メモ帳

自分用のメモです。

難治性B細胞リンパ腫に対するCART療法

Chimeric Antigen Receptor T Cells in Refractory B-Cell Lymphomas
(N Engl J Med. 2017 Dec 28;377(26):2545-2554.)


背景
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫は免疫化学療法に抵抗性または治療後に再発し、移植の予後は不良である。CD19をターゲットにしたchimeric antigen receptor (CAR)で改変したT細胞を用いた治療はB細胞腫瘍で高い奏効率が報告されているが、B細胞リンパ腫に関するデータは限られている。

方法
著者らは、CD19をターゲットにしたCARを発現した自家T細胞(CTL019)を用いて、再発または治療抵抗性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫の患者を治療した。治療への反応、治療の毒性、体内におけるCTL019の広がりと持続性、免疫の回復をモニターした。

結果
合計28人がCTL019による治療を受け、28人中18人で治療に反応がみられた(64%、95%信頼区間[CI] 44〜81)。完全奏功を達成したのはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫14人のうち6人(43%, 95% CI 18〜71)と、濾胞性リンパ腫14人のうち10人(71%, 95% CI 42〜92)だった。CTL019は患者の体内で増殖し、治療の奏功の有無に関わらず患者の血液と骨髄から検出された。持続的な寛解が達成され、観察期間中(中央値 28.6ヶ月)、治療が奏功したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者の86%(95% CI 33〜98)と、奏功した濾胞性リンパ腫患者の89%(95% CI 43〜89)で治療効果が持続した。重篤なサイトカイン放出症候群が5人(18%)でみられた。また、重篤な脳症が3人(11%)でみられ、このうち2人は自然に改善し、1人は致死的だった。6ヶ月以内に完全寛解を達成した患者全員が治療開始後7.7〜37.9ヶ月(中央値 29.3ヶ月)にわたって寛解を維持し、16人中8人で6ヶ月後以降にB細胞が再び出現し、10人中4人でIgGの、10人中6人でIgMのレベルがそれぞれ改善、10人中3人で18ヶ月後以降にIgAレベルが改善した。

結論
CTL019は再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫の治療において有効である可能性がある。寛解が持続する割合が高く、一部の患者ではB細胞と免疫グロブリンの回復もみられた。約3分の1で一過性の脳症がみられ、5分の1で重篤なサイトカイン放出症候群がみられた。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov