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血清ビタミンD低値は濾胞性リンパ腫の予後不良因子かもしれない

Low Serum Vitamin D Levels Are Associated With Inferior Survival in Follicular Lymphoma: A Prospective Evaluation in SWOG and LYSA Studies

(JCO 2015;33:1482-1490)

目的 近年、ビタミンD高値がリンパ腫の予後を改善する可能性が報告されている。著者らは治療開始前のビタミンD濃度が濾胞性リンパ腫(FL)の予後に与える影響を評価した。

 

患者・方法 一つ目のコホートはSWOGコホートで、1998年から2008年までの間にSWOGの臨床試験(S9800、S9911、S0016)に参加した未治療のFL症例を対象とした。これらの臨床試験では、CHOPと抗CD20抗体(リツキシマブ、またはiodine-131 tositumomab)を併用した治療が行われた。もう一つのコホートはLYSAコホートで、2004年から2007年までの間にLYSA PRIMA試験に登録された未治療のFL患者が対象となった。これはリツキシマブを併用した化学療法の試験で、無作為にリツキシマブ維持療法群と無治療観察群への割付が行われた。ゴールドスタンダードの液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法を用いて、25-hydroxyvitamin Dを測定した。測定には、治療前に保存しておいた血清を使用した。主要評価項目は無増悪生存率(PFS)とした。

結果 SWOGコホートにおける観察期間の中央値は5.4年で、ビタミンD欠乏群(<20 ng/mL、コホート全体の15%)と比較した調整PFSと全生存率のハザード比は、1.97 (95%CI, 1.10-3.53)と4.16 (1.66-10.44)だった。LYSAコホートにおける観察期間の中央値は6.6年で、調整PFSと全生存率はビタミンD欠乏群(<10 ng/mL、コホート全体の25%)と比較してそれぞれ1.50 (0.93-2.42)と1.92 (0.72-5.13)だった。

結論 LYSAコホートでは統計学的有意差がみられなかったが、ビタミンD低値とFLの予後の関連が2つの独立したコホートで矛盾なく推定されたことにより、、血清ビタミンDがFLの生存率に関連する初めての調整可能な因子である可能性が示唆された。このようなセッティングでビタミン補充に効果があるかどうかを決定するためには、さらなる研究が必要である。