った。糖尿病の累積発症率を推定し、Cox回帰分析で糖尿病のリスク因子を評価した。

[結果] 観察期間中央値は21.5年で、157例が糖尿病を発症した。30年後の累積糖尿病発症率は8.3%(95% CI, 6.9%-9.8%)で、大動脈周囲に36Gy以上の照射を受けた群では14.2%(10.7%-18.3%)だった。大動脈周囲リンパ節と膵臓への36Gy以上の照射は糖尿病のリスクが2.30倍(1.54倍-3.44倍)で、大動脈周囲のみへの36Gy以上の照射は1.82倍(1.02倍-3.25倍)だった。低線量照射(10-35Gy)では糖尿病リスクの有意な増加はみられなかった。膵尾部への照射線量中央値が高いと、糖尿病のリスクが有意に増加した(P<0.001)。

[結論] 大動脈周囲リンパ節への放射線照射は5年以上生存したHL患者における糖尿病発症リスクを増加させた。HL生存者のフォローアップガイドラインにおいては糖尿病のスクリーニングが考慮されるべきであり、治療する医師はこの増加するリスクに注意を払うべきである。