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IPIスコアと胸水・心嚢液の有無が縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の予後に影響している可能性がある

Prognostic significance of pleural or pericardial effusion and the implication of optimal treatment in primary mediastinal large B-cell lymphoma: a multicenter retrospective study in Japan

(Haematologica 2014;99:1817-1825)

近年、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(mediastinal large B-cell lymphoma; PMLBCL)の予後は改善されてきた。しかし、放射線治療を含めて最適な治療戦略は未だ明らかではない。著者らは日本において新規にPMLBCLと診断された345例の臨床成績を後ろ向きに解析した。

観察期間の中央値は48ヶ月で、4年時点の全生存率はR-CHOP(n=187)、CHOP(n=44)、DA-EPOCH-R(n=9)、第2あるいは第3世代化学療法(n=45)、自家幹細胞移植併用化学療法(n=57)で治療された群でそれぞれ90%、67%、100%、91%、92%だった。R-CHOPで治療された群についてみると、IPIスコアが高いことと、胸水あるいは心嚢液貯留があることが、地固放射線療法を行わずR-CHOPのみで治療された症例の全生存率について予後不良因子であることが同定された(IPI: HR 4.23, 95% CI 1.48-12.13, p=0.007; 胸水・心嚢液: HR 4.93, 95% CI 1.37-17.69, p=0.015)。放射線治療を行わずR-CHOPのみで治療された症例をIPIスコアと胸水・心嚢液の有無を組み合わせて層別化すると、IPIスコアが低く胸水・心嚢液貯留がない症例が約半数で、治癒可能群と同定された(4年全生存率95%)。DA-EPOCH-Rレジメンはこれらの予後不良因子を克服するかもしれない。

IPIスコアと胸水・心嚢液貯留の存在というシンプルな予後予測因子がPMLBCLを層別化し、治療法選択の助けとなる可能性がある。