メモ帳

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同種造血幹細胞移植前処置の強度に関する第3相試験(強度減弱前処置 vs 骨髄破壊的前処置)

Reduced-intensity conditioning versus standard conditioning before allogeneic haemopoietic cell transplantation in patients with acute myeloid leukaemia in first complete remission: a prospective, open-label randomised phase 3 trial.

Lancet Oncol. 2012 Oct;13(10):1035-44. doi: 10.1016/S1470-2045(12)70349-2. 

 

背景

強度減弱前処置は,同種造血幹細胞移植後早期の毒性と死亡を最小化するために開発されてきた。しかし,これらのレジメンの有効性について,ランダム化試験での評価は行われていなかった。今回の前方視的,オープンラベル第3相試験において,著者らはフルダラビンをベースにした強度減弱前処置と標準的な前処置を,第1寛解期の急性骨髄性白血病患者を対象として比較した。

 

方法

18歳から60歳までの,中間リスクまたは高リスクの急性骨髄性白血病患者で,かつ第一寛解期にある患者を対象とした。HLAが9/10アレル以上合致した血縁または非血縁ドナーから移植可能であり,適切な腎臓,心臓,肺,神経の機能が保たれていることも適格条件とした。2004年11月15日から2009年12月31日までの間に,患者を強度減弱前処置(フルダラビン 150 mg/m2+TBI 2 Gy x 4)または標準的前処置(シクロフォスファミド 120 mg/kg + TBI 2Gy x 6)のいずれかにランダムに割り付けた(患者の年齢,細胞遺伝学的リスク,導入療法,ドナータイプについてコンピュータを用いた最小化法で調整し,1:1の比で割り付けた)。

全ての患者に,GVHD予防のためシクロスポリンとメトトレキサートを投与した。研究担当者と患者のいずれも,どちらの治療を行うかは知らされなかった。primary endpointは非再発死亡率とし,intention-to-treat populationで解析した。この研究はClinicalTrials.govにNCT00150878として登録されている。

 

結果

この研究は,患者の集まるペースが緩やかだったため,2009年12月31日に早期中止された。99人が強度減弱前処置,96人が標準的前処置にランダムに割り付けられた。非再発死亡率に差はみられなかった(3年累積 13%[95% CI 6〜21] vs 18%[10〜26]; HR 0.62 [95% CI 0.30〜1.31])。再発率(3年累積 28% [19〜38] vs 26% [17〜36]; HR 1.10 [0.63〜1.90]),無病生存率(3年累積 58% [49〜70] vs 56% [46〜67]; HR 0.85 [0.55〜1.32]),全生存率(3年累積 61% [50〜74] vs 58% [47〜70]; HR 0·77 [0·48〜1·25])に関しても,2群間で差がみられなかった。

grade 3〜4の口腔粘膜炎は,強度減弱前処置群で少なかった(50人 vs 73人); GVHDや,ビリルビン,クレアチニンの上昇といった他の副作用の頻度については,両群で差がみられなかった。

 

考察

強度減弱前処置は,標準的な前処置と比較して非再発死亡率に差がなく,生存率に影響することなく毒性を軽減するという結果に終わった。それゆえに,第1寛解期に移植を受ける60歳未満の急性骨髄性白血病患者において,優先的に使用される可能性がある。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov