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CD19特異的キメラ抗原受容体発現T細胞を投与された後の重症サイトカイン放出症候群の動態とバイオマーカー

Kinetics and biomarkers of severe cytokine release syndrome after CD19 chimeric antigen receptor-modified T-cell therapy.
(Blood. 2017 Nov 23;130(21):2295-2306.)

CD19特異的なキメラ抗原受容体発現T細胞(chimeric antigen receptor-modified (CAR) T cells)を投与した後にリンパ球を枯渇させるような化学療法を行うと、難治性のCD19陽性B細胞腫瘍の患者に顕著な抗腫瘍効果をもたらす。しかし、この治療はサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome [CRS])と関連することがある。
CRSの理解は進んでおり、毒性を軽減するための戦略を評価するために、CRSの動態を明らかにして重症度を予測するような臨床的、あるいは検査上の指標が必要とされている。
著者らは、臨床所見とCD19 CAR T細胞を投与された成人患者133人における重症CRSの臨床所見とバイオマーカーの同定を報告する。対象患者の70%でCRSがみられ、grade 1〜3が62.5%(grade 1が26%、grade 2が32%、grade 3が4.5%)、grade 4と5がそれぞれ3.8%ずつだった。grade 4以上のCRSを発症したCRS症例の大半はCAR T細胞の用量を探索している際に起きた。
治療前患者背景の多変量解析では骨髄中の腫瘍量が多い、シクロフォスファミドとフルダラビンを用いたリンパ球枯渇、CAR T細胞の量が多い、リンパ球枯渇前の血小板減少、CD8+ central memory T細胞を選択しないCAR T細胞作製、がCRSの独立した予測因子と同定された。
重症のCRSは血行動態の不安定さ、毛細血管からの漏出、消耗性の凝固異常が特徴的だった。血管内皮活性化のバイオマーカーであるangiopoietin-2とvon Willebrand因子は重症CRSにおいて増加し、CRSを生じた患者ではリンパ球枯渇の前にも増加していた。
著者らは、重症CRSのリスクが高い患者においてCAR T細胞を投与した後早期に介入する研究をガイドするための分類アルゴリズムをこの論文で示している。
これらのデータは、効果的なCD19 CAR T細胞をより安全に円滑に適用するための介入試験のための枠組みを提供する。

 

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