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自分用のメモです。

濾胞性リンパ腫

腫瘍量が少なく,進行が緩徐な症例では診断後直ちに治療を開始せずに病勢が進行するまで経過観察するという選択肢もある (watchful wait,watch and wait).この選択肢はrituximab導入後にも有効な選択肢であることが示唆されている(JCO 2012;30:3848-3853).
治療を行うかどうかの判断に際して,GELFクライテリアが用いられることが多い.

GELFクライテリア (JCO 1998;16:2332-2338)

  1. 異なる3つ以上の領域における,それぞれ3cm以上のリンパ節腫大
  2. 7cm以上の病変(節性,節外性)
  3. B症状
  4. 症候性脾腫
  5. 胸水・腹水貯留
  6. 血球減少(白血球<1,000/mm^3,または血小板<10万/mm^3)
  7. 白血化(末梢血中腫瘍細胞>5,000/mm^3)

また,予後予測の指標としては以下に示すFLIPI,FLIPI-2がある.

FLIPI (Blood 2004;104:1258-1265)
※1985年〜1992年に診断された症例をもとに作成された.
  1. 年齢 ≧ 60歳
  2. 病期(Ann Arbor) III〜IV
  3. ヘモグロビン<12 g/dL
  4. 血清LDH>正常上限
  5. 病変のあるリンパ節領域 ≧ 5
  • Low 0または1項目該当.5年OS 90.6%,10年OS 70.7%
  • Intermediate 2項目該当.5年OS 77.6%,10年OS 50.9%
  • High 3項目以上該当.5年OS 52.5%,10年OS 35.5%
FLIPI-2 (JCO 2009;27:4555-4562)
※2003年〜2005年に診断された症例をもとに作成された.
  1. β2MG>正常上限
  2. 最大の腫大リンパ節>6 cm
  3. 骨髄浸潤あり
  4. ヘモグロビン<12 g/dL
  5.  年齢>60歳
  • Low 該当項目無し.3年PFS 90.9%,5年PFS 79.5%
  • Intermediate 1または2項目該当.3年PFS 69.3%,5年PFS 51.2%
  • High 3項目以上該当.3年PFS 51.3%,5年PFS 18.8%

限局期(stage I/II)では放射線照射のみで経過観察されることが多い.(Int J Radiat Oncol Biol Phys 2001;51:1219-1227)

NCCN guidelineに記載されているFirst-line therapy
  • RB (rituximab + bendamustine)
  • R-CHOP (rituximab + cyclophosphamide + doxorubicin + vincristine + prednisone)
  • R-CVP (rituximab + cyclophosphamide + vincristine + prednisone)
  • Rituximab単剤
同じくNCCNに記載されている,First-line therapyが難しい場合の治療(高齢者,全身状態が悪い場合など)
  • Radioimmunotherapy
  • Rituximab
  • アルキル化剤(cyclophosphamide, chlorambucil) ± rituximab

未治療の低悪性度リンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象としたR-CHOPとRBの多施設参加RCT。R-CHOP群261例、RB群253例が評価対象。RBはR-CHOPよりもPFSが長く(69.5か月 vs  31.2か月)、有害事象も少なかった(下記)。
有害事象:脱毛0%vs100%、血液毒性30%vs68%、感染症37%vs50%、末梢神経障害7%vs29%、口内炎6%vs19%。皮膚症状16% vs 9%。
Lancet 2013;381:1203-1210

未治療進行期濾胞性リンパ腫534例を対象とした,無作為化比較試験(R-CVP vs R-CHOP vs R-FM).イタリアから.3年TTF,PFSはR-CHOPとR-FMがR-CVPよりも良好(TTF: CVP 46%,CHOP 62%,FM 59%.PFS: 52%,68%,63%).ORR,OSは3群で有意差なし(ORR 88%,93%,91%).
R-FMではgrade 3/4の好中球減少が他の2群よりも多かった.また,観察期間中に23例の二次発癌がみられた(CVP群4例,CHOP群5例,FM群14例).
JCO 2013;31:1506-1513