成人の慢性免疫性血小板減少症における脾臓摘出の長期成績
Long-term results of splenectomy in adult chronic immune thrombocytopenia
Eur J Haematol. 2017;98:235-241
PMID: 27753191 DOI: 10.1111/ejh.12821
目的
著者らは、慢性原発性免疫性血小板減少症の成人患者を対象に、脾摘の長期間にわたる有効性と安全性を調べるために今回の研究を実施した。
方法
著者らの病院で1994年から2014年までに脾摘を受けた174例について解析した。
結果
脾摘後、126例(72.4%)が完全奏功(CR)を達成し、28例(16.1%)が奏功(R)を達成した。治療効果のあった患者のうち32例(20.8%)が中央値24ヶ月で再発した。無効例、再発例と比較して、安定した奏功例は年齢が若く、脾摘前後のピークの血小板数が多く、血小板数がピークに達するのが遅く、巨核球数が多かった。ステロイド依存性の患者は、ステロイド抵抗性の患者よりも脾摘に反応しやすかった。著者らは、治療効果がみられた154例について無増悪生存解析を実施した。単変量解析においては、ステロイド依存性と診断から脾摘までの期間≦24ヶ月が効果持続の予測因子だった。しかし、多変量解析においては、ステロイド依存性のみが有意な予後因子だった。術後30日時点での合併症頻度は25.9%だった。フォローアップ中に5例で血栓症がみられ、また治療抵抗性の3例(1.7%)が死亡した。
結論
脾摘は安全であり、治癒率は58.0%だった。ステロイド依存性が持続的な効果の予測因子だった。