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骨髄異形性症候群の同種移植後予後に影響する遺伝子変異

Prognostic Mutations in Myelodysplastic Syndrome after Stem-Cell Transplantation

N Engl J Med. 2017;376:536-547.

PMID: 28177873, DOI: 10.1056/NEJMoa1611604

www.ncbi.nlm.nih.gov

背景

遺伝子変異は骨髄異形性症候群(MDS)の病因であり、臨床病型と密接に関連している。そのため、遺伝子変異が同種造血幹細胞移植後の臨床的予後を予測する可能性がある。

方法

著者らは、2005年から2014年までの間にCenter for International Blood and Marrow Transplant Research Repositoryに登録された1,514例のMDS症例から移植前に得られたサンプルについて、変異解析を行った。変異と移植予後の関連について、全生存、再発、非再発死亡を評価した。

結果

TP53変異は19%にみられ、生存期間の短さと再発までの期間の短さと関連していた(P<0.001)。TP53変異のない40歳以上の症例の中で、RAS pathwayの変異は生存期間の短さと関連し(P=0.004)、これは再発リスクが高いためと考えられた。また、JAK2変異が存在する場合も生存期間が短く(P=0.001)、これは非再発死亡リスクが高いためと考えられた。TP53変異が予後に与える悪影響は、毒性を軽減した前処置(RIC)と骨髄破壊的前処置で類似していた。対照的に、RAS pathwayの変異が再発リスクに与える悪影響は、明らかにRICにおいてのみ認められた(P<0.001)。若年成人症例の4%がShwachman–Diamond症候群に関連したCBDS遺伝子の複合ヘテロ接合体変異とTP53変異を併せ持っており、予後が悪かった。p53の制御因子であるPPM1Dの変異は治療関連MDSにおいてprimary MDSよりも多く見られた(15% vs 3%, P<0.001)。

結論

遺伝子プロファイリングによって、同種造血幹細胞移植を受けた患者の分子的サブグループが予後の層別化や移植前処置レジメンの選択についての情報を与える可能性が示された。