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急性骨髄性白血病の寛解導入療法とエルトロンボパグの併用:第2相試験

Eltrombopag treatment during induction chemotherapy for acute myeloid leukaemia: a randomised, double-blind, phase 2 study.

Lancet Haematol. 2019 Jan 28

PMID: 30704923, DOI: 10.1016/S2352-3026(18)30231-X

 背景

急性骨髄性白血病患者は,寛解導入療法中に血小板減少を呈することが多い。経口のトロンボポエチン受容体アゴニストであるエルトロンボパグは,内因性のトロンボポエチント同じような機序で血小板産生を刺激する。今回の研究では,急性骨髄性白血病患者を対象に,アントラサイクリンをベースとした治療におけるエルトロンボパグの有効性と安全性を,プラセボと比較して調べた。
方法

この研究は二重盲検ランダム化第2相試験で,10カ国(オーストラリア,ベルギー,カナダ,ギリシャ,ハンガリー,イスラエル,韓国,ポーランド,ロシア,アメリカ)の臨床施設から治療歴のない患者を集めた。M3とM7以外の急性骨髄性白血病患者を対象とし,白血病の前に悪性の血液疾患がなかったか(yes or no),年齢(18〜60歳 or >60歳)で層別化し,automated interactive voice-response system randomisation scheduleを用いて1:1の比でランダムに割り付けた。研究担当者と患者に試験治療の内容は知らされなかった。患者は標準的な寛解導入療法*1を受け,これに加えてday4からエルトロンボパグ 200 mg (東アジアでは100 mg)またはプラセボを,血小板数が200 x 10^9/L以上に回復するか,寛解するか,寛解導入療法開始から42日後のいずれかの時点まで1日1回内服した。この研究の第一の目的は,有害事象,左室駆出率(LVEF),臨床検査のパラメータを用いて評価した安全性と耐用性とした。

This study has been completed and is registered with ClinicalTrials.gov, number NCT01890746.

結果

2013年9月7日から2015年1月30日までの間に,149人が適格性を評価され,このうち148人がランダムにエルトロンボパグ群(n=74)またはプラセボ群(n=74)に割り付けられた。両群は,平均年齢(エルトロンボパグ群 56.7歳[標準偏差12.3] vs プラセボ群 56.6歳[11.6]),最初の平均血小板数(59.5x10^9/L [43.3] vs 63.7x10^9/L [48.0]),高リスク核型(両群とも74人中16人[22%])において差がなかった。grade 3または4の有害事象で頻度が高かったもの(両群で10%以上)は,発熱性好中球減少症(31人[42%] vs 28人[39%]),白血球減少(8人[11%] vs 5人[7%]),(3人 [4%] vs 9人 [13%]),低リン血症(3 [4%] vs 9 [13%])だった。重篤な有害事象はエルトロンボパグ群の24人(32%)とプラセボ群の14人(20%)でみられた。エルトロンボパグ群の39人(53%),プラセボ群の29人(41%)が死亡した。血栓塞栓イベントは5人(7%)と4人(6%)でみられ,LVEFの平均変化量は-2.5%(7.8)と-4.3%(8.5)でいずれも明らかな差はなかった。

考察

今回の研究から得られたデータは,急性骨髄性白血病患者の寛解導入療法にエルトロンボパグを併用することを支持しない。

FUNDING:
Novartis Pharma AG.

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

*1:daunorubicin bolus intravenous infusion on days 1-3 [90 mg/m2 for patients aged 18-60 years or 60 mg/m2 for patients aged >60 years], plus cytarabine continuous intravenous infusion on days 1-7 [100 mg/m2]