メモ帳

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骨髄腫における単回移植,タンデム移植,移植後地固め療法の比較試験

Autologous Transplantation, Consolidation, and Maintenance Therapy in Multiple Myeloma: Results of the BMT CTN 0702 Trial.

J Clin Oncol. 2019 Mar 1;37(7):589-597

PMID: 30653422, DOI: 10.1200/JCO.18.00685

 

目的

メルファラン 200 mg/m2の投与と自家造血幹細胞移植(AHCT)を1回行った後,レナリドミド(len)を用いた維持療法を行うことで,移植適応のある骨髄腫患者の無増悪生存(PFS)と全生存(OS)が改善する。

著者らは,さらなる治療介入を行うことでPFSが改善するかを検証するため,AHCT,タンデムAHCT(AHCT/AHCT),AHCT後に4回のRVD(レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン, AHCT+RVD),の3つの治療を比較する前向きランダム化第3相試験を行った。尚,3群ともに骨髄腫が増悪するまでlenで維持療法を行った。

患者と方法

症候性骨髄腫で,治療開始から12ヶ月以内かつ骨髄腫が増悪しておらず,年齢が70歳以下の患者をランダムにAHCT/AHCT + len (n=247),AHCT + RVD + len (n = 254),AHCT + len (n = 257)のいずれかの治療に割り付けた。主要評価項目は38ヶ月時点でのPFSとした。

結果

患者年齢の中央値は56歳(range, 20〜70歳)で,24%が高リスク骨髄腫であり,73%が初期治療として3剤併用レジメンでの治療を受けていた。また,18%が参加時点で完全奏功の状態だった。38ヶ月時点でのPFSはAHCT/AHCT群で58.5%(95%信頼区間 51.7%〜64.6%),AHCT+RVD群で57.8%(51.4%〜63.7%),AHCT+len群で53.9% (47.4%〜60%)だった。また,OSはそれぞれ81.8%(76.2%〜86.2%),85.4% (80.4%〜89.3%),83.7% (78.4%〜87.8%)であり,1年時点での完全奏功率はそれぞれ50.5%(n = 192),58.4%(n = 209),and 47.1% (n = 208)だった。毒性プロファイルと二次発癌の状況は群間で明らかな差はみられなかった。

考察

移植適応の骨髄腫患者に対して,AHCT後に2回目のAHCTまたはRVDによる地固めをアップフロントで行ってもPFSやOSは改善しなかった。このような患者に対しては,1回のAHCTとlenによる維持療法を標準的なアプローチとすべきである。

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