メモ帳

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造血幹細胞移植経験者と非経験癌サバイバーにおける合併症発生率と死亡率の違い

Morbidity and Mortality Differences Between Hematopoietic Cell Transplantation Survivors and Other Cancer Survivors

PMID: 27870568, DOI: 10.1200/JCO.2016.68.8457

www.ncbi.nlm.nih.gov

目的

造血幹細胞移植(HCT)を受けた患者と、マッチさせた(HCTを受けておらず、HCTの有無が一番の違いと考えられる)癌患者を対象に、健康に関する重大なアウトカムのリスクを比較しする。

方法

ワシントン州に在住し、1992年から2009年までの間にHCTを受けて2年間生存した患者(n=1,792; 52%が同種移植、90%が造血器腫瘍)と、人口統計的特徴や腫瘍の診断が一致する(HCTを受けておらず2年生存した)癌患者、一般人口をマッチさせた。HCTを受けていない(non-HCT)癌患者は州の癌登録(n=5,455)、一般人口は運転免許証ファイル(n=16,340)を用いた。3つのコホートにおける全ての晩期アウトカムは州の病院退院・死亡を用いて確認した。続発した癌については、州の癌登録を用いて確認した。

結果

観察期間の中央値は7.1年で、HCT患者はnon-HCT患者よりも有意に入院率が高く(1,000人-年あたり280エピソード vs 173エピソード, P<0.001)、全死亡率も有意に高かった(hazard ratio 1.1; 95% CI, 1.01-1.3)。HCT患者は感染症による入院と死亡が多く(10年累積発生率 31% vs 22%, HR 1.4; 95% CI 1.3-1.6)、呼吸器合併症も多かった(27% vs 20%; HR 1.4; 95% CI 1.2-1.5)。消化器、皮膚、筋骨格系の合併症もHCT患者の方がnon-HCT患者よりも多かった。循環器系の合併症と続発癌のリスクに差はみられなかった。主要臓器障害の10年累積発症率はHCT群、non-HCT群ともに一般人口と比べて有意に高かった。

結論

HCTの治療歴は、癌サバイバーの中でも晩期合併症発生率、死亡率と関連していた。特に、HCTサバイバーのケアをする医師は、呼吸器合併症と感染症のリスクが高いことを認識しておくべきである。