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ステロイド抵抗性の急性GVHDに対するルキソリチニブの第3相試験

Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease.
N Engl J Med. 2020 May 7;382(19):1800-1810. doi: 10.1056/NEJMoa1917635.
PMID: 32320566

背景
急性GVHDは依然として同種幹細胞移植の主要な制約の一つである。全ての患者が標準的なステロイド治療に反応するわけではない。第2相試験において、ヤヌスキナーゼ(JAK1、JAK2)の選択的な阻害剤であるルキソニチニブはステロイド抵抗性のGVHD患者に期待の持てる有効性を示した。

方法
著者らは、12歳以上で同種幹細胞移植後にステロイド抵抗性の急性GVHDを呈した患者を対象に、ルキソリチニブ内服(10 mg 1日2回)と、責任医師が選択した治療(よく使われる9つの治療選択肢の中から選択。対照群)を比較する多施設共同・オープンラベル・第3相試験を実施した。
主要評価項目は28日目における全奏功(完全奏功または部分奏功)とした。主要な副次評価項目は56日目における持続的な全奏功とした。

結果
合計309人がランダム化を受け、154人がルキソリチニブ群、155人が対照群に割り付けられた。
28日目における全奏功率は、ルキソリチニブ群の方が対照群よりも高かった(62% [96人] vs. 39% [61人]; オッズ比, 2.64; 95% 信頼区間 [CI], 1.65 〜 4.22; P<0.001)。
56日目における持続的な全奏功率は、ルキソリチニブ群の方が対照群よりも高かった(40% [61人] vs. 22% [34人]; オッズ比, 2.38; 95% CI, 1.43 〜 3.94; P<0.001)。
6ヶ月時点における奏功喪失の累積頻度はルキソリチニブ群で10%、対照群で39%と推定された。
奏功が持続した状態での生存期間の中央値は、ルキソリチニブ群の方が対照群よりも長かった(5.0ヶ月 vs. 1.0ヶ月; 血液疾患の再発または増悪、非再発死亡、急性GVHDに対する新規の全身治療の追加、のいずれかに関するハザード比, 0.46; 95% CI, 0.35 〜 0.60)。
全生存期間の中央値はルキソリチニブ群で11.1ヶ月、対照群で6.5ヶ月だった(死亡に関するハザード比, 0.83; 95% CI, 0.60 to 1.15)。
28日までの間に頻度の高かった有害事象には血小板減少(ルキソリチニブ群 50/152 [33%]、対照群 27/150 [18%])、貧血(46 [30%]、42 [28%])、サイトメガロウイルス感染症(39 [26%]、31 [21%])があった。

結論
ルキソリチニブによる治療は、対照治療と比較して有効性を有意に改善した一方、最も頻度の高い毒性である血小板減少の頻度が対照治療よりも高かった。

Funded by Novartis; REACH2 ClinicalTrials.gov number, NCT02913261.