メモ帳

自分用のメモです。

軽鎖型骨髄腫では、血清中のfree light chainを治療効果の指標とするべきである。

Serum free light chains should be the target of response evaluation in light chain multiple myeloma rather than urines.

Blood. 2016, PMID 27729323

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軽鎖のみを発言している骨髄腫(light chain multiple myeloma; LCMM)のモニタリングに関するガイドラインは尿中のモノクローナル蛋白測定に依拠している。血清中のfree light chain (sFLC)測定は尿よりも感度が良いが、しかし感度の改善が臨床的にどのような利点をもたらすのかは示されていなかった。

今回、著者らは新たにLCMMと診断されてIFM-2009 trialに登録された113例(κ型 72例、λ型 41例)を対象に、血清と尿の測定のパフォーマンスを比較した。診断に用いられた検体は全て(100%)異常なκ/λ比を示しており、モノクローナルなinvolved FLC (iFLC)はモニタリングのための測定が可能と考えられるレベル(≧100mg/L)にあった。一方で、尿中のモノクローナルな蛋白が尿蛋白電気泳動(UPEP)で測定可能なレベル(≧200mg/24h)にあったのは、64%に過ぎなかった。

1、3サイクル終了後、iFLCはそれぞれ71%、46%の患者として高値を示し続けており、一方でUPEP陽性だったのはそれぞれ37%、18%だった。3サイクル時点でUPEPが陽性だった全ての患者でiFLCも高いレベルを示していた。重要なことに、3サイクル終了後時点でiFLCが高値、またはsFLCのκ/λ比が異常であることは無増悪生存率の悪さと関連していた(それぞれP=0.006、P<0.0001)が、UPEPまたは尿免疫固定法(uIFE)での陽性は関連していなかった。加えて、sFLCのκ/λ比が異常な患者は、全生存率が低かった(P=0.022)。最後に、sFLC κ/λ比の早期正常化は地固め療法後にフローサイトメトリーで測定した微小残存病変が陰性化する予測因子(positive predictive value 100%)となっていたが、uIFEはなっていなかった。

著者らは、血清の測定の方が尿の測定よりも感度と予後予測力が優れており、これが血清測定をLCMM患者のモニタリングに推奨する強力な根拠となると結論づけた。

骨髄腫患者の幹細胞採取におけるplerixaforのアップフロントな併用:効果と動員失敗のリスク因子

Upfront use of plerixafor and granulocyte-colony stimulating factor (GCSF) for stem cell mobilization in patients with multiple myeloma: efficacy and analysis of risk factors associated with poor stem cell collection efficiency.

Leuk Lymphoma 2016, PMID 27735212

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plerixafor (P)はケモカイン受容体であるCXCR4に選択的かつ可逆的に結合する化合物であり、骨髄腫患者における幹細胞採取を目的としたG-CSFとの併用(P+G-CSF)が承認されている。本研究の目的は、P+G-CSF使用時の幹細胞採取成功率の特定であり、2回の移植を安全に行うことができる5x10^6個/kgのCD34陽性細胞を採取できたかを基準とした。また、幹細胞の動員に影響するリスク因子同定も目的とした。

138例が導入療法後にP+G-CSFで幹細胞動員を試みた。幹細胞採取成功率は92.8%だった。多変量解析の結果、有効性が低いリスク因子としてレナリドミド単剤への暴露(P=0.038)、動員前の白血球数が4,000/μL未満(P=0.01)、アフリカ系アメリカ人でないこと(P=0.019)が同定された。

本研究によりP+G-CSFが骨髄腫患者において高い有効性が示され、骨髄腫患者の幹細胞採取におけるアップフロントでの使用についての強力なサポートが与えられた。

 

CNS-IPI:R-CHOPで治療されたDLBCL患者のCNS再発・浸潤リスクモデル

CNS International Prognostic Index: A Risk Model for CNS Relapse in Patients With Diffuse Large B-Cell Lymphoma Treated With R-CHOP.

J Clin Oncol. 2016 Sep 10;34(26):3150-6

PMID: 27382100, DOI: 10.1200/JCO.2015.65.6520

 

目的

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象とした中枢神経(CNS)再発のリスクスコアを開発し,検証する。

患者と方法

German High-Grade Non-Hodgkin Lymphoma Study GroupとMabThera International Trialの臨床試験に参加し,リツキシマブとCHOP(またはCHOPに類似したレジメン)で治療されたアグレッシブB細胞リンパ腫(DLBCLが80%)の患者,合計2,164人(年齢18〜80歳)を対象とし,CNS再発またはCNSへのリンパ腫進展について解析した。出来上がったリスクモデルは,British Columbia Cancer Agency Lymphoid Cancer databaseから抽出した1,597人のDLBCL患者のデータセットを用いて検証した。

結果

リスクモデルはInternational Prognostic Index (IPI)のリスク因子に加えて腎臓または副腎への浸潤の有無からできている(CNS-IPI)。3つのリスクグループに分けられ,低リスク群(解析患者の46%が該当),中等度リスク群(41%),高リスク群(12%)の2年CNS病変発生率はそれぞれ0.6%(95%信頼区間0-1.2),3.4%(2.2-4.4),10.2%(6.3-14.1)だった。British Columbia Cancer Agencyのデータセットを用いた検証の結果,類似した結果が得られ,具体的には低リスク群,中等度リスク群,高リスク群で0.8%(0.0-1.6),3.9%(2.3-5.5),12.0%(7.9-16.1)だった。

 

f:id:kusarenaikai:20161021131348p:plain 

(画像は文献より引用。Fig. 3)

結論

CNS-IPIは強力で高い再現性を示し,R-CHOPで治療されたDLBCL患者のCNS再発またはCNSへの進展リスクの推定に使用することができる。DLBCL患者の90%近くは低または中等度リスク群に分類され,CNS再発リスクは5%未満であった。これらの患者は,診断的介入や治療的介入を省略しても良いかもしれない。対照的に,高リスク群の患者はCNS再発のリスクが10%を超えており,CNSを対象とした探索や予防的介入を考慮すべきである。

 

まとめ:CNS-IPI

  1. 年齢 (≧61歳)
  2. 血清LDH (>正常上限)
  3. Perfoemance status (ECOG) (≧2)
  4. 病期 (3期または4期)
  5. 節外病変数 (≧2)
  6. 腎臓または副腎に浸潤がある

該当項目0〜1個:低リスク群 (2年CNS再発・浸潤率 0.6〜0.8%)

該当項目2〜3個:中リスク群 (3.4〜3.9%)

該当項目4〜6個:高リスク群 (10.2〜12.0%)

 

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精巣リンパに病変のあるDLBCL:リツキシマブ時代における、CNS再発率とリスク

Diffuse large B-cell lymphoma with testicular involvement: outcome and risk of CNS relapse in the rituximab era.

Br J Haematol. 2016, PMID 27739058

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リツキシマブを治療に加えることで、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療成績は改善したが、しかしながら精巣に病変があるケースにおけるリツキシマブのインパクトについては情報が限られている。

British Columbia Cancer Agency Lymphoid Cancer Databaseから、精巣に病変のあるDLBCL、かつ根治を目指した強度の治療を受けた症例を抽出した。

1982年から2015年までに、合計134例が精巣に病変のあるDLBCLと診断されており、このうち61例がCHOP(またはCHOPに類似したレジメン)で治療されており、73例がR-CHOPで治療されていた。

R-CHOPで治療された群は、IPIスコアが高い症例の割合が高かった(P=0.005)。多変量解析では、リツキシマブがIPIと独立して無増悪生存、全生存、累積増悪に関して保護的な効果を示した(hazard ratio: 無増悪生存 0.42、P<0.001。全生存 0.39、P<0.001。累積増悪 0.46、P=0.014)。

しかし、中枢神経(CNS)予防とCNS-IPI含めた競合リスク多変量解析では、リツキシマブはCNS再発リスクの低下と関連していなかった。

精巣に病変のあるDLBCLにおいて、リツキシマブの追加はリンパ腫の再発リスクを減少させたが、おそらく全身の病変に対する効果によるものだろう。しかし、CNS再発リスクは依然として高く、効果的な予防戦略を評価するためのさらなる試験が必要である。

 

参考:CNS-IPI

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panobinostat、ボルテゾミブ、デキサメタゾン併用療法の第3相臨床試験(PANORAMA 1 trial)の最終解析結果

Overall survival of patients with relapsed multiple myeloma treated with panobinostat or placebo plus bortezomib and dexamethasone (the PANORAMA 1 trial): a randomised, placebo-controlled, phase 3 trial.

(Lancet Haematol. 2016, PMID 27751707)

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背景 第3相試験PANORAMA 1 trialにおいて、panobinostatをボルテゾミブとデキサメタゾンに併用することで、ボルテゾミブ、デキサメタゾンとプラセボで治療した場合と比較して無増悪生存率が有意に上昇することが示された。今回、著者らはこの試験の最終的な全生存率解析結果を報告する。

方法 PANORAMA 1は1〜3種類の前治療歴がある再発または難治性の骨髄腫患者を対象とした第3相試験である。患者は1:1の割合で、panobinostatまたはプラセボのいずれかと、ボルテゾミブ(1.3mg/m2 静注)とデキサメタゾン(20mg 内服)を併用した治療に無作為に割り付けられ、2つのphaseの治療を受けた。phase 1 (3週サイクルx8回)においては、panobinostatまたはプラセボをday1,3,5,8,10,12、ボルテゾミブをday1,4,8,11、デキサメタゾンをday1,2,4,5,8,9,11,12に投与するレジメンで治療された。phase 2 (2週投薬、1週休薬のペースで6週間サイクルの治療を4サイクル)では、panobinostatまたはプラセボを週に3回、ボルテゾミブを週に1回、デキサメタゾンをボルテゾミブ投与日と投与翌日に投与された。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存率を重要な副次評価項目とした。

結果 2010年1月21日から2012年2月29日までの間に768人が本試験に登録され、panobinostat群(n=387)またはプラセボ群(n=381)に無作為に割り付けられた。データ登録打ち切り時点(2015年6月29日)において、415人が死亡していた。全生存期間の中央値はpanobinostat群で40.3ヶ月(95%信頼区間 35.0〜44.8)、プラセボ群で35.8ヶ月(29.0〜40.6)だった(hazard ratio [HR] 0.94, 95%信頼区間 0.78〜1.14; p=0.54)。ボルテゾミブとIMiDsを含んだ2種類以上のレジメンでの前治療歴のある患者においては、全生存期間中央値はpanobinostat群(n=73)で25.5ヶ月(19.6〜34.3)、プラセボ群(n=74)で19.5ヶ月(14.1〜32.5)だった(HR 1.01、95%信頼区間 0.68〜1.50)。

考察 ボルテゾミブとデキサメタゾンにpanobinostatまたはプラセボを併用することによる全生存期間への寄与は大きくなかった。しかし、さらなる臨床試験での検証が必要ではあるが、治療レジメンを最適化することで治療の持続期間を延長し、患者の予後を改善させる可能性が示唆された。

再発・難治骨髄腫を対照としたdaratumumab、レナリドミド、デキサメタゾン併用療法の第3相試験

Daratumumab, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma.

(N Engl J Med. 2016;375:1319-1331)

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背景 daratumumabは、再発・難治骨髄腫患者を対象とした第1、2相試験において、単剤、またはレナリドミドとデキサメタゾンとの併用療法で有望な効果を示した。

方法 今回の第3相試験において、著者らは治療歴のある569例の骨髄腫患者をレナリドミド+デキサメタゾンで治療する群(対照群)とdaratumumab+レナリドミド+デキサメタゾンで治療する群(daratumumab群)のいずれかに無作為に割り付けた。無増悪生存を主要評価項目とした。

結果 中間解析における観察期間中央値は13.5ヶ月で、骨髄腫の進行または死亡が169件あった(daratumumab群 53/286例 [18.5%] vs 対照群 116/283例 [41.0%]。hazard ratio 0.37、95%信頼区間 0.27〜0.52、P<0.001)。カプランマイヤー法による12ヶ月時点での無増悪生存率はdaratumumab群で83.2% (95%信頼区間 78.3〜87.2)、対照群で60.1% (54.0〜65.7)だった。daratumumab群では、対照群と比較して全奏効率が有意に高く(92.9% vs 76.4%。P<0.001)、完全奏効率も高かった(43.1% vs 19.2%。P<0.001)。daratumumab群では、22.4%で微小残存病変が閾値(白血球105個あたり腫瘍細胞1個)を下回っており、一方で対照群で下回っていたのは4.6%だった(P<0.001)。閾値以下の微小残存病変は、良好な予後と関連していた。grade 3/4の有害事象で最も多いものは好中球減少(daratumumab群 51.9% vs 対照群 37.0%)、血小板減少(12.7% vs 13.5%)、貧血(12.4% vs 19.6%)だった。daratumumabの投与時反応は47.7%でみられ、ほとんどはgrade 1/2だった。

結論 レナリドミドとデキサメタゾンにdaratumumabを併用することで、再発・難治骨髄腫患者の無増悪生存期間が有意に延長した。daratumumab使用時には投与関連反応がみられ、また対照群よりも好中球減少が多く見られた。

 

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再発・難治性骨髄腫に対するdaratumumab単剤治療

Targeting CD38 with Daratumumab Monotherapy in Multiple Myeloma.

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背景 骨髄腫細胞は一様にCD38を発現している。著者らはCD38を標的としたヒトIgG1κ型モノクローナル抗体であるdaratumumabについて、再発骨髄腫または再発後2種類以上の治療に抵抗性の骨髄腫の患者を対象とした第1、2相試験で評価した。

方法 用量漸増相であるpart 1において、著者らはdaratumumabを0.005 mg/kgBWから24 mg/kgBWまでの用量で投与した。dose-expansion phaseであるpart 2において、30人の患者にdaratumumabを8 mg/kg、42人に16 mg/kgをそれぞれ週1回(合計8回)、月2回(合計8回)、月1回投与した(最長24ヶ月)。end pointは安全性、有効性、薬物動態とした。

結果 part 1において、最大耐用量に到達することはなかった。part 2において、診断からの期間の中央値は5.7年だった。患者の前治療レジメンの中央値は4だった。患者のうち79%が最後の治療に抵抗性(64%がプロテアソーム阻害剤とIMIDsに抵抗性、64%がボルテゾミブとレナリドミドに抵抗性)であり、76%が自家幹細胞移植を受けていた。part 2における投与関連反応は軽度であり(71%でgrade 1〜4の有害事象がみられたが、grade 3の有害事象は1%だった)、用量依存性の有害事象はみられなかった。grade 3または4の有害事象のうち最も頻度が高いもの(5%以上)は肺炎と血小板減少だった。全奏効率は16 mg/kg投与された群で36% (部分奏功以上が15人、完全奏功が2人、very good partial responseが2人)、8 mg/kg投与された群で10%(部分奏功が3人)だった。16 mg/kg投与された群において、無増悪生存期間の中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間 4.2〜8.1ヶ月)であり、効果のあった患者のうち65%(95%信頼区間 28〜86%)は12ヶ月時点で骨髄腫の増悪がみられなかった。

結論 daratumumab単剤治療は濃厚な治療歴があり治療抵抗性となった骨髄腫患者において良好な安全性と有望な効果を示した。

再発・難治性骨髄腫に対するダラツムマブ、ボルテゾミブ、デキサメタゾン併用療法

Daratumumab, Bortezomib, and Dexamethasone for Multiple Myeloma.

N Engl J Med. 2016 Aug 25;375(8):754-66.

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背景 ダラツムマブはCD38を標的としたヒトIgGκ型モノクローナル抗体であり、直接的、間接的に抗骨髄腫活性を誘導し、濃厚な治療歴のある骨髄腫患者に対する単剤治療、新規に診断された骨髄腫患者に対するボルテゾミブとの併用療法で大きな効果を示した。

方法 今回の第3相試験において、著者らは再発または再発後治療抵抗性の骨髄腫患者498人をボルテゾミブ(1.3 mg/m^2)とデキサメタゾン(20 mg)のみを投与する対照群、またはダラツムマブ (16 mg/kgBW)を併用する群(ダラツムマブ群)のいずれかに無作為に割り付けた。primary end pointは無増悪生存率とした。

結果 中間解析において、ダラツムマブ群における無増悪生存率は対照群よりも有意に高かった;12ヶ月時点での無増悪生存率はダラツムマブ群では60.7%、対照群では26.9%だった。フォローアップ期間中央値は7.4ヶ月で、無増悪生存期間の中央値はダラツムマブ群では未到達、対照群では7.2ヶ月だった(原病増悪または死亡についてのハザード比はダラツムマブ群 vs 対照群で0.39、95%信頼区間は0.28〜0.53; p<0.001)。また、ダラツムマブ群における全奏功率は対照群よりも高く(82.9% vs 63.2%, p<0.001)、very good partial response以上の奏功率(59.2% vs 29.1%, p<0.001)、complete response以上の奏功率(19.2% vs 9.0%, p=0.001)のいずれもダラツムマブ群の方が高かった。ダラツムマブ群と対照群で報告されたgrade 3または4の有害事象のうち、頻度の高かった3つは血小板減少(45.3%, 32.9%)、貧血(14.4%, 16.0%)、好中球減少(12.8%, 4.2%)だった。ダラツムマブ治療に伴う投与関連反応は45.3%で報告された;これらの反応は殆どがgrade 1または2であり(grade 3は8.6%でみられた)、投与時反応がみられた患者のうち98.2%で反応は初回投与時にみられた。

結論 再発または再発後難治性の骨髄腫患者において、ダラツムマブをボルテゾミブとデキサメタゾンと併用した治療はボルテゾミブとデキサメタゾンのみの治療と比較して無増悪生存期間を有意に延長し、投与関連反応との関連がみられ、血小板減少と好中球減少の頻度が高かった。

ホジキンリンパ腫治療において、中間PET(interim-PET)が陰性でも治療終了後のPET評価を省略することはできない

Hodgkin lymphoma: a negative interim-PET cannot circumvent the need for end-of-treatment-PET evaluation.

Br J Haematol., PMID: 27539639

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著者らは、interim PET (int-PET)が陰性の場合に治療終了時のPET (end-PET)を省略できるか否かを評価するため、ホジキンリンパ腫 (HL)患者コホートの治療成績について評価した。ABVDで治療された76例が後方視的評価の対象となった。int-PETの結果に基づいて治療内容が変更されたケースはなかった。end-PETにおいて疑わしかった部位は、可能な限り生検での確認が行われた。

フォローアップ期間の中央値は58.9ヶ月だった。Lugano分類に従い、int-PETにおけるuptakeが肝臓よりも高い場合(score 4〜5)を陽性とし、end-PETではscore 3〜5を陽性とした。治療失敗は15例だった。int-PETの感度、特異度、陽性的中率(PPV)、陰性的中率、正確性はそれぞれ46.7%、85.2%、43.8%、86.7%、77.6%だった。end-PETについては、それぞれ80%、93.4%、75%、95%、90.8%だった。int-PETが陰性だった患者のうち8人で治療失敗があった。このうち6人はend-PETで治療反応無しと判断された。int-PET陰性患者の5年無増悪生存率(PFS)は87%、int-PET陽性患者では56%だった。end-PET陰性患者の5年PFSは96%、end-PET陽性患者では23%だった。int-PETから得られるPFSに関する予後予測情報はend-PETから得られるものより低かった(p=0.0048 vs p<0.0001)。Int-PETは治療失敗のうち半分しか予測できなかった。実地臨床においては、int-PET陰性をもってend-PETを不要とすることは出来ない。

リツキシマブ抵抗性indolentリンパ腫患者を対象とした、obinutuzumabとベンダムスチンの併用療法に関する第3相試験

記事名が長く、分かりづらくて申し訳ないです。。。

 

Obinutuzumab plus bendamustine versus bendamustine monotherapy in patients with rituximab-refractory indolent non-Hodgkin lymphoma (GADOLIN): a randomised, controlled, open-label, multicentre, phase 3 trial

Lancet Oncol 2016, http://dx.doi.org/10.1016/S1470-2045(16)30097-3

 

背景

indolent非ホジキンリンパ腫は、リツキシマブベースの治療で病勢を適切にコントロール出来ない場合、治療の選択肢は殆どなく、またその予後は不良である。著者らは、このような症例における、糖鎖改変型タイプIICD20モノクローナル抗体であるobinutuzumab (GA101)とベンダムスチンの併用療法を評価した。

 

方法

今回のオープンラベル無作為化第3相試験(GADOLIN)においては、組織学的に診断された18歳以上のリツキシマブ抵抗性indolent非ホジキンリンパ腫患者がヨーロッパ、アジア、北中米14カ国の83施設で登録された。患者はリンパ腫の亜型、リツキシマブ抵抗性のタイプ、前治療数、地域によって層別化され、hierarchial dynamic randomisation schemeobinutuzumab + ベンダムスチン群とベンダムスチン単剤投与群に割り付けられた。治療は28日毎に6サイクル予定された。obinutuzumab + ベンダムスチン群の用量はobinutuzumab 1000mg (cycle1day1,8,15cycle26day1) + ベンダムスチン 90mg/m^2 (day1,2)、ベンダムスチン単剤投与群の用量は120mg/m^2 (day1,2)とした。obinutuzumab + ベンダムスチン群においてリンパ腫の増悪がみられなかった患者はobinutuzumab 1000mg (2ヶ月毎投与)の維持療法を最長2年間にわたって受けた。primary endpointは無作為割付された全患者の無増悪生存率で、独立したreview committeeによって評価された。安全性はobinutuzumabまたはベンダムスチンを投与された全ての患者において評価された。

 

結果

2010415日から事前に計画されていた中間解析後の201491日に研究が停止されるまでの間に396人が無作為に割り付けられた(併用群 194人、単剤群 202)。観察期間は併用群で21.9ヶ月、単剤群で20.3ヶ月で、無増悪生存期間は併用群(中央値未到達、95% CI 22.5~推定不能)の方が単剤群(中央値14.9ヶ月、12.816.6)よりも有意に長かった(hazard ratio 0.5595% CI 0.400.74p=0.0001)grade3-5の有害事象は併用群では194例中132(68%)、単剤群では198例中123(62%)でみられた。grade3以上の有害事象で最も多かったのは好中球減少(併用群64[33%] vs 単剤群52[26%])、血小板減少(21[11%] vs 32[16%])、貧血(15[8%] vs 20[10%])infusion-related reaction(21[11%] vs 11[6%])だった。重篤な有害事象は併用群で74(38%)、単剤群で65(33%)にみえあれ、有害事象による死亡は両群12(6%)ずつみられた。有害事象に関連した死亡のうち、併用群での3例と単剤群での5例は治療に関連したものだった。

 

解釈

リツキシマブ抵抗性のindolent非ホジキンリンパ腫において、obinutuzumabとベンダムスチンの併用と、それに引き続くobinutuzumabによる維持治療は、ベンダムスチン単剤と比較して効果を改善し、毒性は管理可能であった。リツキシマブベースの治療後に再発した患者や、反応性が失われたケース患者における新たな治療選択肢である。