メモ帳

自分用のメモです。

未治療の骨髄腫患者に対するダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾンの併用療法 (第3相試験)

ダラツムマブdaratumumab(ダラザレックス®)は、日本では2017年9月に承認されたばかりの新薬で、今のところ再発・難治性の多発性骨髄腫に適応があります。

 

Daratumumab plus Bortezomib, Melphalan, and Prednisone for Untreated Myeloma
N Engl J Med 2018;378:518-528

www.ncbi.nlm.nih.gov

背景
ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾンの併用療法は自家幹細胞移植の適応が無い未治療の多発性骨髄腫患者における標準的な治療法である。ダラツムマブは、再発または治療抵抗性の多発性骨髄腫患者における標準的な治療レジメンとの併用で有効性が示されている。

方法
今回の第3相試験において、著者らは新たに多発性骨髄腫と診断され幹細胞移植の適応が無い患者706人をボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾンだけの治療(対照群)とダラツムマブを併用した治療(ダラツムマブ群)に無作為に割り付け、骨髄腫が増悪するまで治療を継続した。主要評価項目は無増悪生存率とした。

結果
事前に計画されていた中間解析の時点における観察期間の中央値は16.5ヶ月で、18ヶ月時点での無増悪生存率はダラツムマブ群で71.6%(95%信頼区間[CI] 65.5〜76.8)、対照群で50.2%(43.2〜56.7)だった(骨髄腫増悪または死亡に関するハザード比 0.50; 95% CI 0.38〜0.65; p < 0.001)。全生存率はダラツムマブ群で90.9%、対照群で73.9%(p < 0.001)で、完全奏功以上の効果がみられた率は42.6%と24.4%だった(p < 0.001)。ダラツムマブ群の22.3%では微笑残存病変(基準は白血球105個あたり腫瘍細胞が1個)が陰性で、対して対照群で陰性だったのは6.2%だった(p<0.001)。grade3または4の有害事象のうち頻度が高かったのは血液学的なもので、好中球減少(ダラツムマブ群39.9%、対照群38.7%)、血小板減少(34.4%、37.6%)、貧血(15.9%、19.8%)があった。grade 3または4の感染症はダラツムマブ群で23.1%、対照群で14.7%でみられた。各群の0.9%、1.4%で感染症のため治療が中止された。ダラツムマブに関連した投与関連反応は27.7%で発生した。

結論
新たに多発性骨髄腫と診断され幹細胞移植の適応が無い患者において、ダラツムマブとボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾンの併用療法はダラツムマブを併用しない治療と比較して骨髄腫の増悪または死亡のリスクを減らした。ダラツムマブを併用したレジメンはgrade 3または4の感染症と関連していた。

 

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