メモ帳

自分用のメモです。

若年、未治療の高リスクアグレッシブB細胞リンパ腫患者を対象とした、R-MegaCHOEP+ASCTとR-CHOEP-14のランダム化第3相試験。の10年フォローアップ結果。

Rituximab plus high-dose chemotherapy (MegaCHOEP) or conventional chemotherapy (CHOEP-14) in young, high-risk patients with aggressive B-cell lymphoma: 10-year follow-up of a randomised, open-label, phase 3 trial
Clinical Trial Lancet Haematol. 2021 Apr;8(4):e267-e277. doi: 10.1016/S2352-3026(21)00022-3. Epub 2021 Mar 2.
PMID: 33667420 DOI: 10.1016/S2352-3026(21)00022-3

背景
R-MegaCHOEPは、高用量化学療法+リツキシマブとそれに引き続く自家造血幹細胞移植(HSCT)と、従来からの化学療法+リツキシマブをファーストラインで比較した初めての第3相試験であり、60歳以下の高リスクアグレッシブB細胞リンパ腫患者を対象とした。
これらの患者の長期成績については、ほとんど分かっていない。著者らは、R-MegaCHOEP試験の10年後のフォローアップで、従来からの化学療法と高用量化学療法の長期有効性と安全性を比較、評価することを目的とした。

方法
この試験はオープンラベル・ランダム化・第3相試験であり、ドイツの61施設で実施された。対象18~60歳で、新たに診断された高リスク(年齢調整IPIが2または3)のアグレッシブB細胞リンパ腫の患者で、従来からの化学療法とリツキシマブを併称したR-CHOEP-14を8サイクル行う群、または高用量化学療法にリツキシマブを併用したR-MegaCHOEPを4サイクル行い、その後自家HSCTを行う群のいずれかに(Pocock minimisationを用いて1:1の比で)ランダムに割り付けられた。この試験ではマスクはされなかった。
対象患者はaaIPIの因子、バルキー病変(腫瘍径 ≧ 7.5cm)の有無、治療施設で層別化された。主要評価項目は無イベント生存で、ランダム化後10年で解析した。10年全生存、無増悪生存、条件付き生存、再発パターン、二次発癌、分子生物学的特徴についても解析した。全ての解析はintention-to-treat populationで行った。
この試験はClinicalTrials.govに登録されている(NCT00129090)。

結果
2003年3月3日から2009年4月7日までの間に、275人の患者がR-CHOEP-14 (n=136)またはR-MegaCHOEP (n=139)のいずれかにランダムに割り付けられた。R-CHOEP-14群の130人と、R-MegaCHOEP群の132人がintention-to-treat populationに含まれている。
フォローアップ期間の中央値は9.3年 (IQR 5.1~11.1)で、10年無イベント生存率はR-MegaCHOEP群で51% (95% CI 42~61)、R-CHOEP-14群で57% (47~67)だった(調整ハザード比 [HR] 1.3 [95% CI 0.9~1.8]、p = 0.23)。
10年無増悪生存率はR-MegaCHOEP群で59%(50~68)、R-CHOEP-14群で60%(51~70)だった(調整HR 1.1 [0.7~1.7]、p=0.64)。
10年全生存率はR-MegaCHOEP群で66%(57~76)、R-CHOEP-14群で72%(63~81)だった(調整HR 1.3 [0.8~2.1]、p=0.26)。
再発は完全寛解または不確定完全寛解に達した190人のうち30人 (16% [95% CI 11~22])でみられ、内訳はR-CHOEP-14群の100人中17人(17%)、R-MegaCHOEP群90人中13人(14%)だった。30人のうち7人(23%)は、再発時には低グレードの組織型であり、アグレッシブな組織型で再発した患者と比較して予後が良かった。
治療失敗の64人のうち18人(28%)でリンパ腫の中枢神経浸潤がみられた。intention-to-treat-populationで22人に二次発癌が報告された。内訳は、R-CHOEP-14の127人中12人(9%)と、R-MegaCHOEP群126人のうち10人(8%)だった。

解釈
10年のフォローアップで、無イベント生存率と全生存率は2群間で差がなかった。R-MegaCHOEP群においては、高用量化学療法と自家HSCTによって治療成績が改善されなかった。アグレッシブな組織型で再発した患者は中枢神経浸潤の頻度が高く、予後は不良だった。これらの患者については、新たな治療法が強く是認される。

Funding: Deutsche Krebshilfe (German Cancer Aid).