メモ帳

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3クラスの薬剤に抵抗性の骨髄腫対するselinexorとデキサメタゾンの経口併用治療

Oral Selinexor-Dexamethasone for Triple-Class Refractory Multiple Myeloma.
N Engl J Med. 2019 Aug 22;381(8):727-738. doi: 10.1056/NEJMoa1903455.
PMID: 31433920

背景
核外搬出化合物の選択的阻害薬であるselinexorは、exportin 1 (XPO1)をブロックして核内蓄積と癌抑制蛋白の活性化を促し、nuclear factor κBを阻害し、癌蛋白のメッセンジャーRNAの翻訳を減少させる。現在使用されている治療に抵抗性の骨髄腫に対する新たな治療薬となる可能性を持っている。

方法
著者らは、これまでにボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ポマリドミド、ダラツムマブ、アルキル化薬を投与され、少なくとも1つ以上のプロテアソーム阻害剤と、1つ以上の免疫調節薬と、ダラツムマブに抵抗性 (triple-class refractory)の骨髄腫患者を対象とし、selinexor (80mg)とデキサメタゾン(20mg)を週2回、経口投与した。
部分奏功以上を全奏功と定義し、主要評価項目とした。尚、治療効果の評価は独立した評価委員会が行った。minimal response以上を臨床的なベネフィットと定義し、副次評価項目とした。

結果
米国と欧州の合計122人の患者をmodified intention-to-treat populationとし(primary analysis)、123人をsafety populationとした。年齢の中央値は65歳で、過去に受けた治療レジメン数の中央値は7だった。患者の53%が高リスクの細胞遺伝学的異常を有していた。部分奏功以上の効果が得られたのは患者の26% (95%信頼区間 19〜35)で、このうち2人はstringent complete responseを達成した。また、患者の39%でminimal response以上の効果がみられた。奏功期間の中央値は4.4ヶ月で、無増悪生存期間の中央値は3.7ヶ月、全生存期間の中央値は8.6ヶ月だった。
倦怠感、悪心、食欲低下が頻度が高く、これらはgrade 1または2のものが多かった(grade 3のイベントは最大25%で、grade 4のイベントは報告されなかった)。また、患者の73%で血小板減少が生じた(grade 3が25%、grade 4が33%)。血小板減少からgrade 3以上の出血に至ったケースが6例あった。

結論
selinexorとデキサメタゾンの併用によって、現在使用可能な治療法に抵抗性を示す骨髄腫患者において客観的な治療効果が得られた。

(Funded by Karyopharm Therapeutics; STORM ClinicalTrials.gov number, NCT02336815.).