メモ帳

自分用のメモです。

MYC再構成を伴う未治療アグレッシブB細胞リンパ腫患者に対する,用量調整EPOCH-Rの第2相試験

Dose-adjusted EPOCH-R (etoposide, prednisone, vincristine, cyclophosphamide, doxorubicin, and rituximab) in untreated aggressive diffuse large B-cell lymphoma with MYC rearrangement: a prospective, multicentre, single-arm phase 2 study.

(Lancet Haematol. 2018 Dec;5(12):e609-e617.)

PMID: 30501868, DOI: 10.1016/S2352-3026(18)30177-7

 

背景

MYC遺伝子の再構成はアグレッシブB細胞リンパ腫の約10%にみられ,このうち半数はBCL2遺伝子の再構成を伴っている。MYCの再構成がみられる患者は,BCL2またはBCL6の再構成の有無にかかわらず,MYCの再構成がみられない患者と比較して予後が悪いことがR-CHOPに関する多くの後ろ向き研究で示されており,より強力な治療によって治療成績が改善することが示唆されている。著者らは未治療の,MYC再構成を伴うアグレッシブB細胞リンパ腫患者を対象に,強力な点滴治療レジメンである用量調整EPOCH-R(dose-adjusted EPOCH-R,以下DA-EPOCH-R)の治療成績を見極めることを目的とした。

方法

未治療の,MYC再構成を伴うアグレッシブB細胞リンパ腫を対象とした,DA-EPOCH-Rの多施設参加,前向き第2相シングルアーム試験の最終解析結果を示す。DA-EPOCH-Rは中枢神経予防とセットで合計6サイクル実施するよう設定された。主要評価項目はむイベント生存と全生存とした。この試験はClinicalTrials.gov (NCT01092182)に登録されている。

結果

53人が登録された。年齢の中央値は61歳(range 29-80; IQR 50-70)で,43人(81%)がstage IIIまたはIV,26人(49%)がinternational prognostic index (IPI)でhigh-intermediateまたはhighに相当した。MYC再構成単独(single-hit)の患者が19人,BCL2またはBCL6の再構成も伴っていた(double-hit)患者が24人で,両群の患者背景はよく似ていた。

観察期間の中央値は55.6ヶ月(IQR 50.5-61.1)で,48ヶ月時点における無イベント生存率は71.0%(95% CI 56.5-81.4),48ヶ月全生存率は76.7%(62.6-86.1)だった。毒性については,grade 4の好中球減少が301サイクル中160サイクル(53%)でみられ,grade 4の血小板減少が40サイクル(13%),好中球減少を伴う発熱(全grade)が56サイクル(19%)でみられた。治療関連しは3例で,全例が感染症による死亡だった。

考察

今回の試験で,DA-EPOCH-RはMYC再構成を伴うアグレッシブB細胞リンパ腫患者に持続的な寛解をもたらし,これらの疾患の治療法として考慮すべきと考えられた。

 

FUNDING:
Cancer Trials Support Unit and Center for Cancer Research of the National Cancer Institute and Genentech.

 

www.ncbi.nlm.nih.gov