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PET scoreは治療前のリスク層別化よりも予後に大きな影響を及ぼす

Positron Emission Tomography Score Has Greater Prognostic Significance Than Pretreatment Risk Stratification in Early-Stage Hodgkin Lymphoma in the UK RAPID Study.
J Clin Oncol. 2019 Jul 10;37(20):1732-1741.
PMID: 31112475 DOI: 10.1200/JCO.18.01799

目的
患者の正確な層別化はホジキンリンパ腫Hodgkin lymphoma (HL)の重要な目標の一つであるが、PETの結果に応じて治療を調整するという最近の流れにおいて、治療開始前の臨床的なリスク層別化がどのような役割を果たすかは明らかではない。著者らは、治療前のリスク因子とPETのスコアが治療成績の予測にどの程度役立つかを評価するため、RAPID試験の付随的な解析を行った。

患者と方法
stage IAからIIAまでの、縦隔にbulk病変が無いHL患者について、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジンによる治療を3サイクル行った後にPETで評価を行った。PET陽性(PET score 3〜5)の143人は4サイクル目の治療とinvolved-field radiotherapyを受け、完全寛解 complete metabolic remissionに至っていた419人はinvolved-field radiotherapyを受ける(n = 208)か追加治療を受けない(n = 211)のいずれかにランダムに割り付けられた。PET score、治療前リスク因子とHL特異的な無イベント生存(EFS)との関連についてCox回帰を用いて調べた。

結果
PET score高値は、ベースラインのリスク分類で調整する前後のいずれにおいてもEFSの悪さと関連していた(調整前 P < 0.001、調整後 P = 0.01)。化学療法後のPET scoreが5 (uptakeが肝臓のuptake最大値の3倍以上)の患者においてのみ、HL増悪またはHLに関連した死亡のリスクが増大していた(ハザード比 9.4 vs score 3; 95%信頼区間[CI] 2.8〜31.3、6.7 vs score 4; 95% CI 1.4〜31.7)。PET scoreが5の患者は、無病生存率、全生存率も悪かった。
PETスコアで調整した前後のいずれにおいても、European Organisation for Research and Treatment of Cancer or German Hodgkin Study Groupのリスク群とEFSの間に関連はみられなかった(調整前後ともにP > 0.4)。

結論
RAPID試験においては、PETスキャン陽性が予後に一律に影響したわけではなく、PET score 5の場合のみ予後の悪さと関連していた。今回の結果から、B症状や縦隔bulk病変を伴わない患者を対象とした今後の臨床試験においては、PETの結果が陽性かどうかよりもscoreが5であるかどうかを早期HL患者の治療をエスカレーションするガイドに用いるべきことが示唆された。