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原発性体腔液リンパ腫のウイルス学的,免疫学的,臨床的特徴

Viral, immunologic, and clinical features of primary effusion lymphoma.

PMID: 30782610,  DOI: 10.1182/blood-2019-01-893339

原発性体腔液リンパ腫(primary effusion lymphoma, PEL)はHIVに関連したアグレッシブリンパ腫であり,効果的なHIV治療が可能になった時代においても予後は比較的不良である。カポジ肉腫ヘルペスウイルス(Kaposi sarcoma herpesvirus, KSHV)が病原体であり,腫瘍の約80%はEBVにも同時感染している。KSHVに関連した免疫の調節不全がPELの自然経過にどのように関連しているか,理解を深めることが治療成績の改善に寄与する。

著者らは2000年から2013年までの間にPELと診断された患者を20人見つけ出し,そのうち20人はmodified EPOCHで治療されていた。この20人と,HIV関連DLBCL(HIV-DLBCL)患者20人,症候性の(IL-6が関連する)KSHV関連多中心性キャッスルマン病(KSHV-MCD)患者19人を,臨床的,ウイルス学的,免疫学的な特徴について比較した

さらに著者らは治療を受けたPEL患者の生存時間分析を行い,予後因子と腫瘍特異的死亡の特定を試みた。

HIV-DLBCLと比較して,PELは低アルブミン血症(p<0.0027),血小板減少(p=0.0045),IL-10上昇(p<0.0001)と有意な関連がみられた。PELとKSHV-MCDの間には,これらのパラメータに有意な違いはみられなかった。治療を受けたPEL患者の全生存期間の中央値は22ヶ月で,2年を超えたところで生存曲線がプラトーになった。3年時点での腫瘍特異的生存率は47%だった。腫瘍がEBV陽性であることは,生存率の改善と有意に関連しており(ハザード比 0.27; p=0.038),IL-6の上昇は生存率の低下と有意に関連していた(ハザード比 6.1; p=0.024)。

著者らの解析では,IL-6とIL-10がPELの自然経過に寄与していた。炎症性サイトカインと腫瘍のEBV感染状態が最も強力な予後因子だった。PELの全生存率を改善するため,発病機序を指向したファーストラインレジメンが必要である。

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