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自分用のメモです。

interim FDG-PETはDLBCLの予後を予測するかもしれない。

Prognostic Value of Interim FDG-PET in Diffuse Large Cell Lymphoma: Results From the CALGB 50303 Clinical Trial
PMID: 32232481  DOI: 10.1182/blood.2019003277

大細胞リンパ腫のランダム化・前向き臨床試験の一部として、著者らはベースライン、化学療法2サイクル後(i-PET)、治療終了時点 end of treatment (EoT)でFDG-PETを実施し、寛解と生存を予測する反応のバイオマーカーを同定することを試みた。
画像はコアラボラトリーで2人の画像専門家によるvisual 5-point scale (5-PS)を用いた評価と、FDG uptakeの変化率(ΔSUV)によって解釈された。
visual score 1〜3かつΔSUV 66%をnegativeと定義した。
母体の試験に参加した524人のうち、169人がPETを用いた試験への参加に同意し、158人が最終解析の条件を満たした。
この集団において、全ての患者でベースラインにおいてFDGの集積を伴う病変があり、5-PSでは55人(35%)がi-PETで依然としてpositive、28人(18%)がEoT PETでpositiveだった。
i-PETにおけるΔSUVの中央値は86.2%だった。フォローアップ期間の中央値は5年で、連続変数としてのΔSUVは無増悪生存(PFS) (HR=0.99, 95% CI: 0.97-1.00, p=0.02)、全生存(OS) (HR=0.98, 95% CI: 0.97-0.99, p=0.03)と関連していた。
ΔSUV 66%はOSと関連していたが(HR=0.31, 95% CI: 0.11-0.85, p=0.02)、PFSとは関連していなかった(HR=0.47, 95% CI: 0.19-1.13, p=0.09)。
i-PETにおけるvisual 5-PSは治療結果を予測しなかった。i-PETにおけるΔSUVは、イベント数が少なく統計解析に制約があったもののDLBCLにおけるOSを予測した。これらのデータが、PETによる奏功に応じた治療調整を行う臨床試験を将来行う際の一助となる可能性がある。
この試験はclinicaltrials.govに登録されている(NCT00118209)

再発または治療抵抗性の多発性骨髄腫患者を対象とした、ダラツムマブの皮下投与

Subcutaneous delivery of daratumumab in relapsed or refractory multiple myeloma.
Blood. 2019 Aug 22;134(8):668-677. doi: 10.1182/blood.2019000667.
PMID: 31270103

ダラツムマブはCD38を標的としたヒトモノクローナル抗体であり、多発性骨髄腫(MM)患者に対する単剤治療または併用レジメンについて承認されている。現在、ダラツムマブは経静脈的に投与されている。
第1b相試験であるPAVO (MMY1004)において、再発または治療抵抗性のMM患者を対象に、組み替えヒトヒアルロニダーゼPH20酵素(rHuPH20)とダラツムマブを組み合わせて皮下投与し、評価した。
今回報告するのは、試験の第一部であり、ここではダラツムマブとrHuPH20から成る皮下投与製剤(DARA-MD)を評価した。

対象患者は、経静脈投与で承認された投与スケジュールに従い、ダラツムマブ 1200 mg (n = 8)または1800 mg (n = 45)を皮下投与された。
主要評価項目は安全性と薬物動態(PK)に関する変数とした。

治療により出現した有害事象の中で頻度が高かったものは、DARA-MD 1200 mgでは血小板減少、上気道感染症、不眠、食欲低下であった(それぞれ37.5%)。DARA-MD 1800 mgでは貧血(33.3%)、上気道感染症、発熱、下痢(以上それぞれ26.7%)の頻度が高かった。
1200 mg群の1人(12.5%)と1800 mg群の11人(24.4%)で投与関連反応がみられ、大抵はgrade 1/2であり、初回投与でみられることが多かった。
1800 mg投与では16 mg/kg 経静脈投与と比較して同等またはそれ以上の血中濃度が得られた。
全奏効率は1200 mg群で25.0%、1800 mg群で42.2%だった。

DARA-MDの皮下投与は再発または治療抵抗性のMM患者において良好な忍容性を示し、1800 mg投与では類似した患者集団において、経静脈投与と比較して遜色ないPK濃度と奏功を示した。 

この研究はwww.clinicaltrials.govに登録されている(NCT02519452)。

 

ステロイド抵抗性の急性GVHDに対するルキソリチニブの第3相試験

Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease.
N Engl J Med. 2020 May 7;382(19):1800-1810. doi: 10.1056/NEJMoa1917635.
PMID: 32320566

背景
急性GVHDは依然として同種幹細胞移植の主要な制約の一つである。全ての患者が標準的なステロイド治療に反応するわけではない。第2相試験において、ヤヌスキナーゼ(JAK1、JAK2)の選択的な阻害剤であるルキソニチニブはステロイド抵抗性のGVHD患者に期待の持てる有効性を示した。

方法
著者らは、12歳以上で同種幹細胞移植後にステロイド抵抗性の急性GVHDを呈した患者を対象に、ルキソリチニブ内服(10 mg 1日2回)と、責任医師が選択した治療(よく使われる9つの治療選択肢の中から選択。対照群)を比較する多施設共同・オープンラベル・第3相試験を実施した。
主要評価項目は28日目における全奏功(完全奏功または部分奏功)とした。主要な副次評価項目は56日目における持続的な全奏功とした。

結果
合計309人がランダム化を受け、154人がルキソリチニブ群、155人が対照群に割り付けられた。
28日目における全奏功率は、ルキソリチニブ群の方が対照群よりも高かった(62% [96人] vs. 39% [61人]; オッズ比, 2.64; 95% 信頼区間 [CI], 1.65 〜 4.22; P<0.001)。
56日目における持続的な全奏功率は、ルキソリチニブ群の方が対照群よりも高かった(40% [61人] vs. 22% [34人]; オッズ比, 2.38; 95% CI, 1.43 〜 3.94; P<0.001)。
6ヶ月時点における奏功喪失の累積頻度はルキソリチニブ群で10%、対照群で39%と推定された。
奏功が持続した状態での生存期間の中央値は、ルキソリチニブ群の方が対照群よりも長かった(5.0ヶ月 vs. 1.0ヶ月; 血液疾患の再発または増悪、非再発死亡、急性GVHDに対する新規の全身治療の追加、のいずれかに関するハザード比, 0.46; 95% CI, 0.35 〜 0.60)。
全生存期間の中央値はルキソリチニブ群で11.1ヶ月、対照群で6.5ヶ月だった(死亡に関するハザード比, 0.83; 95% CI, 0.60 to 1.15)。
28日までの間に頻度の高かった有害事象には血小板減少(ルキソリチニブ群 50/152 [33%]、対照群 27/150 [18%])、貧血(46 [30%]、42 [28%])、サイトメガロウイルス感染症(39 [26%]、31 [21%])があった。

結論
ルキソリチニブによる治療は、対照治療と比較して有効性を有意に改善した一方、最も頻度の高い毒性である血小板減少の頻度が対照治療よりも高かった。

Funded by Novartis; REACH2 ClinicalTrials.gov number, NCT02913261.

ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫におけるハプロ移植と臍帯血移植の比較

Nonmyeloablative Alternative Donor Transplantation for Hodgkin and Non-Hodgkin Lymphoma: From the LWP-EBMT, Eurocord, and CIBMTR.
J Clin Oncol. 2020 May 10;38(14):1518-1526. doi: 10.1200/JCO.19.02408.
PMID: 32031876

目的
ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫を対象に、骨髄非破壊的なハプロ移植と非血縁者臍帯血(UCB)移植の治療成績を比較した。

患者と方法
著者らは、年齢が18歳~75歳で2009年から2016年までに移植を受けたホジキンリンパ腫患者283人(38%)と非ホジキンリンパ腫患者457人(62%)の合計740人を後ろ向きに解析した。
データはLymphoma Working Party of the European Society for Blood and Marrow TransplantationEurocordCenter for International Blood and Marrow Transplant Researchに報告された。
ハプロ移植を受けた526人のうち、68%は骨髄移植を受け、32%は末梢血移植を受けていた。
全ての患者が同内容の移植前処置(2Gyの全身放射線照射、シクロフォスファミド、フルダラビン)とGVHD予防(カルシニューリン阻害剤、ミコフェノール酸)を受けていた。
これに加えて、ハプロ移植を受けた患者には移植後にシクロフォスファミドを投与された。

結果
年齢、リンパ腫の亜型、疾患の状態を調整すると、ハプロ移植(骨髄移植、末梢血移植)と比較してUCB移植の方が生存率が低かった(ハザード比 [HR] 1.55; P = .001、HR, 1.59; P = .005)。同様に、無増悪生存率もUCB移植の方がハプロ移植(骨髄移植、末梢血移植)よりも低かった(HR, 1.44; P = .002、HR, 1.86; P < .0001)。
4年全生存率と無増悪生存率はUCB移植では49%と36%で、ハプロの骨髄移植では58%と46%、ハプロの末梢血移植では59%と52%だった。
UCB移植がハプロの骨髄移植、末梢血移植と比べて生存率が低いのは、移植関連死亡率の高さによるものだった(HR, 1.91; P = .0001、
HR, 2.27; P = .0002)

結論
今回のデータは、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫にHLA不適合移植を考慮する際、ハプロ血縁ドナーからの移植がUCB移植より上位にあることを支持する。

レムデシビルの国際多施設共同第3相試験(中間解析結果)

レムデシビルの国際多施設共同第3相試験の中間解析結果です。

NIH Clinical Trial Shows Remdesivir Accelerates Recovery from Advanced COVID-19
(
https://www.niaid.nih.gov/news-events/nih-clinical-trial-shows-remdesivir-accelerates-recovery-advanced-covid-19)

  • 発表時点での対象患者は1,063人。
  • プラセボと比較して回復までの期間を31%短縮し(p<0.0001)、回復までの期間はレムデシビル群が中央値で11日、プラセボ群が15日。
  • 死亡率はレムデシビル群が8.0%、プラセボ群が11.6%で統計学的に有意ではなかった(p=0.059)が生存に関するベネフィットが示唆された。

論文化されていないのでこれ以上の詳細は分かりませんが、この結果を受けて米国FDAは、入院中の重症COVID-19患者へのレムデシビルの使用を許可しました。

www.cnn.co.jp

www.fda.gov

中国で実施された臨床試験の結果と相反する結果のように見えますが、中国の試験でも発症後早期(10日以内)に治療を開始された患者ではプラセボと比較して回復までの期間が短い傾向が確認されています(18日 vs 23日。ハザード比 1.52 [0.95-2.43])。

kusarenaikai.hatenablog.com

成人の重症COVID-19患者を対象とした、レムデシビルの多施設共同臨床試験

Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial
Lancet 2020, DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31022-9

背景

重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において効果が証明された特異的な抗ウイルス薬は無い。レムデシビル(GS-5734)はヌクレオシドアナログのプロドラッグであり、動物やヒトに病原性を示すコロナウイルスにin vitroで阻害作用を示し、これには重症急性呼吸症候群コロナウイルス2 (SARS-CoV-2)*1も含まれている。また、動物モデルにおいて中東呼吸症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)やSARS-CoV-2の複製を阻害することが示されている。

方法

著者らは、中国湖北省の10病院において、ランダム化・二重盲検・プラセボ対照の多施設共同試験を実施した。
適格患者は成人(年齢18歳以上)で、検査によってSARS-CoV-2感染と確定した入院患者で、発症から試験登録までの間隔が12日以内であり、酸素飽和度が室内気で94%以下または動脈血酸素分圧の吸入気酸素割合に対する比*2が300 mmHg以下、かつ画像検査で肺炎と確定している患者とした。
対照患者を2:1の割合でランダムに2つの群に割付け、前者の群ではレムデシビル(1日目 200 mg 1回、2〜10日目 100 mg)を静注投与し、後者の群では同量のプラセボを10日間静注投与した。
ロピナビル・リトナビル、インターフェロン、コルチコステロイドの併用は許可された。
プライマリ・エンドポイントは臨床的改善までの期間(28日以内)とし、ランダム化からsix-point ordinal scale of clinical status (退院=1点 〜 死亡=6点)が2段階低下するまで、または生存退院するまでの日数と定義した。
主要な解析(primary analysis)はintention-to-treat populationで実施し、安全性解析は割り付けられた治療を開始した患者全員を対象に実施した。
この試験はClinicalTrials.govに登録されている(NCT04257656)。

結果

2020年2月6日から2020年3月12日までの間に、237人の患者が登録され、治療群にランダムに割り付けられた(レムデシビル 158人、プラセボ 79人)。プラセボ群の1人がランダム割付けの後に参加を撤回し、この患者はITT populationには含まれていない。
レムデシビルの使用は臨床的改善までの時間の差に関連しなかった(ハザード比 1.23 [95% CI 0.87–1.75])。統計学的に有意ではなかったが、発症後10日以内にレムデシビルを投与された患者は、プラセボを投与された患者と比べて臨床的改善までの時間が短かった(ハザード比 1.52 [0.95-2.43])。
有害事象はレムデシビル群では155人中102人(66%)、プラセボ群では78人中50人(64%)で報告された。レムデシビル群では18人(12%)が有害事象のために投与を早期に中止されたのに対し、プラセボ群では投与を早期に中止されたのは4人(5%)だった。

考察

重症のCOVID-19で入院した成人患者を対象とした今回の研究では、レムデシビルは臨床的なベネフィットと統計学的に有意な関連を示さなかった。しかし、早期に治療された患者において臨床的改善までの時間が数値の上で減少した点については、より大規模な試験での確認が必要である。

*1:COVID-19の原因ウイルス

*2:いわゆるP/F比

進行期の濾胞性リンパ腫において、ベンダムスチン+リツキシマブで治療された後の早期増悪は形質転換のリスクと関連している

Early progression after bendamustine-rituximab is associated with high risk of transformation in advanced stage follicular lymphoma.
Blood. 2019 Aug 29;134(9):761-764. doi: 10.1182/blood.2019000258. Epub 2019 Jul 12.
PMID: 31300404


進行期の濾胞性リンパ腫(FL)に対するフロントライン治療としてベンダムスチンとリツキシマブの併用(BR)が広く行われるようになったが、早期増悪や組織学的形質転換に関する知見はほとんどない。著者らは、フロントラインのBRとリツキシマブの維持療法で治療された進行期のFL患者296人から成るpopulation-based cohortの後ろ向き解析を行った。
これまでに示されているように、このレジメンの治療成績は優れており、2年無イベント生存率は85%(95%信頼区間[CI] 80〜89)、2年全生存率は92%(88〜95)だった。24ヶ月以内のリンパ腫増悪(POD24)は患者の13%でみられ、2年全生存率が38%(20〜55)と治療成績が有意に悪かった。ベースラインにおけるPOD24のリスク因子はLDHの上昇のみだった(P<0.001)。重要な点として、POD24がみられた患者の大半(76%)で形質転換が起きていた。
リツキシマブ、シクロフォスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾンで治療されたhistorical cohortと比較して、無イベント生存は改善しており、POD24のリスクは減少していたが、POD24が確認された患者における形質転換の割合は今回のコホートの方が高かった。全体としての形質転換の頻度は変化していないようであった。
フロントライン治療としてBRを受けた患者においては、潜在的または早期の形質転換がPOD24の主たる要因である。形質転換に関するバイオマーカーの確立と、治療戦略の改善が治療成績改善のために重要である。

3クラスの薬剤に抵抗性の骨髄腫対するselinexorとデキサメタゾンの経口併用治療

Oral Selinexor-Dexamethasone for Triple-Class Refractory Multiple Myeloma.
N Engl J Med. 2019 Aug 22;381(8):727-738. doi: 10.1056/NEJMoa1903455.
PMID: 31433920

背景
核外搬出化合物の選択的阻害薬であるselinexorは、exportin 1 (XPO1)をブロックして核内蓄積と癌抑制蛋白の活性化を促し、nuclear factor κBを阻害し、癌蛋白のメッセンジャーRNAの翻訳を減少させる。現在使用されている治療に抵抗性の骨髄腫に対する新たな治療薬となる可能性を持っている。

方法
著者らは、これまでにボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、ポマリドミド、ダラツムマブ、アルキル化薬を投与され、少なくとも1つ以上のプロテアソーム阻害剤と、1つ以上の免疫調節薬と、ダラツムマブに抵抗性 (triple-class refractory)の骨髄腫患者を対象とし、selinexor (80mg)とデキサメタゾン(20mg)を週2回、経口投与した。
部分奏功以上を全奏功と定義し、主要評価項目とした。尚、治療効果の評価は独立した評価委員会が行った。minimal response以上を臨床的なベネフィットと定義し、副次評価項目とした。

結果
米国と欧州の合計122人の患者をmodified intention-to-treat populationとし(primary analysis)、123人をsafety populationとした。年齢の中央値は65歳で、過去に受けた治療レジメン数の中央値は7だった。患者の53%が高リスクの細胞遺伝学的異常を有していた。部分奏功以上の効果が得られたのは患者の26% (95%信頼区間 19〜35)で、このうち2人はstringent complete responseを達成した。また、患者の39%でminimal response以上の効果がみられた。奏功期間の中央値は4.4ヶ月で、無増悪生存期間の中央値は3.7ヶ月、全生存期間の中央値は8.6ヶ月だった。
倦怠感、悪心、食欲低下が頻度が高く、これらはgrade 1または2のものが多かった(grade 3のイベントは最大25%で、grade 4のイベントは報告されなかった)。また、患者の73%で血小板減少が生じた(grade 3が25%、grade 4が33%)。血小板減少からgrade 3以上の出血に至ったケースが6例あった。

結論
selinexorとデキサメタゾンの併用によって、現在使用可能な治療法に抵抗性を示す骨髄腫患者において客観的な治療効果が得られた。

(Funded by Karyopharm Therapeutics; STORM ClinicalTrials.gov number, NCT02336815.).

高リスクの再発・治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫に対する、自家幹細胞移植後CD19 CAR T細胞投与

CD19 CAR T cells following autologous transplantation in poor-risk relapsed and refractory B-cell non-Hodgkin lymphoma.
Blood. 2019 Aug 15;134(7):626-635. doi: 10.1182/blood.2018883421. Epub 2019 Jul 1.
PMID: 31262783 PMCID: PMC6695562

大量化学療法と自家幹細胞移植(HDT-ASCT)は、再発または治療抵抗性(rel/ref)の化学療法抵抗性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する標準的な治療法である。この治療法で治癒する患者は、50%だけである。
著者らは、CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)T細胞をHDT-ASCTに引き続いて投与し、安全性と有効性を検証した。
この試験の適格条件はpoor-riskの再発または初期治療に抵抗性のaggressive B細胞非ホジキンリンパ腫で、救援化学療法に感受性があり、(1)PET陽性または(2)骨髄浸潤のいずれかを認める患者とした。
対象患者に標準的なHDT-ASCTを行い、その後19-28z CAR T細胞をday +2と+3に投与した。
今回の試験で治療を受けた15人の中で、2つの用量レベルのいずれにおいても用量制限毒性は観察されなかった(19-28z CAR T細胞は5 x 10^6または1 x 10^7 /kg投与した)。
15人のうち10人でCAR T細胞による神経毒性またはサイトカイン放出症候群(CRS)の誘発がみられ、これらはCAR T細胞の持続性と関連していた(P = 0.05)がピークの拡大とは関連していなかった。血清中のインターフェロンγの上昇(P < 0.001)と毒性に関連がみられ、インターロイキン10の上昇についても同様の傾向がみられた(P = 0.07)。
2年無増悪生存率(PFS)は30%(95%信頼区間 20~70%)だった。naive-like (CD45+CCR7+) CD4+、CD8+ CAR T細胞の数が少なかった患者はPFSが良好だった(CD4+ P = 0.02、CD8+ P = 0.04)。CAR T細胞のピークの拡大、持続性、サイトカインの変化とPFSの間に関連はみられなかった。HDT-ASCT後の19-28z CAR T細胞投与は、可逆性の神経毒性とCRSと関連していた。
HDT-ASCTに引き続き、CD4+、CD8+ のエフェクターT細胞を投与することで疾患のコントロールが改善する可能性がある。
This trial was registered at www.clinicaltrials.gov as #NCT01840566.

未治療の濾胞性リンパ腫患者に対するリツキシマブとレナリドミドの併用レジメン

Short regimen of rituximab plus lenalidomide in follicular lymphoma patients in need of first-line therapy.
Blood. 2019 May 17. pii: blood-2018-10-879643. doi: 10.1182/blood-2018-10-879643.
PMID: 31101627

SAKK 35/10はSwiss Group for Clinical Cancer Research (SAKK)とNordic Lymphoma Group (NLG)が実施した第2相試験(NCT01307605)であり、この試験では全身治療が必要な未治療の濾胞性リンパ腫を対象に、リツキシマブとリツキシマブ+レナリドミドの活性を比較した。
対象患者はリツキシマブ(375 mg/m2 on day 1、1〜4週。効果のあった患者では12〜15週目にも投与)またはリツキシマブ(同じスケジュール)とレナリドミド(15 mgを連日経口投与。18週まで)の併用のいずれかの治療にランダムに割り付けられた。主要評価項目は6ヶ月時点における完全奏功(CR/CRu)率とした。
全体で77人がリツキシマブ単剤治療、77人が併用治療に割り当てられた(両アームともにFLIPIのpoor-riskが47%を占めていた)。6ヶ月時点におけるCR/CRu率は、試験担当医師による評価では併用アームの方が有意に高く(36%, 95% CI 26〜48% vs 25%, 95% CI 16〜36%)、CTのみを用いた独立した評価委員会によるレビューでも確認された(61%, 95% CI 49〜72% vs 36%, 95% CI 26〜48%)。フォローアップ期間の中央値は4年で、併用アームの方が30ヶ月時点でのCR/CRu率が有意に高く、無増悪生存期間(PFS)と次の治療前の時間(TTNT [time to next treatment])が有意に長かった。全生存(OS)率は両群で差がなかった(≧ 90%)。grade 3以上の毒性は併用アームの方が頻度が多く(56% vs 22%)、代表的なものとしては好中球減少があった(23% vs 7%)。
リツキシマブにレナリドミドを加えることでCR/CRu、PFS、TTNTが有意に改善し、毒性も多かったが予測されたもので管理可能だった。両群ともにOSは良好であり、抗癌剤を用いない戦略をさらに探索すべきと示唆された。