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再発、またはリヒター症候群に至った慢性リンパ性白血病患者を対象とした、ペムブロリズマブの第2相試験

Pembrolizumab in patients with CLL and Richter transformation or with relapsed CLL.
(Blood. 2017 Jun 29;129(26):3419-3427.)

イブルチニブ(ibrutinib)で治療している慢性リンパ性白血病(CLL)患者の中で、早期に進行する患者はリヒター転換(Richter transformation; RT)を起こすことがしばしばあり、その場合の予後は約4ヶ月と短い。前臨床試験で、programmed death 1 (PD-1)経路がCLLにおける免疫監視機構の阻害に重要な役割を果たしていることが示唆された。今回の第2相試験は、ヒト化PD-1阻害抗体であるペムブロリズマブpembrolizumabを3週間毎に200 mg投与し、再発または形質転換したCLLにおける有効性と安全性を試すためにデザインされた。
登録された患者は25人で、このうち16人が再発CLL、9人がRT(びまん性大細胞型リンパ腫)、60%がイブルチニブによる治療歴があった。
RT患者9人のうち4人(44%)で治療の効果がみられたが、CLL患者では効果がみられた患者はいなかった(0%)。治療効果はがみられた患者は全て、イブルチニブでの治療後に進行したRT患者だった。観察期間の中央値は11ヶ月で、RTコホートの全生存期間中央値は10.7ヶ月だったが、イブルチニブで治療した後に進行した患者では全生存期間は中央値に到達しなかった。治療に関連したgrade 3以上の有害事象は15例(60%)で報告され、いずれも対処可能だった。治療前の腫瘍を解析すると、効果が確認された患者の腫瘍では微小環境におけるPD-L1の発現が増強しており、PD-1の発現が増強している傾向もみられた。
結論として、ペムブロリズマブはRTを来したCLL患者に選択的な効果を示した。この研究の結果はRTを来したCLL患者におけるPD-1阻害のベネフィットを示した初めてのものであり、さらに有効性が認められていけばRTの治療が変わっていく可能性がある。

 

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再発・難治骨髄腫に対するペムブロリズマブ、ポマリドミド、低用量デキサメタゾン併用療法

Pembrolizumab, pomalidomide, and low-dose dexamethasone for relapsed/refractory multiple myeloma.

(Blood. 2017 Sep 7;130(10):1189-1197.)

 

Programmed death 1 (PD-1)受容体とそのリガンド(PD-L1)は多発性骨髄腫(MM)における免疫からの回避を助長している。著者らは、PD-1抗体であるpembrolizumabがポマリドミドによる抗骨髄腫細胞性免疫を増強し、その結果臨床的な効果が改善するという仮説を立てた。今回の単施設第2相試験では、再発・難治性の骨髄腫(RRMM)患者48人に28日サイクルでpembrolizumab (200 mg 静注、2週間ごと)、ポマリドミド(4 mg/日、21日間)、デキサメタゾン(40 mg、週に1回)を投与した。
患者の治療歴は、レジメンの種類の中央値が3(range 2〜5)、年齢の中央値は64歳(35〜83)で、IMiDsとプロテアソーム阻害剤の両方の治療歴があり、73%(35/48)はその両方に抵抗性だった。また、70%(31/48)が自家移植を受けており、62%(30/48)が高リスクの染色体異常を有していた。grade 3または4の有害事象が40%(19/48)に起こり、内訳は、血液毒性が40%(19/48)、高血糖が25%(12/48)、肺炎が15%(7/48)だった。自己免疫による有害事象は肺臓炎が13%(6/48)、甲状腺機能低下が10%(5/48)で、ほとんどがgrade2以下だった。
治療が奏功したのは60%(29/48)で、sCR/CRは8%(4/48)、VGPRが19%(9/48)、PRが33%(16/48)だった。治療効果の持続期間中央値は14.7ヶ月だった。観察期間の中央値は15.6ヶ月で、無増悪生存期間(PFS)の中央値は17.4ヶ月、全生存期間は中央値に到達しなかった。
治療前の骨髄サンプルの解析から、治療に反応した患者ではPD-L1の発現量が多い傾向がみられ、PD-1の発現に関わらずTリンパ球の浸潤が多いほどPFSが長い傾向がみられた。pembrolizumab、ポマリドミド、低容量デキサメタゾンはRRMM患者において許容可能な安全性と持続的な奏功を示した。

 

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再発・難治性の縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫における、ペムブロリズマブの安全性と忍容性

Safety and tolerability of pembrolizumab in patients with relapsed/refractory primary mediastinal large B-cell lymphoma.

(Blood. 2017 Jul 20;130(3):267-270.)


再発・難治性の縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(relapsed/refractory primary mediastinal large B-cell lymphoma; rrPMBCL)の治療の選択肢は限られており、一般に予後は悪い(全奏功率[ORR] 0〜25%、2年全生存率 15%)。PMBCLは高頻度にPD-1リガンドを過剰発現しており、PD-1阻害薬に感受性を示す可能性がある。
著者らは抗PD-1抗体である複数のコホートによる1b相試験であるKEYNOTE-013の一部として、ペムブロリズマブの安全性と抗腫瘍活性を評価した。
データ集計を打ち切った時点で、18人(年齢中央値30歳、過去の治療レジメン数の中央値 3) が試験に登録されて治療を受け、このうち17人が有効性の解析に含まれた。11人(61%)が薬剤に関連した有害事象を経験していた(ほとんどがgrade 1または2)が、有害事象を理由に治療を終了した患者はいなかった。ORRは41%(7/17)で、6人がstable diseaseだった。画像検査で評価可能だった患者16人のうち13人(81%)で標的病変の減少を認めた。観察期間の中央値は11.3ヶ月で、治療効果の持続期間は中央値に到達しなかった。2人の患者は治療期間が最長の2年間に達し、寛解を維持している。患者全体として、全生存期間は中央値に到達せず、治療に反応があった患者はデータ集計を打ち切った時点で全員が生存していた。
これまでに治療を重ねてきたrrPMBCL患者においてこのような結果が出たことから、ペムブロリズマブによるPD-1阻害は管理可能な安全性と有望な抗腫瘍活性を持っていることが示された。

 

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60歳以上のホジキンリンパ腫患者に対するfrontline治療としてのブレンツキシマブ・ベドチンとダカルバジンまたはベンダムスチンの併用療法

Frontline brentuximab vedotin in combination with dacarbazine or bendamustine in patients aged ≥60 years with HL

(Blood. 2017 Dec 28;130(26):2829-2837.)

 

60歳以上の未治療ホジキンリンパ腫患者には治療の選択肢がほとんどなく、治療関連毒性と合併症のために生存率は良くない。
この第2相非無作為化、オープンラベル試験では、ブレンツキシマブ・ベドチン(brentuximab vedotin; BV)単剤での治療と、BV + ダカルバジン(DTIC)、BV + ベンダムスチンの併用療法を評価した。
classical HLがあり、減量したfrontline化学療法の適応が無い患者を対象とした。22人が1.8 mg/kgのBVと375 mg/m2のDTICを最大12サイクル投与され、20人が1.8 mg/kgのBVと90または70 mg/m2のベンダムスチンを最大6サイクル投与された(投与量は毒性に応じて減量)。引き続くBV単剤投与も許容された。約30人がBVとベンダムスチンを投与されたが、重篤な有害事象の頻度(65%)と試験中の2人の脂肪によりベンダムスチン群は中止され、登録も中止された。
ほとんどの患者はstage 3または4で、約半数は3つ以上の合併症があり、QOLを損なうような1つ以上の問題を抱えていた。
BV + DTIC群では、奏効率(ORR)は100%で、完全寛解(CR)率は62%だった。今日に至るまでの無増悪生存率(PFS)の中央値は17.9ヶ月だった。
BV + ベンダムスチン群では、ORRは100%でCR率は88%だった。PFS、全生存率ともに中央値には到達しなかった。
忍容性と奏功の持続性から、BV + DTICは高齢のHL患者におけるfrontline治療の選択肢となる可能性がある。BV + ベンダムスチンは、効果はあるものの、このような患者には耐えられない。

 

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バルキー病変の無い限局期DLBCL患者に対するR-CHOP単独での治療と放射線治療併用の比較試験

R-CHOP 14 with or without radiotherapy in nonbulky limited-stage diffuse large B-cell lymphoma
(Blood. 2018 Jan 11;131(2):174-181.)

限局期のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)における、化学療法後の放射線治療(RT)のベネフィットについては結論が出ていない。著者らは、バルキー病変のない限局期DLBCL患者を対象に無作為化試験を実施し、R-CHOPを行った後のRTのベネフィットについて評価した。
患者はLDH、ECOGパフォーマンスステータス、年齢、病期に基づくmodified IPI (International Prognostic Index)に従って分類された。
患者は4または6サイクルのR-CHOPを2週間毎に受け、(放射線治療に割り付けられた患者は)最後のR-CHOPが終了してから4週間後に合計40Gyの放射線治療を受けた。全ての患者はFDG-PETを用いて治療前、4サイクル目のR-CHOP終了後、治療終了後に評価を受けた。主要評価項目は無作為割付後の無イベント生存とした。
この試験では165人がR-CHOP群、169人がR-CHOP + RT群に割り付けられた。観察期間中央値64ヶ月のintention-to-treat解析の結果、2群間で5年無イベント生存率に統計学的有意差は認められなかった。それぞれの5年無イベント生存率は、R-CHOP群で89% ± 2.9%、R-CHOP + RT群で92% ± 2.4%だった(ハザード比 0.61、95%信頼区間 0.3〜1.2、p = 0.18)。全生存率についても2群間で差はみられず、R-CHOP群で92%(95%信頼区間 89.5〜94.5)、R-CHOP + RT群で96%(94.3〜97.7)だった(p値:有意差なし)。
バルキー病変の無い限局期のDLBCLにおいて、R-CHOP単独による治療の成績はR-CHOPと放射線治療の併用と比較して劣っていなかった。

 

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CD19特異的キメラ抗原受容体発現T細胞を投与された後の重症サイトカイン放出症候群の動態とバイオマーカー

Kinetics and biomarkers of severe cytokine release syndrome after CD19 chimeric antigen receptor-modified T-cell therapy.
(Blood. 2017 Nov 23;130(21):2295-2306.)

CD19特異的なキメラ抗原受容体発現T細胞(chimeric antigen receptor-modified (CAR) T cells)を投与した後にリンパ球を枯渇させるような化学療法を行うと、難治性のCD19陽性B細胞腫瘍の患者に顕著な抗腫瘍効果をもたらす。しかし、この治療はサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome [CRS])と関連することがある。
CRSの理解は進んでおり、毒性を軽減するための戦略を評価するために、CRSの動態を明らかにして重症度を予測するような臨床的、あるいは検査上の指標が必要とされている。
著者らは、臨床所見とCD19 CAR T細胞を投与された成人患者133人における重症CRSの臨床所見とバイオマーカーの同定を報告する。対象患者の70%でCRSがみられ、grade 1〜3が62.5%(grade 1が26%、grade 2が32%、grade 3が4.5%)、grade 4と5がそれぞれ3.8%ずつだった。grade 4以上のCRSを発症したCRS症例の大半はCAR T細胞の用量を探索している際に起きた。
治療前患者背景の多変量解析では骨髄中の腫瘍量が多い、シクロフォスファミドとフルダラビンを用いたリンパ球枯渇、CAR T細胞の量が多い、リンパ球枯渇前の血小板減少、CD8+ central memory T細胞を選択しないCAR T細胞作製、がCRSの独立した予測因子と同定された。
重症のCRSは血行動態の不安定さ、毛細血管からの漏出、消耗性の凝固異常が特徴的だった。血管内皮活性化のバイオマーカーであるangiopoietin-2とvon Willebrand因子は重症CRSにおいて増加し、CRSを生じた患者ではリンパ球枯渇の前にも増加していた。
著者らは、重症CRSのリスクが高い患者においてCAR T細胞を投与した後早期に介入する研究をガイドするための分類アルゴリズムをこの論文で示している。
これらのデータは、効果的なCD19 CAR T細胞をより安全に円滑に適用するための介入試験のための枠組みを提供する。

 

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難治性B細胞リンパ腫に対するCART療法

Chimeric Antigen Receptor T Cells in Refractory B-Cell Lymphomas
(N Engl J Med. 2017 Dec 28;377(26):2545-2554.)


背景
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫は免疫化学療法に抵抗性または治療後に再発し、移植の予後は不良である。CD19をターゲットにしたchimeric antigen receptor (CAR)で改変したT細胞を用いた治療はB細胞腫瘍で高い奏効率が報告されているが、B細胞リンパ腫に関するデータは限られている。

方法
著者らは、CD19をターゲットにしたCARを発現した自家T細胞(CTL019)を用いて、再発または治療抵抗性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫の患者を治療した。治療への反応、治療の毒性、体内におけるCTL019の広がりと持続性、免疫の回復をモニターした。

結果
合計28人がCTL019による治療を受け、28人中18人で治療に反応がみられた(64%、95%信頼区間[CI] 44〜81)。完全奏功を達成したのはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫14人のうち6人(43%, 95% CI 18〜71)と、濾胞性リンパ腫14人のうち10人(71%, 95% CI 42〜92)だった。CTL019は患者の体内で増殖し、治療の奏功の有無に関わらず患者の血液と骨髄から検出された。持続的な寛解が達成され、観察期間中(中央値 28.6ヶ月)、治療が奏功したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者の86%(95% CI 33〜98)と、奏功した濾胞性リンパ腫患者の89%(95% CI 43〜89)で治療効果が持続した。重篤なサイトカイン放出症候群が5人(18%)でみられた。また、重篤な脳症が3人(11%)でみられ、このうち2人は自然に改善し、1人は致死的だった。6ヶ月以内に完全寛解を達成した患者全員が治療開始後7.7〜37.9ヶ月(中央値 29.3ヶ月)にわたって寛解を維持し、16人中8人で6ヶ月後以降にB細胞が再び出現し、10人中4人でIgGの、10人中6人でIgMのレベルがそれぞれ改善、10人中3人で18ヶ月後以降にIgAレベルが改善した。

結論
CTL019は再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫の治療において有効である可能性がある。寛解が持続する割合が高く、一部の患者ではB細胞と免疫グロブリンの回復もみられた。約3分の1で一過性の脳症がみられ、5分の1で重篤なサイトカイン放出症候群がみられた。

 

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非ホジキンリンパ腫サバイバーにおいて、リンパ腫診断時点での心臓・血管の状態は治療後の心不全リスクと関連している

Preexisting Cardiovascular Risk and Subsequent Heart Failure Among Non-Hodgkin Lymphoma Survivors
(J Clin Oncol 2017;35:3837-3843)


目的
アントラサイクリンを用いた化学療法は、非ホジキンリンパ腫(NHL)サバイバーにおける心不全と関連している。著者らは、NHLサバイバーを対象に、診断時点で存在していた心血管リスクの心不全リスクへの寄与を理解することを目的とした。

方法
デンマークの登録データを用いて、2000年から2010年までにアグレッシブリンパ腫と診断された成人を選び出し、さらに性別と年齢を一致させた一般人口コントロールを選び出した。著者らは診断後9ヶ月経過後から2012年まで心不全を評価した。Cox回帰分析を用いて、NHLサバイバーと一般人口の間での心不全リスクの違いを評価した。NHLサバイバーにおいてのみ、診断時に存在していた心血管リスク(高血圧、脂質異常、糖尿病)と心血管疾患を確認した。多変量Cox回帰分析を用いて診断時の心臓・血管の状態とその後の心不全の関連のモデルを構築した。

結果
2,508人のNHLサバイバーと7,399人のコントロールが対象となり、NHLサバイバーでは心不全のリスクが一般人口コントロールと比較して42%高かった(ハザード比 1.42; 95%信頼区間 1.07 - 1.88)。NHLサバイバー(診断時の年齢中央値 62歳、56%が男性)において、115人が追跡中に心不全と診断された(追跡期間中央値 2.5年)。NHLと診断される前に、39%が1つ以上の心血管リスク因子を持っていて、NHLサバイバーの92%がアントラサイクリンを含むレジメンで治療されていた。多変量解析において、リンパ腫と診断される前に存在していた心疾患が心不全のリスク増大と関連しており(ハザード比 2.71、95%信頼区間 1.15 - 6.36)、一方で血管疾患は心不全と関連していなかった(p > 0.05)。心血管リスクを有していたNHLサバイバーはリスクの無かったサバイバーと比較して心不全のリスクが高くかった(リスク因子数 1 vs 0: ハザード比 1.63、95%信頼区間 1.07 - 2.47。2 vs 0: 2.86、1.56 - 5.23。joint P < 0.01)。

結論
一般人口を対照とした大規模なNHLコホート研究で、診断時点における心臓と血管の状態は心不全のリスク増大と関連していた。予防的なアプローチは、ベースラインの心臓・血管の状態を考慮に入れる必要がある。

 

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末梢性T細胞リンパ腫における、診断後24ヶ月時点の無イベント生存とその後の生存率との関連

International Assessment of Event-Free Survival at 24 Months and Subsequent Survival in Peripheral T-Cell Lymphoma
(J Clin Oncol 2018;35:4019-4026)

目的
末梢性T細胞リンパ腫(Peripheral T-cell lymphomas; PTCLs)は臨床的にはアグレッシブリンパ腫に分類される。著者らは以前に24ヶ月時点での無イベント生存(EFS24)がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のエンドポイントとして臨床的に有用性であることを示した。今回著者らは、大規模な多施設コホートを対象にEFS24とその後の全生存率(subsequent OS)を評価した。

患者と方法
2000年から2012年までの間に新たにPTCLsと診断され、治癒を目的とした治療を受けた患者を対象とした。米国とスウェーデンの患者をinitial cohort、カナダの患者をreplication cohortとした。無イベント生存(EFS)は診断日から最初の治療を受けた後リンパ腫が増悪するまで、再治療、または死亡するまでの時間と定義した。subsequent OSはEFS24を達成してから、または24ヶ月以内にリンパ腫が増悪した場合はリンパ腫が増悪した時点から計測された。全生存率は年齢、性別、国を一致させた一般人口と比較した。

結果
775人が研究に登録され、診断時の年齢の中央値は64歳で63%が男性だった。結果はsimilar cohortとreplication cohortで類似しており、統合解析を実施した。患者の64%は24ヶ月以内にリンパ腫が増悪しており、subsequent OSの中央値は4.9ヶ月(5年全生存率 11%)だった。対称的に、EFS24を達成した患者の23%で達成後5年以内にリンパ腫が再発したが、EFS24を達成した後の全生存率は中央値に到達しなかった(5年全生存率 78%)。60歳以下の若年者では、EFS24達成後の予後はさらに良かった(5年全生存率 91%)。

結論
PTCLにおいて、EFS24は引き続く予後を層別した。最初の治療に抵抗性、または早期に再発したPTCL患者は非常に予後が悪かった。しかし、PTCL患者の3分の1以上は診断後2年間寛解を維持し、引き続く全生存率も有望であり、特に若年者では予後が良かった。このような予後の顕著な違いはPTCLについて患者と話をする際、研究をデザインする際、リスクを層別化する際にEFS24が有用であることを示唆している。

 

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中枢神経原発リンパ腫に対する地固め療法としての全脳照射と自家幹細胞移植の成績

Whole-brain radiotherapy or autologous stem-cell transplantation as consolidation strategies after high-dose methotrexate-based chemoimmunotherapy in patients with primary CNS lymphoma: results of the second randomisation of the International Extranodal Lymphoma Study Group-32 phase 2 trial

Lancet Haematology 2017;4:e510-e523

PMID: 29054815, DOI: dx.doi.org/10.1016/S2352-3026(17)30174-6

背景

International Extranodal Lymphoma Study Group-32 (IELSG32) 試験は国際共同第2相試験であり,新たに中枢神経(CNS)原発リンパ腫と診断された患者の治療における2つの鍵となるクリニカルクエスチョンを扱った試験である。1つ目無作為化の結果は,メトトレキサート,シタラビン,チオテパ,リツキシマブの併用レジメン(MATRixレジメン)が他の併用療法と比べて,導入療法としての治療成績が優れていることが示された。今回著者らは,全脳照射(WBRT)の代わりに(大量メトトレキサート投与をベースとした免疫化学療法を行った後の)地固め療法として実施した自家幹細胞移植併用骨髄破壊的化学療法の有効性を報告する。

方法

新たにCNS原発リンパ腫と診断されたHIV陰性,ECOG-PS 0〜3の患者(18〜70歳)を無作為に3群(group A, B, C)に割り付けた。

group A: メトトレキサート(3.5 g/m2,day1),シタラビン(2 g/m2,1日2回,day 2,3)

group B: group Aのレジメンに加えて,リツキシマブ(375 mg/m2,day -5, 0)

group C: group Bのレジメンに加えてチオテパ(30 mg/m2,day4)

各群とも3週サイクルで4コースの治療を受けた。

導入療法で効果があったか病勢に変化がみられなかった患者で,かつ適切に末梢血造血幹細胞採取ができ,持続的な医原性の副作用がみられなかった患者は2回目の無作為割付で2群に割り付けられた(group D, E)

group D: 全脳照射(WBRT。4〜10 MeV。1週間に5回照射。1回の照射線量は180 cGy。導入療法の最後のコースから4週間以内に開始)

group E: carmustineとチオテパで前処置を行う自家幹細胞移植(carmustine 400 mg/m2 day-6,チオテパ 5 mg/kg 12時間毎,day-5, -4)

どちらの無作為化も,置換ブロック法が用いられ,各階層でコンピュータが生成した無作為化リストが使用された。割付後のマスキングは行われなかった。

主要評価項目は導入療法群毎と,導入療法の奏功毎の2年無増悪生存率とした。解析はmodified intention-to-treatにより行われた。

結果

2010年2月19日から2014年8月27日までの間に5カ国53施設の227人が候補となった。227人の参加者のうち,219人が評価可能だった。2回目の無作為割付の対象となった122人のうち,118人がWBRTまたはASCTに割り付けられた(各群 59人)。WBRTとASCTはいずれも有効で,両群とも事前に定められた有効性の閾値(各群最初の52人のうち,2年後無増悪生存者が40人以上)を達成した。WBRTとASCTの間に2年無増悪生存率の有意な差はみられず,group D(WBRT)群が80%(95% CI 70-90),group E(ASCT)が69%(59-79),ハザード比は1.50 (95% CI 0.83-2.71; p=0.17)だった。どちらの地固め療法も,有害事象は許容可能だった。grade 4の非血液毒性は多くなかった一方,血液毒性は予想された通りASCTの方がWBRTより多かった。毒性による死は2例あり,いずれも感染症によるものでASCT群だった。

解釈

WBRTとASCTはいずれも,新たに診断された70歳以下のCNS原発リンパ腫患者において,大量メトトレキサートを含んだ化学免疫療法を行った後の地固め療法として実施可能でかつ有効だった。治療法を決定する際には,WBRT後の認知機能障害のリスクと影響について考慮されるべきである。

 

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