メモ帳

自分用のメモです。

MALTリンパ腫における1st line治療としてベンダムスチンとリツキサンの併用療法は有効かつ忍容性良好だった.

First-line response-adapted treatment with the combination of bendamustine and rituximab in patients with mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma (MALT2008-01): a multicentre, single-arm, phase 2 trial

(Lancet Haematology 2014;1:e104-e111)

[背景] MALTリンパ腫における1st lineの全身治療として標準的なものは確立されていない.第2相試験において,著者らはMALTリンパ腫を対象として,奏功に応じて調整するベンダムスチンとリツキシマブの併用療法(response-adapted combination of bendamustine plus rituximb)の安全性と有効性の評価を行うことを目的とした.

[方法] 多施設参加,単アーム,非無作為化第2相臨床試験において,著者らはあらゆる病変部位,病期のMALTリンパ腫患者を登録し,ベンダムスチン(90 mg/m^2 day1, 2)とリツキシマブ(375 mg/m^2 day1)で4週毎に治療した.登録基準は測定可能で評価可能な病変を持つこと,年齢18〜85歳,明確な活動性を持つリンパ腫病変があること,であり,Helicobacter pyloriの除菌に失敗した胃原発症例,局所治療に失敗した皮膚原発症例も登録した.除外基準としては組織学的なtransformationの根拠があること,中枢神経浸潤があること,活動性のHBV,HCV,HIV感染症があること,とした.3サイクル終了後,完全奏功を達成した症例では1サイクルを追加し(合計4サイクル),部分奏功を達成した症例では3サイクルを追加した(合計6サイクル).主要評価項目は2年時点の無イベント生存率とした.modified intention to treat解析を行った.

[結果] スペインの19施設において,2009年5月27日から2011年5月23日の間に60症例が登録され,治療を受けた.57例が主要評価項目について選択可能だった.4サイクルを超える治療を必要としたのは14例(25%)のみだった.観察期間中央値は43ヶ月(IQR 37-51)で,無イベント生存期間中央値には到達しなかった.2年時点での無イベント生存率は93%(95% CI 84-97%)で,4年時点では88%(74-95%)だった.最も高頻度にみられたgrade 3/4の有害事象は血液毒性で,リンパ球減少が20例(33%),好中球減少が12例(20%),白血球減少が3例(5%)でみられた.grade 3/4の発熱性好中球減少症が3例(5%),感染症が4例(7%)みられた.

[結論] 今回実施した,奏功に応じてスケジュールを調整するベンダムスチンとリツキシマブの併用療法は,MALTリンパ腫において有効で忍容性良好な1st line治療と思われた.

再発マントル細胞リンパ腫において,標準的なCHOP療法にボルテゾミブを併用することで奏功率と生存率が改善した

Addition of bortezomib to standard dose chop chemotherapy improves response and survival in relapsed mantle cell lymphoma

(Br J Haematol 2015;168:55-62)

プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(BOR)は,細胞の化学療法に対する感受性を増大させる可能性がある.この研究では初回再発のマントル細胞リンパ腫におけるCHOP療法とCHOP+BOR療法の全奏功率(ORR),全生存率(OS),無増悪生存率,毒性を比較した.46例が無作為にCHOP±BOR (1.6mg/m^2)に割り付けられた.年齢の中央値は71歳(CHOP arm)と69歳(CHOP-BOR arm)だった.ECOG-PSの中央値は1(CHOP)と0(CHOP-BOR)で,stage IVの割合はそれぞれ65%と52%だった.全奏功率は47.8%(CHOP)と82.6%(CHOP-BOR)で,完全奏功率は21.7%と34.8%,部分奏功率は26.1%と47.8%だった.OSの中央値は11.8ヶ月と35.6ヶ月(p = 0.01, HR 0.37 [95% CI, 0.16-0.83])で,PFSに有意な差はみられなかった(8.1ヶ月 vs 16.5ヶ月, p = 0.12).grade 3以上の感覚神経障害は両armでほぼ同等だった(CHOP 4.3% vs CHOP-BOR 6.5%).再発マントル細胞リンパ腫において,CHOP療法にボルテゾミブを併用することで治療成績が有意に改善し,かつ毒性の増加は管理可能なものであったと結論付けた.

再発・難治骨髄腫におけるレナリドミド,シクロフォスファミド,プレドニゾロン併用療法の第I/II相臨床試験

Phase I-II trial of oral cyclophosphamide, prednisone and lenalidomide for the treatment of patients with relapsed and refractory multiple myeloma

(Br J Harmatol 2015;168:46-54)

この単施設,オープンラベル第I/II相用量増量試験では,再発・難治性の多発性骨髄腫におけるレナリドミド,シクロフォスファミド,プレドニゾロン併用(CPR)療法の安全性と有効性を評価した.CPR療法の最大投与量はCY 300mg/m^2 (day 1, 8, 15),LEN 25mg (day1-21),PSL 100mg (1日おき)で,治療サイクルは28日だった.

2007年11月から2009年6月の間に32例が3つの用量の異なるコホートに登録された.年齢の中央値は64歳で,59%が男性だった.前治療歴の中央値は2レジメンだった.奏功した症例では,その治療を骨髄腫が増悪するまで継続することが許された.CPRレジメンで用量制限毒性は認められず,中央値16ヶ月間(3.5-65ヶ月)にわたって治療が実施され,安全性と忍容性か許容可能なものであった.観察期間中央値は28ヶ月で,全奏功率(≧部分奏功)は94%だった.無増悪生存期間の中央値は16.1ヶ月(95% CI; 10.9-22.5ヶ月)で,全生存期間中央値は27.6ヶ月(95% CI; 16.8-36.6ヶ月)だった.プロトコール登録時点におけるβ2ミクログロブリンの値のみが生存率と相関していた(p = 0.047).これらの結果は再発・難治性骨髄腫において他の2または3剤併用療法に匹敵するものであり,CPRレジメンが再発・難治あるいは新規に診断された骨髄腫においてさらに評価されるべきであることを示唆している.

 

再発・難治性アグレッシブリンパ腫の救援療法としてGDP療法はDHAP療法に劣らぬ効果を示し、かつ毒性は軽度であった

Randomized Comparison of Gemcitabine, Dexamethasone, and Cisplatin Versus Dexamethasone, Cytarabine, and Cisplatin Chemotherapy Before Autologous Stem-Cell Transplantation for Relapsed and Refractory Aggressive Lymphomas

(JCO 2014;32:3490-3496)

【目的】著者らは、再発または難治性のアグレッシブリンパ腫に対する自家幹細胞移植前の治療として、gemcitabineベースの治療が標準的治療と同等の効果を持ちかつ毒性がより軽いという仮説を立てた。

【患者・方法】再発・難治性アグレッシブリンパ腫619例がgemcitabine、dexamethasone、cisplatin (GDP)群とdexamethasone、cytarabine、cisplatin (DHAP)群に無作為に割り付けられた。B細胞リンパ腫の症例はrituximabも投与された。治療効果のあった症例は幹細胞採取と自家幹細胞移植に 進んだ。主要評価項目は治療2サイクル終了後の全奏功率と、移植率とした。GDP両方奏功率のDHAPに対する非劣性マージンは10%に設定した。副次評 価項目は無イベント生存率、全生存率、治療毒性、QOLとした。

【結果】intention-to-treat解析の結果、GDPの奏功率は45.2%、DHAPのそれは44.0%であり(差の95% CI, -9.0-6.7%)、本プロトコールにより設定されていた非劣性クライテリアに合致した(p = 0.005)。per-protocol解析でも同様の結果がみられた。また、移植率はGDP群が52.1%、DHAP群が49.3%だった。観察期間の中 央値は54か月で、この間にGDP群とDHAP群の間で無イベント生存率と全生存率の差はみられなかった(HR 0.99, p = 0.95)。GDPによる治療は毒性の軽さ(p < 0.001)、入院の少なさ(p < 0.001)、QOLの維持と関連していた(P = 0.04)。

【結論】再発または難治性のアグレッシブリンパ腫におけるDHAP療法との比較において、GDP療法による治療は奏功率が劣っておらず、移植率、EFS、OSは同等で、毒性と入院は少なくQOLは優れていた。

再発骨髄腫におけるcarfilzomib,レナリドミド,デキサメタゾン併用療法

Carfilzomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for Relapsed Multiple Myeloma

(NEJM, DOI: 10.1056/NEJMoa1411321)

背景 レナリドミド+デキサメタゾンは骨髄腫再発時において基準となる治療である.プロテアソーム阻害薬であるcarfilzomibをレナリドミド,デキサメタゾンと併用した治療の再発骨髄腫における有効性が第1,2相試験において示されてきた.

方法 著者らは再発骨髄腫患者792例をcarfilzomib,レナリドミド,デキサメタゾン併用療法群(carfilzomib群)とレナリドミド,デキサメタゾン併用療法群(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.

結果 無増悪生存期間はcarfilzomibによって有意に改善された(中央値26.3ヶ月 vs 17.6ヶ月.hazard ratio 0.69; 95% CI, 0.57-0.83; p=0.0001).全生存期間の中央値は両軍ともに中間解析時点では未到達だった.24ヶ月のカプランマイヤー法による全生存率はcarfilzomib群で73.3%,対照群で65.0%だった(hazard ratio 0.79; 95% CI, 0.63-0.99; p = 0.04).部分奏功以上の全奏功率はcarfilzomib群で87.1%,対照群で66.7%(p<0.001)であり,31.8%と9.3%以上がそれぞれCR以上で,sCRが14.1%と4.3%だった.grade 3以上の有害事象は83.7%,80.7%でみられ,有害事象のために治療が中止された患者の割合は15.3%と17.7%だった.carfilzomib群の患者は健康関連QOLがより良好だった.

結論 再発骨髄腫の患者において,レナリドミドとデキサメタゾンにcarfilzomibを加えることで中間解析時点での無増悪生存期間が有意に改善し,risk-benefit profileは良好だった.

 

リツキシマブ併用化学療法を受けたHBVキャリアにおけるHBV再活性化についての前向き試験

Hepatitis B Reactivation in Patients With Previous Hepatitis B Virus Exposure Undergoing Rituximab-Containing Chemotherapy for Lymphoma: A Prospective Study

(JCO 2014;32:3736-3743)

目的 リツキシマブ併用化学療法を受けたHBs抗原陰性,抗HBc抗体陽性のリンパ腫患者におけるB型肝炎ウイルスの再活性化パターンはこれまで十分に報告されていなかった.

患者・方法 血液悪性腫瘍と診断されリツキシマブ併用化学療法を受けたHBs抗原陰性,抗HBc抗体陽性,血清HBV DNA量が検出感度未満(< 10 IU/mL)の中国人患者を対象として,4週間毎に2年後までモニターした.HBVが再活性化(HBV DNA検出時と定義)した際にはエンテカビルが開始された.

結果 リツキシマブ併用化学療法を受けた260例のうち,HBs抗原陰性かつ抗HBc抗体陽性の63例(24.2%)がフォローされ,フォロー期間の中央値は70週(6-104週)だった.2年間における累積のHBV再活性化率は41.5%で,リツキシマブ投与終了から中央値で23週後(4-100週後)に起こっていた.再活性化時のHBV DNA量の中央値は43 IU/mL(14-920)で,ベースラインでの抗HBs抗体不検出(< 10 mIU/mL)がHBV再活性化と関連する唯一のリスク因子であった(hazard ratio 3.51; 95% CI, 1.37-8.98; p = 0.009).ベースラインの抗HBs抗体が陰性の患者は陽性の患者と比較して2年間のHBV活性化率(累積)が有意に高かった(68.3% vs 34.4%; p = 0.012).HBVが再活性化した時点で,全ての患者でALTは正常であり,1例を除く全患者でHBs抗原は陰性だった.全ての患者において,エンテカビルによってHBV再活性化はうまくコントロールされた.

結論 リツキシマブ併用化学療法を受けたHBs抗原陰性かつ抗HBc抗体陽性の患者において,高率にHBV再活性化が観察され,抗HBs抗体陰性の患者では再活性化率が有意に高かった.定期的なHBV DNAモニタリングはHBV関連合併症を予防するための戦略として効果的であった.

 

再発・難治性アグレッシブリンパ腫に対する自家移植前のGDP療法の有効性

Randomized Comparison of Gemcitabine, Dexamethasone, and Cisplatin Versus Dexamethasone, Cytarabine, and Cisplatin Chemotherapy Before Autologous Stem-Cell Transplantation for Relapsed and Refractory Aggressive Lymphomas

(JCO 2014;32:3490-3496)

[目的] 著者らは、再発または難治性のアグレッシブリンパ腫に対する自家幹細胞移植前の治療として、gemcitabineベースの治療が標準的治療と同等の効果を持ちかつ毒性がより軽いという仮説を立てた。

[患者・方法] 再発・難治性アグレッシブリンパ腫619例がgemcitabine、dexamethasone、cisplatin (GDP)群とdexamethasone、cytarabine、cisplatin (DHAP)群に無作為に割り付けられた。B細胞リンパ腫の症例はrituximabも投与された。治療効果のあった症例は幹細胞採取と自家幹細胞移植に進んだ。主要評価項目は治療2サイクル終了後の全奏功率と、移植率とした。GDP両方奏功率のDHAPに対する非劣性マージンは10%に設定した。副次評価項目は無イベント生存率、全生存率、治療毒性、QOLとした。

[結果] intention-to-treat解析の結果、GDPの奏功率は45.2%、DHAPのそれは44.0%であり(差の95% CI, -9.0-6.7%)、本プロトコールにより設定されていた非劣性クライテリアに合致した(p = 0.005)。per-protocol解析でも同様の結果がみられた。また、移植率はGDP群が52.1%、DHAP群が4.4%だった。観察期間の中央値は54か月で、この間にGDP群とDHAP群の間で無イベント生存率と全生存率の差はみられなかった(HR 0.99, p = 0.95)。GDPによる治療は毒性の軽さ(p < 0.001)、入院の少なさ(p < 0.001)、QOLの維持と関連していた(P = 0.04)。

[結論] 再発または難治性のアグレッシブリンパ腫におけるDHAP療法との比較において、GDP療法による治療は奏功率が劣っておらず、移植率、EFS、OSは同等で、毒性と入院は少なくQOLは優れていた。

再発ALアミロイドーシスに対するbortezomib単剤治療 第1/2相臨床試験の長期成績

Long-term follow-up from a phase 1/2 study of single-agent bortezomib in relapsed systemic AL amyloidosis

(Blood 2014;124:2498-2506)

 

CAN2007試験は、再発した原発性ALアミロイドーシスを対象とした、bortezomib週1回または2回投与の第1/2相臨床試験である。70例が治療を受け、この中には計画された最大用量で週1回治療された18例と週2回治療された34例が含まれている。この最終解析では、最後の報告からさらに3年の追加フォローアップで得られた長期成績を報告する。

週1回1.6mg/m^2群と週2回1.3mg/m^2群の最終的な血液学的奏功率は68.8%と66.7%で、いずれの群においても80%で効果が1年以上持続していた。1年無増悪生存率は72.2%、76.8%だった。全生存期間中央値は62.1か月と未到達で、4年全生存率は75.0%と63.0%だった。ベースラインのフリーライトチェーンκ/λ比の低さが血液学的奏功率の高さ、全生存期間の長さと関連していた。データ集計終了時点で、40例(57%)が何らかの治療を受けており、19例(27%)はbortezomibによる再治療を受けており、そのうち11例(58%)は血液学的完全または部分奏功を達成した。4例はbortezomibの投与が延長され(3.5年〜5.6年)、新たな安全性の懸念はなく、長期治療の実現可能性が際立った。再発ALアミロイドーシスにおいて、bortezomib単剤での治療により持続的な血液学的奏功が得られ、長期生存の期待も出てきた。

濾胞性リンパ腫の初回治療後に実施するPET-CTの予後予測力

Prognostic value of PET-CT after first-line therapy in patients with follicular lymphoma: a pooled analysis of central scan review in three multicentre studies

(Lancet Haematology 2014;1:e17-e27)

[背景] 濾胞性リンパ腫に対するfirst lineのリツキシマブ併用化学療法後の治療効果評価における18F-fluorodeoxyglucose (FDG) PET-CT (PET)の有用性はこれまでにも実証されてきた。著者らは濾胞性リンパ腫における導入療法後のPETの結果と生存率との相関性を評価するために、3つの臨床試験の参加者からなる大きなコホートを対象として、five-point Deauville scale (5PS; PETにおいてFDGの集積をスコア化するために用いられる)の妥当性を解析した。

[方法] 今回のプール解析で、著者らは、腫瘍量の多い濾胞性リンパ腫に対する初回治療としてリツキシマブ併用化学療法を行った3つの多施設参加前向き臨床試験(PRIMA study、PET-Folliculaire study、FOLL05 study)の結果を使用した。この解析では、従来の造影CTとPET 低線量CT (PET)による効果判定の前に少なくとも6サイクルのリツキシマブと化学療法を受けた症例を対象とした。また、最後の(導入療法としての)リツキシマブ投与から3か月以内にPETを実施した症例のみを対象とした。PETのレビューを行った全症例において、従来の造影CTに基づいた効果判定を含む症例データが記録された。central reviewを受けるPET画像は、5PSに従って3人のreviewerにより独立してスコア化された。主要評価項目は、導入療法後の5PSスコア(4ポイント以上を陽性、4ポイント未満を陰性と判定)に別の無増悪生存率と全生存率とした。

[結果] 2004年12月24日から2010年9月22日までの間に、3つの臨床試験に参加した症例のうち439例がPETによる各施設での評価を受け、そのうち246例が導入療法後のcentral reviewを受けた。246例のうち41例(17%)が導入療法後のPETで5PS 4点以上のカットオフ値による陽性であり、報告は一致していた。観察期間の中央値は54.8か月(IQR 39.7〜68.5、range 7.7〜90.1)で、無増悪生存率、全生存率におけるPET陽性のhazard比は3.9(95% CI 2.5-5.9; p<0.0001)、6.7(2.4-18.5; p=0.0002)だった。PET陽性だった症例では23.2%(95% CI 11.1-37.9)が4年経過時点で無増悪生存していたのに対して、PET陰性の症例では63.4%(55.9-70.0)が無増悪生存していた(p<0.0001)。また、4年全生存率は87.2%(71.9-94.5)と97.1%(93.2-98.8)だった(p<0.0001)。従来の造影CTに基づいた治療効果判定(CR/CRu vs PR)は、無増悪生存率の予測力が弱かった(HR 1.7 [95% CI 1.1-2.5]; p=0.017)。

[解釈] 実地臨床においては、従来の造影CTよりも、PET-CTを濾胞性リンパ腫の新たな標準的効果判定法として考えるべきであり、効果に応じた治療を行う上での一助となる可能性がある。

 

CD30陽性末梢性T細胞リンパ腫の初回治療におけるブレンツキシマブ ベドチン併用CH(O)Pの第1相試験

Brentuximab Vedotin in the Front-Line Treatment of Patients With CD30+ Peripheral T-Cell Lymphomas: Results of a Phase I Study

(JCO 2014;32:3137-3143)

[目的] 末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphoma; PTCL)の初回治療はCHOPのようなレジメンであり、5年生存率は50%に満たない。この第I相オープンラベル試験では、CD30陽性のPTCLに対する初回治療としての、ブレンツキシマブ ベドチン(BV)に続けてCHOPを行う、あるいはBVとCHP(CHOPからvincristineを除外)を併用する、というレジメンの安全性と活性を評価した。

[患者・方法] 患者はBV 1.8mg/kgを3週毎に2サイクル投与された後、標準量のCHOP (6サイクル)で治療されたか、あるいはBV + CHP (3週毎に6サイクル)で治療された。治療が奏功した患者は、BV単剤を追加で8または10サイクル投与された(合計16サイクルの化学療法を実施)。主要評価項目は安全性、副次評価項目は奏功率、完全奏功率、無増悪生存率、全生存率とした。2つの治療法には事前に対照は設定しなかった。

[結果] BV→CHOP終了後、13例中11例(85%)で効果がみられた(CR 62%、推定1年無増悪生存率 77%)。grade 3/4の有害事象は13例中8例(62%)でみられた。BV-CHP終了後、26例全例で効果がみられた(CR 88%、推定1年無増悪生存率 71%)。未分化大細胞型リンパ腫を除いた7例は全例がCRを達成した。BV-CHP群でのgrade 3/4の有害事象(≧10%)は発熱性好中球減少症(31%)、好中球減少(23%)、貧血(15%)、肺塞栓(12%)だった。

[結論] BV→CHOP、BV-CHOPの安全性はいずれも管理可能なもので、新規に診断されたCD30陽性PTCLにおいて相当な抗腫瘍活性を示した。BV-CHPとCHOPを比較する無作為化第3相試験が進行中である(clinical trial No. NCT01777152)。