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非ホジキンリンパ腫サバイバーにおいて、リンパ腫診断時点での心臓・血管の状態は治療後の心不全リスクと関連している

Preexisting Cardiovascular Risk and Subsequent Heart Failure Among Non-Hodgkin Lymphoma Survivors
(J Clin Oncol 2017;35:3837-3843)


目的
アントラサイクリンを用いた化学療法は、非ホジキンリンパ腫(NHL)サバイバーにおける心不全と関連している。著者らは、NHLサバイバーを対象に、診断時点で存在していた心血管リスクの心不全リスクへの寄与を理解することを目的とした。

方法
デンマークの登録データを用いて、2000年から2010年までにアグレッシブリンパ腫と診断された成人を選び出し、さらに性別と年齢を一致させた一般人口コントロールを選び出した。著者らは診断後9ヶ月経過後から2012年まで心不全を評価した。Cox回帰分析を用いて、NHLサバイバーと一般人口の間での心不全リスクの違いを評価した。NHLサバイバーにおいてのみ、診断時に存在していた心血管リスク(高血圧、脂質異常、糖尿病)と心血管疾患を確認した。多変量Cox回帰分析を用いて診断時の心臓・血管の状態とその後の心不全の関連のモデルを構築した。

結果
2,508人のNHLサバイバーと7,399人のコントロールが対象となり、NHLサバイバーでは心不全のリスクが一般人口コントロールと比較して42%高かった(ハザード比 1.42; 95%信頼区間 1.07 - 1.88)。NHLサバイバー(診断時の年齢中央値 62歳、56%が男性)において、115人が追跡中に心不全と診断された(追跡期間中央値 2.5年)。NHLと診断される前に、39%が1つ以上の心血管リスク因子を持っていて、NHLサバイバーの92%がアントラサイクリンを含むレジメンで治療されていた。多変量解析において、リンパ腫と診断される前に存在していた心疾患が心不全のリスク増大と関連しており(ハザード比 2.71、95%信頼区間 1.15 - 6.36)、一方で血管疾患は心不全と関連していなかった(p > 0.05)。心血管リスクを有していたNHLサバイバーはリスクの無かったサバイバーと比較して心不全のリスクが高くかった(リスク因子数 1 vs 0: ハザード比 1.63、95%信頼区間 1.07 - 2.47。2 vs 0: 2.86、1.56 - 5.23。joint P < 0.01)。

結論
一般人口を対照とした大規模なNHLコホート研究で、診断時点における心臓と血管の状態は心不全のリスク増大と関連していた。予防的なアプローチは、ベースラインの心臓・血管の状態を考慮に入れる必要がある。

 

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