メモ帳

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表在静脈血栓症患者における深部静脈・動脈血栓症リスクの検討

Risk of venous and arterial thrombotic events in patients diagnosed with superficial vein thrombosis: a nationwide cohort study

(Blood 2015;125:229-235)

近年、表在静脈血栓症(superficial vein thrombosis; SVT)は重篤な合併症であるかもしれないことが明らかとなってきた。しかし、深部静脈あるいは動脈血栓症が続発するリスクの大きさについては明らかでなかった。著者らはこの点について、SVTがルーチンに抗凝固薬で治療されていなかった時期を対象としたpopulation-based studyを行った。

デンマークの全ての病院をカバーしているDanish National Registry of Patientsを用いて、1980年から2012年までに初めてSVTと診断された患者10973例を同定した。年齢、性別、暦年の一致した515067人からなる対照コホートがデンマークの一般人口から選ばれた。深部静脈血栓塞栓症、急性心筋梗塞、脳梗塞、死亡をoutcomeとした。

観察期間の中央値は7年で、深部静脈血栓塞栓症の頻度は18.0/1000人・年(95% CI, 17.2-18.9)だった。最初の3ヶ月が最もリスクが高かった(3.4%; 95% CI, 3.0-3.7)。一般人口と比較すると、この期間のhazard ratioは71.4 (95% CI, 60.2-84.7)で、その後は減少し続けSVT発症から5年後には5.1(4.6-5.5)だった。急性心筋梗塞、脳梗塞、死亡のhazard ratioはそれぞれ1.2 (1.1-1.3)、1.3 (1.2-1.4)、1.3 (1.2-1.3)で、SVT発症後早期が最も高かった。これらのデータはSVTが予後に重大な影響を与えることを示しており、抗凝固療法に関する臨床判断の基礎を形作るかもしれない。